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不可解なプロセスが多発していた都立広尾病院の移転計画、白紙撤回で再検討へ

都議会の話

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

流石に年内はもうめぼしいニュースはないだろう…と思っていた都政で、クリスマス本番にまたも大きなニュースです。

小池知事 都立広尾病院移転計画いったん白紙に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161225/k10010819251000.html

この問題は厚生委員会と決算特別委員会に所属していた同会派の両角・上田両都議が取り組んでいた問題で、私のブログでは積極的に取り上げていなかったのですが(すいません…)、簡単に経緯をまとめますと。

都心の中核病院である都立広尾病院。まもなく築35年を迎えて老朽化が進んだことから、2023年を完了目処に現地再整備 or 移転の二択でリニューアルが検討されていました。

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(画像はWikipediaより)

そして舛添前知事時代に「青山の国有地を買収して移転」という方向性が決定し、その用地取得に向けて今年度から動きが始まろうとしていたのですが、その意思決定プロセスに不可解な点が多く発覚したことから、一部メディアや都議会で疑問視がされていたところです。

先般の両角都議による一般質問にもとづいて説明しますと、ざっと以下の問題点が挙げられます。

当初の調査結果では「現在地での建て替えは可能」だった点が隠蔽されていた

本移転計画を検討するにあたっては、「首都災害医療センター基本構想検討委員会」が設立され、そこで今年度末までに構想を計画するとされています。

しかしながらその検討会の遡上にあがった資料に、不可解な点が判明します。

当初、病院経営本部が依頼したみずほ総研の調査結果では、「2020年までの現地建て替えは技術的に可能」という結論が出され、その旨が記載されていました。

ところが、検討会で委員に配られた資料にはその点がすっぽり抜け落ちており、あたかも移転が優位であるかのような説明がなされています。

なお、それ以前に知事に対して行われたレクチャーでは、資料にその調査結果がしっかりと記載されていたこともわかっているので、わざわざ資料を改ざんしていた可能性は極めて高いです。

さらにはみずほ総研の調査結果が出た三ヶ月後に、都は新たに伊藤喜三郎建設事務所に調査を依頼し、

「現地建て替えは困難」
「青山への移転も検討するべき」

との調査報告書を入手し、重要な検討材料としています。

以上の事実だけを時系列で見ていけば、当初の調査では現地建てかえの優位性が示されたのに、青山移転に判断が傾いたため、その理由づけのために新たな調査を急遽実施したと見る方が合理的だと言えます。

新たな調査発注後、一週間で前知事が青山移転を了承している

そして上記の「青山移転」を裏付けるための調査を発注した一週間後には、その結果が出る前にバタバタと舛添前知事が青山移転計画を承認しています。

このタイムスケジュールを見ても、新たな調査が「結論ありき」であり、都はその意図で動いていたことが裏付けられています。

なお、これほど拙速に青山移転・用地買収を決定した理由は、国から舛添知事に対して国有地売却の強い打診があったためではないかという疑惑が指摘されているところです。

土地取得依頼手続きなどの、行政プロセスがすっ飛ばされている

そして専門的・技術的な話になりますが、本来こうした億単位の大型土地買収案件については、予算要求時に当該事情局(今回の場合は病院経営本部)から財務局に対して、「土地取得依頼」という行政手続きを行うのが一般的です。

にもかかわらず、移転先の候補地である青山の土地取得予算を計上にするにあたって、この手続がすっ飛ばされていることも判明しています。

なぜこれほどまでに土地取得を急ぎ、所定の手続きを省略し、議会での審議すらも十分に行わないまま、しれっと平成27年度予算に組み込む必要があったのか?

前述の「国の強い売却意向」という疑惑とも相まって、やはり疑問は尽きません。

今回の知事の発表を見て、

「また小池知事は、白紙撤回か…」
「余分なコストや無用なリスクが増えるのでは?」

と感じる方もおられるかもしれません。しかしながら、この広尾病院については2023年と完了スケジュールが先の案件であり、実際にまだまだ検討会が基本構想を議論している段階です。

むしろ検討会が正式な基本構想すら確定していない段階から、青山の移転ありきで土地取得予算が計上されていたことが拙速とも言える状態だったのであり、この時点で立ち止まることに関しては問題が生じる可能性は極めて低いと言えるでしょう。

この広尾問題については、上記のように様々な問題点や疑惑があるものの、まだ確固たる要因は断定できていません。

小池知事による内部調査を注視するとともに、議会側からも引き続き疑惑の指摘と検証に努め、また進展がありましたら適宜ご報告させていただきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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