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平成27年12月10日 総務委員会質問内容(2)

委員会, 議会活動

◯おときた委員 私からは、まず、退職管理に関する条例についての幾つかの質問を行います。
 今回の制度の見直しに伴い、現行制度で活用されている都庁版人材バンクが大きな役割を果たすかと思います。そこでまず、平成二十二年度に整備された都庁版人材バンクについて、これまでの取り組み実績の詳細を伺います。

◯内藤次長 現在、これまでに経験したことのない少子高齢化、人口減少社会が到来し、働き手の確保が社会的な課題となっている中、国を挙げて、官民を問わず、高齢者の知識、経験を一層活用することが求められていると認識しております。
 都におきましても、退職した幹部職員が定年またはその直前まで勤務して培った知識、経験を社会のさまざまな分野で活用することは、社会の要請に応えるものであり、有意義なものと認識してございます。
 一方、職員の再就職につきましては、都民から公正な都政運営が損なわれるといった疑念を持たれることがあってはなりません。
 そこで、都は、再就職に関する法規制が導入される前から、人材の有効活用と再就職の透明性の向上を図るため、再就職情報を一元的に管理する、ご指摘いただいた都庁版人材バンクを独自に整備し、適切な運用を重ねてまいりました。
 このバンクによります実績でございますが、平成二十二年度は百四十九名、二十三年度は百二十八名、二十四年度は百十一名、二十五年度は百四名、二十六年度は百六名、そして二十七年度は八十九名となってございます。

◯おときた委員 ご答弁で都庁版人材バンクの実績がよくわかりました。
 さて、今回の見直しは法改正を契機とするものですが、東京都は、国の法律よりも踏み込んだ規制を条例案として提案してきております。これ自体はすばらしいことではありますけど、このような厳格化するような理由やきっかけが、これまで都庁版人材バンクを運用していく中で何かあったのでしょうか。
 東京都独自の取り組みが提案された背景を伺います。

◯内藤次長 都庁版人材バンクを整備して以来、都は制度の適切な運用を重ねてきておりまして、この間、特段の問題は生じていないと認識してございます。
 一方、本年の人事委員会勧告では、都のこれまでの取り組みの有効性をご評価していただいた上で、法改正を契機に、より一層透明性、公正性を高め、退職管理の取り組みを進めていくことが重要との意見が述べられてございます。
 こうしたことから、都は、改めて退職管理の取り組みを拡充し、これまでの人材バンクの取り組みに加えて再就職の前後の規制を強化することで、退職管理の透明性、公正性を一層向上させ、人材の有効活用を推進してまいりたいと考えております。

◯おときた委員 都庁版人材バンクには問題はなく、あくまで退職管理の透明性、公正性の向上のためであるというご答弁でした。
 では、このために設けられた都独自の取り組みについて何点かお伺いいたします。
 離職後も二年間は利害関係企業に求職活動をしないように要請という部分について、こちらはあくまで、罰則などを設けて規制するものではなく、要請にとどまっています。これについては実効性に関して疑問が残りますが、なぜこちらを要請にとどめたのか、その理由をお伺いいたします。

◯内藤次長 退職後の職員につきましては、まさに一私人でございまして、職業選択の自由が保障されることから、本来、その求職活動を過度に制限すべきではないものと認識してございます。
 しかしながら、一方で、国におきましては、管理職が退職後に若干の期間を置いてから利害関係企業等への求職活動を行うなどの対応が一部問題視されているやに聞いております。都は、こうした問題を未然に防止するため、管理職について、職業選択の自由にも配慮しつつ、公務の公正や都民の信頼をより一層確保するため、退職後二年間、求職活動の自粛を独自に要請することといたしました。
 なお、その実効性につきましては、この要請のみならず、罰則を伴う働きかけ規制や再就職状況の公表など、今回の退職管理の取り組み全体によりまして、公務の公正や都民の信頼等が確保されるものと認識してございます。

◯おときた委員 ご答弁をいただきまして、国では、管理職が退職後に一定期間を置いて利害関係企業等へ求職活動を行うことが一部問題視されているということですから、ぜひ東京都ではそういったことがないように運営をしていただきたいと思います。
 また同様に、再就職情報の届け出義務、こちらについても、一般職に拡大を独自に行うものの、管理職とは異なり、罰則は導入されていないのですが、こちらもこのように設定した理由を教えてください。

◯内藤次長 再就職情報の届け出につきましては、今回の法改正により導入された働きかけ規制の実効性を高めるため、それぞれの地方公共団体の自主的な判断により、条例により義務づけることが可能とされました。
 都は、働きかけ規制が全職員を対象としていることを考慮いたしまして、全ての職員に対して再就職情報の届け出を義務づけることとしております。
 しかし、罰則につきましては、一般職が、管理職と異なりまして対外的な影響力を有する意思決定権を持たないことや、退職後は一私人としてそのプライバシーを十分に尊重する必要があるため、これを科さないこととしております。
 なお、国におきましては、再就職情報の届け出義務の対象を管理職のみとしておりまして、国が地方公共団体に例示した条例の参考例を見ましても、同様に管理職のみとされているところでございます。

◯おときた委員 要請にとどまる点と届け出義務に罰則を設けていない点、それぞれに一定の理由があることがわかりました。
 しかしながら、こうした独自の取り組みが目指す方向性がいかにすばらしくても、その実効性が担保されなければ絵に描いた餅になってしまいます。こうした要請や義務づけをどのように意味ある形で運用していくのか、この点、今後の見解をお伺いいたします。

◯内藤次長 これまで都は、能力、業績に基づく公平、平等な選考による実力本位の任用管理を徹底するなど、都独自の人事制度を構築し、その都度、必要な見直しを積み重ねながら制度の実効性を高めてまいりました。退職管理につきましても、そうした人事制度の一環として、法令による規制が導入される前から、再就職情報を一元的に管理する都庁版人材バンクを独自に整備し、厳格な運用を図ってきたところでございます。
 その結果、この間、特段の問題は生じておらず、再就職の適正や公務の公正、都民の信頼確保といった退職管理の趣旨につきましては、都を退職する職員一人一人の意識に根づいているものと認識しております。
 新たな退職管理制度につきましても、今後、リーフレットやホームページ等を活用いたしまして、現役職員や元職員への周知徹底を図りながら、その実効性を確保できるよう適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 今後とも、より一層透明性、公正性のある退職管理を実現するとともに、人材の有効活用をさらに進めてまいりたいと考えております。

◯おときた委員 ご答弁をいただきまして、国の方針より厳しい取り組みを行うということはもちろん賛成でございますが、結局、こうした天下りと申しますか、退職管理の制度については、仏つくって魂入れずで終わることが多いようにも思います。国の制度でも一部問題があったという話がありましたので、ぜひ東京都は、今回はそういった反省点も含めて厳格な運用をされることを要望いたしておきます。
 最後に、職員給与引き上げの条例に関連いたしまして一点だけ。
 今回の改定で、東京都の財政にトータルでどれだけの負担が発生するのかを教えてください。

◯栗岡労務担当部長 本年の人事委員会勧告実施に伴います所要経費につきましては、全会計ベースで、例月給が十八億円、特別給、ボーナスが八十三億円の合計百一億円を見込んでございます。

◯おときた委員 こちらに関連いたしましては、人事委員会での質疑でいろいろと議論をさせていただきましたが、果たして、都政を取り巻くさまざまな状況の中、合計すると百億円を超える財政負担の発生に都民の理解が得られるのかどうかというのが非常に大きな論点になってきます。こうした数値も吟味した上で、本条例案への賛否をしっかりと判断したいと思います。
 以上で質問を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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