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現状維持は衰退である。そして「政官財の癒着」の証明でもあった復活予算要望は、廃止されても何ら問題ない

日々のこと

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

師走に入った12月1日の今日は本会議初日、小池百合子知事が就任して二度目の知事所信表明演説が行われました。

スモークフリーオリンピックに向けての受動喫煙対策や、都独自の給付型奨学金について一歩踏み込んだ発言をしつつ、

「現状維持は衰退である」

との言葉を引き、さらなる東京大改革の推進に強い意思を示した小池知事。なかなか感動的な内容だったので、以下に全文を掲載しておきます。

「現状維持は衰退である」という言葉は、多くの人々に語られています。我が国は、長きにわたって「現状維持」に安住し続けてきたのではないでしょうか。「現状維持」はそのときには快適であっても、それは社会、経済、そして政治の後退をもたらすのみであります。

多くの都民の皆さまから「改革を進めよ」との声をいただくのは、「現状維持」では立ち行かなくなる、「このまま」では衰退や後退でしかないと肌で感じておられるからでしょう。

議会におかれましても、『様々な改革へのご議論が始まろうとしていると聞いております。2020年とその先の明るい東京の未来に向かって、改革を進める意欲あふれる皆さまとともに歩んで参りたいと思います。

今回提出された条例案や、細かな政策については是々非々で思うところもありますが、少なくともこの部分には100%共感するものです

都議会では来週からここで示された知事の考えをベースに、代表質問・一般質問で議論を闘わせていくことになります。

さて、所信表明でも知事が改めて触れた、予算編成における「復活予算要望枠」の廃止について、数社から取材を受けました(報道ステーションに出てたらしいですが、見逃した…汗)。

「これは毎年同じ項目が復活してて、形骸化していて無駄だから廃止ってことですよね?」

と聞かれたりもしましたが、部分的に正しくないので改めて説明しておきます。

復活予算要望関連の過去記事はコチラから↓
http://otokitashun.com/tag/%E5%BE%A9%E6%B4%BB%E4%BA%88%E7%AE%97%E8%A6%81%E6%9C%9B/

これらの過去記事で何度か言及している通り、毎年復活する項目はほとんど一緒です。

しかも我々議会サイドが提出してから、わずか数日で復活予算案が発表されることから、極めて「出来レース」の可能性が高い代物がこの復活予算枠となっています。

しかしながら、「出来レース」だからといって無意味ではありません。

区市町村交付金や商店街の振興予算、そして教育関連の私学助成金や建設関係などに割り振られる200億円ですが、毎年儀式的に割り振られると半ばわかっていても、万が一にでも減額させられればその業界にとっては大きなダメージになります。

いわばこの予算を「人質」に取られているようなもので、この制度があるかぎり、その恩恵に預かっている業界団体は復活予算を取ってくる政党・都議会議員に頭が上がらなくなります。

2016-12-02

例えば「区市町村振興」と称して23区や市町村部、島しょ部に充てられる復活予算。これが都議会議員たちの区長・市長会への影響力を、少なからず担保するものになっているのではないでしょうか。

23区長会や市長会がこぞって前回の都知事選の際、最大会派である都議会自民党が推す候補に推薦を出した背景が透けて見えるというものです。

そして基礎自治体以外の業界団体に実質的に割り当てられる予算は、まさに政財官の癒着トライアングルの象徴です。

政治家が、特定分野への予算割当を行政に働きかける

行政が実際にその分野に予算をつける

予算をつけてもらった分野の事業者は、政治家に「恩返し」として政治資金や集票を支援する

…普通こうしたものは、せめてある程度「見えないところ」でやるのが暗黙の了解なのですが。。

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(今朝放送のTBSビビットより)

「このようなものが残っているとは信じがたい!」

などと、他の自治体首長経験者から痛烈な批判が集中するのも無理はありません。

猪瀬元知事のコメントも、参考になりますね。

そして本日の定例会終了後、都議会自民党の幹事長が復活予算枠の廃止は「議会軽視」であり、「困るのは声が届けられなくなる業界団体(要旨)」とのコメントを出したようですが、これはまったく的外れと言わざる得ません。

小池氏、政党復活予算の廃止明言 都議会自民と対決鮮明:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJD15V39JD1UTIL032.html

前回のブログ記事でも触れた通り、予算編成権は地方自治法上明確に知事に認められたものであり、そこにそもそも議会が枠組みを持っていることの方が異常だったのです。

逆に予算の決定権は議会にあり、また修正動議をかけることもできます。異論があるのであれば、本会議場で同等と議論を闘わせればまったく問題ありません。

そして議会復活枠がなくなったとしても、予算編成過程で都議会各会派から「予算要望」が知事宛に提出されるプロセスに変更はありません。今年の場合は12月20日に提出するスケジュールとなっています。

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こうやって書面にまとめて提出しに行くのです(小さい会派の場合、副知事対応になったりする…)。

議員や会派に業界団体の要望を吸い上げる機能があるのはその通りですが、そこでヒアリングした内容はこの予算要望書の中に盛り込んでおけば良いのです。議会が「予算枠」を持っている必然性はどこにもありません。

小池都知事 所信表明 議会勢力拡大に意欲 | NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161201/k10010791431000.html

なお上記のNHK記事にもある通り、都議会自民党を除く会派は復活予算枠の廃止に賛同ないしは追認をしています。

廃止になって困るのは、一部だけだという証左ではないでしょうか。

こうした部分の改革が、蟻の一穴になる可能性もありますし、まだまだ都民に広く知られていない都政・都議会オリジナルな「慣習」があります。

東京大改革によってこうしたものが順次、改善されていくことを後押ししていきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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