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東京都で、安いお弁当が路面販売で買えなくなる?!…かも。 -自由と隷属のトレードオフを考える-

日々のこと

1月はほぼ正式な公務がなかった都議会ですが、いよいよ2月は第一定例会がスタートです。
予算特別委員会も同時に行われ、1年で一番タフな日程となります。

来週の告示日に先だって、本日予定提出議案の事前説明が行われました。
130ある議案の中で、今日は皆さまに直結しそう&議論を呼びそうな

・食品製造業等取締条例の一部を改正する条例

こちらの議案をご紹介します。これは一体なにかというと、
都内のお弁当の路面販売(行商)を取り締まる・規制を強化する条例案なんです。

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画像引用元

大きめなオフィス街にお勤めの方なら、昼間になるとどこからともなく現れて、
500円前後で安価なお弁当を売る路面販売・行商の姿をよく見かけると思います。

バブル経済の崩壊後、社食を完備するような企業は激減し、オフィス街の飲食代はお高め…。
そんな中、こうしたワンコインでお弁当が買える路面販売・行商の存在は、
ビジネスマンたちの強い味方です。

現在このお弁当の路面販売は「届出制」で、
届出さえ出せば事実上だれでも商売をすることができます。
(ちゃんと保健所の許可を取ったお弁当を売ることはマスト)

すぐに移動できる「行商」なので道路使用許可なども原則必要なく、
店舗と違って食品衛生管理者の取得・確保なども要らないので、
ここら辺が価格競争力の秘密になっているわけですね。

今回の条例案は、この「届出制」を「許可制」へと変更し、
飲食店に近い基準の食品衛生管理を路面販売にも求めるものです。

これによりお弁当の路面販売は激減し、また生き残った業者も
コスト高騰から値段を上げることが予想されます。
人件費など、管理・事務コストがアップしますからね。

なぜこの路面販売が、厳しく規制される運びになったのでしょうか?

「路面販売は衛生管理などがされていないため、安全性に問題がある」

というのがその表向きの理由です。
しかしながら現時点で、大きな食中毒や社会的な事件が起きたわけではありません

うーーん。。

これはとても難しい問題だし、どっちが正しいとかではないので、意見が分かれると思うんですよ。
「安心・安全のため」と言われれば、声を大にして反対しづらいのが人情です。

しかしながら、「衛生上の問題」「安心・安全のため」という一方で、
路面販売によって商売を圧迫されている既存の飲食店舗からの圧力という面も否定できません。
これは立派な「既得権益」の一つです。

本条例案が提出される前に、東京都が設置している
「食品安全審議会」が議論を行って答申を出しているわけですが、

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平成26年2月14日 弁当等に関する食品販売の規制の在り方について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/jourei/tousin.html

名前が表す通り「安全」のための審議会なので、行われたのは
規制に反対する審議員などいるわけがないという、極めてお手盛りの協議です。
一応、バランスを取るために消費者団体の代表者もオブザーバーに入れ、

「安価に食品を買えるという消費者利益を損なわないように配慮する」

ために、建物内での弁当販売等の規制を緩和してきたそうですが、
自由度の高い路面販売と比べて参入障壁が遥かに上がることは自明の理です。

自由主義者の私としては、この規制にはとても違和感を覚えます。
確かに食の安全は大事ですし、「何かあってからでは遅い」のもその通りです。
しかしながら、

何もかもを国や行政が規定する「安心・安全」に従う。
子どもたちも「安心・安全」な場所だけで遊ぶ、遊ばせる。
国が認めた「安心・安全」なところにだけ旅行する、訪れる。

そんな人生の先に幸せがあるとは、私にはどうしても思えないのです。

このお弁当の例でいえば、路面販売は食品安全管理者を置かないなど、
固定費を削減することでワンコインという価格競争力を保っています。
言うなれば、消費者側はその「リスク」を承知で、安いお弁当を享受しているわけです。

安心・安全が欲しい人は高いお金を払っても飲食店で昼食をすませ、
そうでない方は路面販売でお弁当を買って節約する。

それでいいじゃないですか。不健全な業者は、市場によって淘汰されます。
何より「選択肢」があることが、人や社会にとって極めて重要なのです。
最近のイスラム国の事件を受けて、

「自己責任」

という言葉が使いにくくなっている情勢ですが、
自由には責任が伴い、責任を放棄した時に人は自由を失い、奴隷になるのだと思います。

繰り返しになりますが、これは意見が分かれる議案だと思います。
私は現時点で規制に反対の立場ですし、その視点から厚生委員会での質疑を行う予定です。

ただ、これが可決されるようであれば、今の世の中は
「責任ある自由」より「不自由でも安心・安全」を求めているということなのでしょう。

皆さまはこのお弁当の路面販売規制について、どのように思われますか?
お昼休みに少しだけ、考えてみてください。

自由と責任、隷属についてもうちょっと知りたい方は、
ぜひ自由主義者のバイブル「隷属への道」をどうぞ。

その次はフリードマンもオススメです。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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