こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
本日は衆院・内閣委員会にて日本学術会議メンバーの「任命拒否」問題が主に審議され、維新の会からは足立康史代議士が質疑に立ちました。
学術会議問題の決定版とも言えるやり取りなのでぜひご覧頂きたいのですが、動画は見ないという人のために私の方でテキストでも内容に触れながら論点をまとめてお伝えしたいと思います。
※動画の内容をそのまま文字起こし・解説したものではありません。音喜多テイスト入り
「任命拒否」は憲法違反 or 法律違反なのか?→否
まずここ三日間で様々な情報が整理されまして、任命拒否の法的問題点はほぼ決着したと思います。
一部野党や左派有識者がしきりに「違法だ!」あるいは「憲法違反だ!」等と主張してきましたが、今回の任命拒否は適法でありむしろ憲法に則った行為です。
日本に独立委員会を導入したのはアメリカだが、本家アメリカの独立委員会の委員は政権が決める。
民主主義国で、政権の監視が利かない政府組織が存在してはいけない。これは民主主義の鉄則中の鉄則だ。
一部のメディアなどは「独立」の意味をはき違えていないか?— 辛坊治郎 公認【辛坊の旅N】 (@JiroShinbo_tabi) October 5, 2020
辛坊治郎さんが端的に指摘をしている通り、民主主義国で政権の監視=人事の任命権が及ばない政府組織は存在してはなりません。シビリアンコントロールを失うとどうなるかは、戦前の日本が示している通りです。
だから「独立機関」とはいえ、任命権は民主的な手続きで選ばれた政府が持つというのは、洋の東西を超えたセオリーです。
独立しているのはあくまで「運用」であって、人事などの任命権は人民の代表者である政府がグリップしなければならないわけですね。(ただし、諸外国はその「任命」に厳しい監視の目が注がれる。後述)
このことを担保するために、日本国憲法には以下の記載があります。
日本国憲法第十五条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
仮に国民の代表者たる政府が特別公務員である学術会議メンバーの選定権を持たないとすれば、逆にこの憲法に触れることになりかねません。
よってここから論理的に導き出される答えは、1983年の日本学術会議法に対する国会答弁・政府運用が間違っていたということです。
内閣法制局は、「任命拒否も可能」という法解釈は当時から変わっていないというスタンスを取っています。あくまで法の「運用」が当時とは変わったということですね。
政府の説明や対応は正しいか?→否
違憲でも違法でもないということは確認できましたが、では今回の政府の対応に間違いはないのかというと、その答えもまたNoだと思います。
いきなり法の運用を変えた上、任命拒否の理由も十分に説明しないのであれば、国民が納得しないのは当然です。国会答弁をあっさり覆したのだから、国会軽視でもあります。
菅総理は当初よりは少し踏み込んで「前例踏襲でよいのか」という発言をしています。暗に以前までの政府対応を批判しているわけです。
ここは玉虫色にせず、「これまでの運用が間違っていた、これからは憲法と法の内容に則って適切に任命を行なっていく」とはっきりと宣言し、任命拒否の理由も詳述するべきです。
そして、政府が任命拒否の理由を説明する上では、学術会議側もまた「推薦理由」を詳らかにしなければフェアではないと思います。
独立組織の任命システムはこのままで良いのか→否
最後に、なぜこのように政府が「人事理由については個別事案のため、説明は差し控える」というような説明・慣習がまかり通ってしまうのか。
ここに実は、我が国の最大の問題点・改善点がある思います。
冒頭に辛坊治郎さんが例に上げているアメリカでは、独立機関の人事を行う際には「公聴会(質疑応答)」が開かれ、議会側から厳しく任命理由や適格性などを質問され、議論が巻き起こります。
最後は議会の多数決で与党になっている方の意向が通りがちであるとはいえ、この公聴会で何か新事実が判明して報じられれば、民意のうねりによって人事が撤回されることもありえます。
こうした独立組織人事における「公聴会」が日本の国会にも導入されれば、政府が「人事理由については説明しない」などというふざけた慣習は消し飛びますし、人事の適格性が公の場で議論されることになります。
少なくとも最高裁判所裁判官や日銀総裁などは、米国議会レベルに活発な質疑応答が行われる公聴会の対象とするべきでしょう。
不要論すらうずまいている学術会議メンバーの任命まで公聴会の対象とするかは微妙なところですが、少なくとも「独立機関の人事に対しては議論が尽くされる」という公聴会方式が確立されれば、今回のように双方ともに任命拒否理由&推薦理由を明らかにしないなどという不透明なことはなくなるはずです。
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以上のように、今回の学術会議問題について「違憲だ、違法だ」という一部野党の批判は筋違いですが、政府の対応も十分なものとは言えません。
敢えて問題が解決させず、すれ違いを演じ続けるのは、双方にとってその方が「楽」で「得」だからという与党と万年野党の茶番劇。
(この点に興味がある方は、こちらの「あだチャン」動画を!)
菅総理にはぜひこの「茶番劇」に終止符を打つべく毅然とした対応をしていただき、学術会議問題に早々にケリをつけた上で、公聴会制度の導入など建設的な対案を検討いただき、また経済政策や行革の議論を先導してもらいたいと思います。
もちろん、我々も続く参議院の議論や臨時国会で提案を続けてまいります。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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