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こんなのアリ?!政治家が、自分の団体に寄付して税金を取り戻すカラクリ

都議会の話

セクハラやじの鈴木都議側、年末に不自然な資金操作 数百万円寄付→数日で支出
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140731/crm14073106000001-n1.htm

何かと最近、注目度の高い東京都議会ですが、
また「政治とカネ」にまつわる問題が浮上しまして…。

今回発覚したのは、ある都議会議員が年末に700万円以上の個人献金を
自らが代表を務める政治団体に寄付し、それを帳簿上、領収書なしで
数日間ですべて使い切った…という収支報告をした事実です。

写真 (2)

本件については「とくダネ」から取材を受けまして、
都議会議員の立場からいくつかのコメントをさせていただきました。

結論から申し上げれば、この国では
トンデモない制度が大手を振ってまかり通っています!!

この問題は多岐に渡りますので、
ポイントを絞って解説しますね。

政治の世界には、「個人献金」という仕組みがあり、
応援したい政治家が所属する政治団体に、有権者たちは寄付をすることができます。

例:おときた駿への献金のお願い(良かったらご検討ください←)
http://otokitashun.com/contribution/

そしてこの「寄付」という行為は「良いこと」なので、
これを促進するために税金面での優遇が措置があります。
所得控除といって、まあ簡単に言えば寄付をした金額の数十%は戻ってくるのですね。

ただし、税金の優遇措置が受けられるのは都道府県議会議員および国会議員で、
市区町村議員の政治団体に寄付をしても還付金はもらえません…。
ここまでが前提になります。

さて、まず政党に所属する議員たちは、
2つの政治団体を持っていることが一般的です。

・自分自身の後援会
・所属政党の支部

私も自分の「おときた駿後援会」の代表者であるとともに、
政党支部の「みんなの党東京都議会第六支部」の代表者でもあります。

政党所属の議員の場合、政党から活動費などがもらえることがあるので、
この政党支部というのがその政治資金を管理する団体として必要になるのですね。
(企業団体献金の窓口としての機能もあります)

そして政治家自身も、自分の政治団体に寄付をすることがあります。

人件費や事務所費、機関誌の発行など、政治団体の活動にはお金がかかりますから、
政党から支給される活動費や支援者からの献金だけでは、賄うことは困難なのです。

私自身も、今は自分の政治団体にだいたい毎月30万くらいずつ、
活動資金として議員報酬からお金を「寄付」という形で振り込んでいます。

で、ここからが問題です。

カンの良い方は、もうお気づきですかね?
な、なんと日本の制度では…

自分が代表者を務める政党支部に政治家本人が寄付しても、
税額控除の対象となり、還付金をもらうことができるんです。

※後援会は対象外で、あくまで政党支部のみ。

さらにさらに、ここに悪質なカラクリが加わります。

地方議員の政治団体収支報告書は、
5万円以下の支出について領収書添付・報告義務がありません。

つまり、

「すべての支出は小口で、全部5万円以下でした」

と言い張れば、何に使ったかは完全にブラックボックスの中。
そして、この政治団体の代表者は政治家自身ですから、
事実上お金の使い道は自分で決めることができます

さあ、きな臭くなってきましたね。
わかりやすく、たとえ話にしてみましょうか。


ある政治家が500万円、持っています。
これをそのまま使ってもいいのですが、自分の政治団体に寄付します。
でも、政治団体の口座は自分のものですから、お金は自由に使えます。

政治家は車を買ったり、海外旅行に出かけたりして500万円を使いました。
ところが、今の制度では、政治団体には5万円以下の支出の報告義務はないので、
「すべて5万円以下の政治活動で使い切った」として、収支報告書を提出しました。

すると不思議なことに、税務署から150万円のお金が翌年還ってきました!(゜д゜)ウマー

…あくまでたとえ話ですが、
こんなことが実際に起こりうるのが、今の日本の制度なのです。

私自身もこの制度を昨年末に初めて知り、
わが耳を疑ってなんども選挙管理委員会に確認しました。
だって、こんなの錬金術じゃん?!

5万円以下ということにすれば事実上報告義務がない政治団体に、
自分で寄付をして還付金がもらえれば、政治家はいくらでも
税務署から還付金を受け取ることができます。

そこまでする人はいないと信じたいですが、
例えば実際にお金がなくても、

「私は2千万円寄付した。そして政治団体が5万円以下でそれを使い切った」
※政党支部への寄付金上限は2千万

ということにして収支報告書をつければ、
1円もお金を動かしてなくても、相応の還付金が返ってくることになります。
これが理論上は、できてしまうのが今の制度です。

ちなみに国会議員の場合は、1万円以上で領収書を添付する必要があり、
さらに情報公開請求があった場合、1万円以下の支出についても公開する義務
があります。
寄付金の税額控除については同様でも、ここまでひどいことはできません。

日本は今すぐ、

・政治家本人からの寄付は、税額控除の対象外とする
・地方議員の政治団体も国会議員同様、1万円以下の支出に公開義務を付ける

この2点を法改正し、抜け道を両方とも塞ぐべきです。
こんなことが大手を振ってまかり通ってきたこと事態が、
制度上あまりにもおかしいのではないでしょうか。

たしかに政治には、お金がかかります。
だからといって、制度の「抜け道」を利用して、
有権者の税金からいただいた議員報酬で税金対策など、許されるはずがありません。

きっと長く政治家をやっている方々は、周りが「当たり前」のように
やっていることで、感覚が麻痺してしまっているのでしょう。
なお、我々みんなの党Tokyoのメンバーは、

「制度上許されているとしても、あまりにも政治倫理にもとる」

として、自身の政治団体に寄付したものは、
税額控除の申請を行わないことを申し合わせております。
(私の場合、後援会の方に寄付しているので、そもそも対象外ですが)

こうした視点から、冒頭のニュースをもう一度読んでみて下さい。
なぜこうした行動に至ったのか、そのカラクリが見えてくるかもしれません。

明日のフジテレビ「新報道2001」でも、本件の続報が放映されるそうです。
私もまた取材を受けましたので、コメントが使われるかも?

そしてどうか皆さま、これを機会にこの制度の改正に向けて、
身近な政治家にご意見を届けてください。

「あなたは寄付金の税額控除、申請してますか??」

と聞いてみるのも、いいかもしれませんね。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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