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「変わらないことを望むのは健常者、変わることを望むのは障がい者」

日々のこと

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は私や障がい当事者の斉藤りえ区議も発足人に名を連ねた、

「障がい者の政治参加を促進する首都圏議員連盟」

のキックオフイベントが行われました。
今回は「障がい者の政治参加」を考えるのがメインテーマです。

基調講演を務めていただいたのは、
国際人権法・人権政策学を専門とする神奈川大学法学部教授の山崎公士氏。

私は第二部のパネルディスカッションにて、
聴覚障がい・視覚障がい・発達障がいなどの様々な障がい当事者の方々との
パネルディスカッションのコーディネーターを務めさせていただきました。

ネットの告知のみで、60名の会場は超満員(ほぼキャンセルなし!)。

20150926 障がい者参政権イベント_2472

山崎教授からは国際社会における障がい者政策や
人権意識のトレンドを中心にご講演いただいたのですが、
その中の一部をご紹介。

まだまだ不十分ではあるものの、近年になって急速に
障がい及び障がい者に対する意識や社会の考え方が変わりつつあるのを、
皆さまも少しずつ感じているのではないかと思います。

ここには障がい(者)について、2つの「発想の転換」があると言います。

一つめは、「保護の客体から権利の主体へ」
これまで障がい者は、様々な政策やサポートで保護される「可哀想な存在」でした。
健常者たちは、ある意味で障がい者に対して「上から目線」で手を差し伸べていたのです。

しかしながら近年、障がい者も健常者も等しく同じ人間であり、
同じように社会生活を送る権利を持つ。そのための施策を、社会は講じなければならない…
このような権利意識が確立してきたわけですね。

もう一つは「『医学(個人)モデル』から『社会モデル』へ」
こちらは専門用語が入り複雑ですが、重要な概念の変化です。

従来の考え方では、障がいというのはその「個人」に帰するものとされてきました。
障がい者が様々な困難に直面するのは「その個人に障がいがあるから」で、
その克服や対応の責任はあくまで一義的には個人及びその家族にありました。

この考え方では、障がいをリハビリや医学的治療で
少しでも軽減していくことが望ましい方向性とされます。

一方の「社会モデル」は、日常生活や社会生活で障害者が受ける制限は、
社会のあり方との関係によって生ずるという考え方です。

つまり、障がい者が困難に直面するのは
社会の方が障壁を作り出しているからだと捉えるわけですね。

街に段差がなければ、健常者であろうと障がい者であろうと「困難」はありません。
個人ではなく、社会の方こそがこうした「障壁」を取り除く義務がある…と。

今でこそ後者を「当たり前」と感じる方もいらっしゃるでしょうし、
この考え方がバリアフリーや、障害者権利条約における基本となっています。

しかしこのような考え方が世界の潮流となったのは、
歴史的に見ればごく最近の出来事だということを忘れてはなりません。

余談ですが、あの「24時間テレビ」に対して批判的な意見が多く、
時に障がい当事者からも厳しく糾弾されるのは、番組の考え方が
前者の「個人モデル」に寄っているからではないか
と、個人的にちょっと思っています。

障がい者が努力でそのハンデを乗り越えていく姿は素朴な感動を与える反面、
ハンデや困難を個人に帰する「個人モデル」の考え方を無意識に
人々に刷り込んでしまうのかもしれませんね。

第二部のパネルディスカッションでは、
会場の皆さまも交えて様々な当事者から
主に「政治参加・選挙」における障壁(バリア)を語ってもらったのですが、

「選挙期間中は、演説や選挙カーなどから一切の情報を得られない」(聴覚)
「選挙広報に点字が義務ではないため、自治体によっては隔絶される」(視覚)
「投票所で読み上げ人のサポートを受ける際、秘密投票が守られない」(視覚)

「Web上の選挙公報が画像のみなので、読み上げソフトが対応できない」(視覚)
「投票所が遠く、郵送による不在者投票も制度設計が不十分」(肢体不自由)
「投票所内でパニックを起こしたら、立会人に追い出された」(発達)

等など、当事者ならではのリアルな体験や、
その改善に向けての政策提言が行われました。

それぞれ一つだけでブログの一記事になってしまう内容なので、
またこちらは折にふれてご紹介させていただき、しっかりと政策提言へ
つなげていきたいと考えています。

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(議員連盟メンバーと登壇者の皆さまで)

ちなみにブログのタイトルは、
先日とある障がい当事者の方と意見交換してきた際に出てきたもの。
※街づくりやバリアフリー環境整備の文脈で出てきた言葉です

「変わらないことを望むのは健常者、変わることを望むのは障がい者」

様々な政策課題に直面する中で、身につまされずにはいられない言葉です。
公職選挙法の改正も、街や道路の再開発も、古い人ほど現状を維持したがるけれど、
障がい者のためにはまだまだ「変化」が必要なものがあまりにも多い。

最後にはそんなことを思った本日でした。
私自身、本当に勉強になりました。まだまだ頑張らねばっ!

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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