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「保育園落ちた日本死ね!!!」って言われたけど、むしろ東京都は保育園をつくるべきではない理由

日々のこと,

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こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員議員(北区選出)です。
不穏当なタイトルですが、今日はこんな匿名ダイアリーが
ものすごい勢いでネット上で共有されていました。

保育園落ちた日本死ね!!!
http://anond.hatelabo.jp/20160215171759

>何なんだよ日本。
>一億総活躍社会じゃねーのかよ。
>昨日見事に保育園落ちたわ。
>どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。

…なんというか、凄まじい怨嗟を感じますね。。
どストレートな内容と、端的で簡潔な文章が大きな共感を呼んでいるようです。

とはいえ、待機児童は東京を始めとする都心部を中心とする問題で、
筆者の方も内容から察するに都民のようですので、

「保育園落ちた東京都死ね!!!」

とするのが正確だったのかもしれません。
これに対して待機児童ゼロ公約を掲げた舛添知事も、無為無策なわけではありません。

しかし、以前に比べこの分野に対する財政的投資は増加傾向にあるものの、
保育所を増やせば潜在的利用者が顕在化するイタチごっこに直面しているとも言われ、
残り任期の2年間で劇的な改善が行われる見通しは立っていません。

それでは東京都はこの問題解決のために、
どのようなアプローチをしていく必要があるのでしょうか。

以前から私が主張している政策の繰り返しになる部分もありますが、
改めて以下にまとめてみたいと思います。

●そもそも保育所・保育園で解決するという発想からの脱却

結論から言うと、保育所というハコモノ・施設でこの問題を解決することは不可能です。
ただでさえ土地がない・高い東京都で保育所を増設するのには、非常に高いコストがかかります。

また将来的には人口減少に向かっていくことが確実なので、
どれだけ国や広域自治体が補助を出して促しても、実施主体である基礎自治体が
これから保育所を新設しようとする動きは非常に鈍くなりますし、実際に鈍い
です。

例えば江戸川区などは、将来的な人口予測を元に、
「保育所の増設で対応するつもりはない」と言い切っています。
ハコモノはいったん作ってしまうと、その後の処理が本当に大変ですからね…。

新設コストが非常に高いため、基礎自治体は及び腰

世論に押されて一定数の保育所は整備するものの、
潜在需要が顕在化するので待機児童は減らない

ますます基礎自治体の負担が増え、消極的になる

保育所による待機児童解決アプローチは完全に、
この負のスパイラルに陥っていると言えます。

●小規模保育や派遣型保育、ベビーシッターの活用に舵を切る

じゃあどうするの?という点については、
小規模保育や派遣型保育・ベビーシッターの活用に舵を切るしかありません。

特に小規模保育は猪瀬知事時代に一定の補助スキームが確立されましたが、
派遣型保育・ベビーシッターに対しては未だにほとんど行政の補助がありません
(基礎自治体が独自に行なっていることはあっても、東京都はほぼ無策)

利用者のニーズに合わせて自宅で保育を行うシステムであれば、
需要次第で供給が調整できるので、今後の少子化にも機動的に対応できます。

私が当選前から主張していることですが、
フランスなどではベビーシッターが保育の中心で、
保育所というハコモノに預けられている子どもはごくわずかです。

参考:日本は子育て貧困国!子育て支援政策をフランス流へ
http://otokitashun.com/agenda/p01/

もちろんこの方向性に舵を切るためには、

「ベビーシッターなんて危険!公立の施設が安心安全」
「そもそも、見ず知らずの他人に自分の子どもを預けるなんてダメだ!」

という世論(偏見)を変えていかなければなりませんが、
その点の普及啓発も含めて東京都が率先して努力していくべきでしょう。
若い子育て世代はだいぶ、こうした偏見からは脱却しているように思えます。

●補助金を供給側(施設)から需要側(利用者)へ。子育てバウチャーの導入を

では具体的にどのように施策を展開していくかというと、
保育所をつくる・運営するために出している補助金を、利用者側に転換していくだけ。
まるまる新たな財源を創りだす必要はありません。

認可保育園というのは、本来利用者が負担すべき金額を
行政が施設側に補助するから安く使えているわけで、
保育園に入れない人たちはこの恩恵に預かれません。

見方によってはこれほど不公平な制度はありませんので、
冒頭の記事の中でも

>保育園増やせないなら児童手当20万にしろよ。

という一文がありましたが、
保育・子育て関連のみに使えるバウチャー(クーポン券みたいなもの)を
子育て世帯に一律で給付すれば良いのです。

保育所に当選した人は、そのバウチャーを保育料に使えばいいし、
ベビーシッターを利用する人はシッター代に充てることで、
誰もが安価に保育サービスにたどり着くことができます。

バウチャー利用を見込んで、新規の保育事業者の民間参入も加速するでしょう。
さらなる利点として、バウチャーを利用できる事業者を登録制・認可制にすることで、
不安視されているベビーシッターの質を担保・高める効果も期待できます。

バウチャー導入は待機児童問題を解決するとともに、
共働きで高額納税している人ほどなぜか保育園に入れないという、
「受益と負担」の不公平を是正することにもつながるのです。

…というわけで、冒頭記事の筆者の主な主張は
「もっと保育所をつくれゴルァ!」ということだったのですが、
むしろ解決策としては

「(行政が)保育所をつくるのをやめろ!その分を利用者に配れ!」

という方向が正しいのではないかと思います。
もちろん民間参入による保育所の新設は必要ですし、そのためには
保育士不足の改善=保育士の待遇改善に十分な投資をしていかなければなりません。

そもそも全体的に子育て世帯・子どもたちに対する投資額が、
わが国は先進国にあるまじき低さであることが諸悪の根源です。

オジサン政治家たちは口先ばかりで、この問題に本腰を入れませんので、
次世代の政治家や世論が声を大にして突き動かしていく必要があります。

バウチャー制度の導入を唱える政治家・議員はまだそれほど多くありませんが、
この理念の普及とともに、議会での政策提言も粘り強く続けて参ります。

それでは、また明日。

続編(関連記事):
待機児童問題は、政治家を実際に動かすほどのムーブメントになっていない
http://otokitashun.com/blog/daily/10466/
政治家から見た、「子育て層の政治に対する影響力」の弱さ
http://otokitashun.com/blog/daily/10478/
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http://otokitashun.com/blog/daily/10515/

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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