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【消費増税】「軽減税率」は最悪の選択肢?!

政治コラム

前回に引き続き、消費税のお話しです。

消費税増税にあたって、低所得者層の負担が増加するということで
その負担を和らげるためにまた

「軽減税率」

の導入がマスコミ(新聞)を中心に声高に主張されています。
(あえて太文字にしておきます)

軽減税率 消費税8%時に導入を目指せ(9月26日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130925-OYT1T01661.htm

「軽減税率」とは、食料品や生活必需品などの特定品目の税率を下げ、
低所得者への配慮をする税制度です。

欧州の国で導入されている例もあり、耳触りがいいので人気があるのですが、
端的に言ってこれはとても「筋が悪い」政策であり、
私は軽減税率の導入には一貫して反対です。

軽減税率導入派の主張として、消費税は個人の所得に関係なく
平等に課税するため低所得者に不利になるので(『消費税の逆累進性』と言います)、
低所得者に配慮した税制にするべきだ!というものですが、

そもそも間接税である消費税は「そういうもの」で、
所得がない人にもある人にも平等に課税できることがメリットでもあるのです。
それを無理やり是正しようとすると、あらゆる歪が生まれます。

まず、何が「食料品」「生活必需品」に分類されるか、誰がどう判断するのでしょうか?
あらゆる業界団体が自分たちの商品が軽減の対象となるよう、
政治家や官僚たちに働きかけるはずです。

むしろすでにその動きは始まっており、新聞が
「情報を得るための新聞は必需品であり、軽減の対象とすべきだ」
としきりに主張し始めています。

この結果生まれるのは、族議員と利益誘導型の政治です。
特定産業への軽減措置は、補助金以上の強力な利権になります。
これを差配できる決定権が、政治家の新たな権力の温床となるでしょう。

さらに、品目によって税率が違うことは行政手続きを著しく煩雑化し、
コストが上がって行政の誇大化を招きます。

利益誘導型政治+行政の誇大化で、「大きな政府」一直線です。

加えて言えば、低所得者への対策としても極めて非効率です。
高所得者も低所得者も品目よって等しく軽減の恩恵が受けられるので、
むしろ出費額の多い高所得者の方がメリットを享受する可能性すらあります。

繰り返しになりますが、平等に課税できることが間接税である消費税のメリットでもあり、
低所得者に配慮をしたいのであれば所得税などの「直接税」で狙い撃ちにするべきです。

「給付付き税額控除」など、行政コストを下げて低所得者に確実に恩恵が行く政策が
すでに多くの専門家や政治家から提言されています。消費税増税と同時に導入されるべきは、
こうした「直接税」の改革なのです(国民の所得を把握する『歳入庁』設立が前提にはなりますが)。

しかしながら、こうした「筋の良い」政策は

・行政を効率化して人員の削減を可能にし、
・政治家や官僚から新たな利権誕生のチャンスを奪ってしまう

ため、「大きな政府」を志向し権力にこだわる
古い政治家たちは意図的に無視をし続けています。

低所得者に配慮するような顔をして、
実は自分たちの権力の温床を創ろうとしている政治家と、
その恩恵に預かろうとしている新聞にはゆめゆめ気を付けて下さいませ。

それでは、今日はこのへんで。

 

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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