4月1日からいよいよ消費税が8%に増税されました。
続いて10%への増税も控えており、この際には負担軽減策として
「軽減税率」
が予定されていますが、これが最悪の政策であることは
以前の記事でご説明させていただきました。
【消費増税】「軽減税率」は最悪の選択肢?!
http://www.junkstage.com/syun/?p=478
そして私はこの代替案として「給付つき税額控除」という施策を
提唱させていただいているのですが、本日はこの制度について
現状と課題をお話しさせていただきたいと思います。
「給付つき税額控除」とは、
社会保障給付と税額控除が一体化した仕組みです。
今の先進国には、たくさんの社会保障給付があります。
子育て給付金や医療費の補助、生活保護や年金もこの一種です。
これらには膨大な種類とそれぞれに複雑な給付条件があり、
行政を誇大化させてコストを増やす原因にもなっています。
税金を集めて配る(給付する)ために、また税金を使ったりもしています。
参考:
話題の「子育て世帯臨時特例給付金」、配るのにかかる費用が202億円!
http://otokitashun.com/blog/daily/2937/
このようにさまざまな「給付」、つまりお金を配っている一方で、
国は国民から色々な形で税金を集めています。
所得税や住民税、もちろん消費税エトセトラ、エトセトラ…
給付つき税額控除とはつまり、
すんごく簡単に言うと
「集めて配るくらいなら、最初から返す分は集めなきゃいいんじゃないの?」
「配る対象になる人は、その段階で(税額を査定する時に)給付しましょう」
というものです。
これが実現できれば、行政のコストは著しく減少します。
どこで所得制限を線引きするかという議論はあるものの、
生活保護や貧困世帯への子育て・教育支援などの
社会保障政策も一本化することが可能になるわけです。
まさしく行政の効率化、「小さな政府」に
ピッタリの政策ですが、残念ながら課題も多くあります。
まず、多くの国では(特に我が国では)国民の納税額、
つまりその元になる所得の額を把握できていません。
ほぼ正確な所得が把握できるのは、サラリーマンのみです。
実際、給付つき税額控除を導入しており、国民のほとんどが
自ら確定申告を行うアメリカでは、この控除を受ける人々の
約30%が不正受給(不正控除)であるとも言われています。
しかしながらこうした点は歳入庁などの専門機関の設置や、
現代のIT技術などを駆使すればある程度は正確な所得が
把握できるともいえるでしょう(管理国家だ!という批判は浴びますが)。
もう一つは、この「給付つき税額控除」も実は軽減税率同様、
政策誘導的に利用ができてしまうことです。
単純に所得だけで判断するのではなく、
・子どもや配偶者の有無を加味するのか
・資産性の所得も加味するのか否か
・資産用件を導入するか否か
などなどの条件を考慮していくと、結局政治家たちが
自分たちが利益誘導したい母体への影響を考えてしまい、
制度が複雑化して結局行政コストが下がらない結果に陥りかねません。
実際、先行的に導入されている各国でも控除や給付の条件は
まさに百花繚乱という状態で、
「共通しているのは、名前に『税』がついていることのみ」
とも揶揄されている状態です。
うーん、この制度設計は見れば見るほど複雑で難しい…。
このように多くの課題は残っているものの、
「集めて配るくらいなら、最初から返す分は集めなきゃいいんじゃないの?」
という発想は確実に正しいものだと思いますし、
日本も導入に向けて本格的な議論を加速するべきだと考えます。
少なくとも、「軽減税率」なんてものよりよっぽどマシです。
「小さな政府」の実現にはまだまだ課題が伴いますが、
行政のスリム化がイコール国民の利益となるような仕組みが
上手く機能するよう、今後も政策をブラッシュアップしていきたいと思います。
それでは、また次回。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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Tags: 軽減税率