新年早々、東京都に関する残念なニュースが流れています。
五輪都市東京:たばこ規制失速 自民異議、条例見送り
http://mainichi.jp/graph/2015/01/06/20150106k0000e040218000c/001.html
昨年の夏、東京五輪開催に向けて
受動喫煙防止条例の制定に強い意欲を示していた舛添知事ですが、
議会内の与党勢力に配慮をしてかなりトーンダウンをしているようです。
実は昨夏、舛添都知事が条例制定に意欲を見せた途端、
都議会自民党は以下のような意見書を提出・プレス発表していました。
画像が荒くて申し訳ないのですが、
要は
「分煙の取組みは順調に進んでいるのだから、このまま分煙でやるべし」
「一律に屋内禁煙にするなどもってのほか!関係者からヒアリングして慎重に行うべし」
という、舛添知事に対する強烈な牽制球を即座に投げていたのですね。
この機動力には目を見張るものがあります…
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しかしながら、我が国の受動喫煙に対する対応は、
国際基準と比較して遅れに遅れています。
世界各国の潮流をみると、G8で屋内施設が禁煙でないのは日本だけであり、
いわゆる先進国、G20の大半を含む全世界44か国がすでに屋内禁煙を実現しており、
我が国の受動喫煙に対する意識の低さと対応の遅れは明らかです。
特に五輪に関連しては、IOCが「スモークフリー・オリンピック」の方針を打ち出して以来、
すべての開催国または開催都市で『罰則規定付の法律・条令』が定められています。
しかしながらここ東京都では、
いまだに屋内禁煙はおろか、分煙すらも徹底されておりません。
その際たる例が実は、政策決定をしている都庁及び都議会議事堂です。
多くの高層ビルが屋内完全喫煙を実現する中、
東京都の象徴である「都庁」の建物内は喫煙者パラダイスです。
数は以前に比べて減ったそうですが、多数の喫煙所が設置されています。
以下は、日本禁煙学会の大和教授に都庁にお越しいただき、
実際に煙の流れなどを測定・調査してもらった時のデータです。
(著作権はすべて日本禁煙学会の大和教授に帰属します)
都庁の第一本庁舎3階。渡り廊下があり往来が激しく、
「都民情報ルーム」もあって多くの都民の方が訪れる場所に、
仕切りもなく開け放たれたこんなに開放的な喫煙室があります。
当然、外に煙がダダ漏れしているデータが検出されます。
小さくて見づらいですが、このPM2.5濃度が「25」前後の数値を超えると有害と言われています。
第一庁舎と第二庁舎を移動するには一度屋外に出ることになりますが、
明らかに人がすぐ横を通るところにに無配慮に喫煙所が。
風が吹けば、タバコの煙は来庁者を直撃です。
都庁内に複数ある喫茶店(一般利用可)も、
時間帯によっては喫煙が可能になるところが多数。
高層階のため窓も開けられず、目に見えて煙が漂っていました。
特に前者の、狭いカフェは数値が200を超えており、非常に劣悪な環境と言えます…。
■
一方、都庁の正面にある「都議会議事堂」はどうかというと、
これがもう喫煙者天国を超えて、喫煙者ユートピアです。
なにせ、廊下などの公共スペースと本会議場を除き、
委員会室・会議室・控室などは全面喫煙可。
ご丁寧にすべての部屋に灰皿があります。
しかも、こんなにたくさん…
さらにさらに、建物内には複数個所タバコの自動販売機があります。
今どきビルの中にタバコの自販機があるところなんて思い当たらないんですが、
都議会議事堂以外にあるんでしょうか?私が非喫煙者なので、見落としてるだけ??
一昔前は委員会中でもタバコを吸う議員さんがいたそうです。
今はさすがに減り、常任委員会によっては最初に禁煙を取り決める場合もありますが、
議連などの打ち合わせでは普通にタバコを吸う方は複数いらっしゃいます(見ましたから)。
喫煙をされる議員には期数を重ねた「大物議員」が多く、
そうした方々が力を持って都議会を牛耳っているわけですから、
東京都で屋内禁煙実現などは夢のまた夢…というわけです。
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ちなみになぜ分煙ではダメかというと、
どれだけ仕切っても分煙では受動喫煙の被害を完全には防げないからです。
室内であれば、空気口などを通じてタバコの煙は少しずつ漏れ出ます。
何より商業施設の場合、従業員・清掃員の受動喫煙被害が甚大です。
客であれば喫煙席に近づかないという選択肢も取れますが、
従業員は労働環境を選べるとは限りません。
実際、都庁内の喫煙カフェで働く従業員の方々は、
煙に曇った室内で8時間も働くらしく、相当しんどそうでした。
清掃員も室内の喫煙所を清掃する場合、かなりの受動喫煙被害を受けます。
これは屋外でも完全に防ぐことはできませんが、清掃の時間帯を選べば
かなり少なくすることはできるでしょう。
確かに、喫煙の自由・権利もあります。
しかしながら健康被害は明白であり、屋内禁煙は時代と世界の要請です。
私としては、屋内はすみやかに完全禁煙、
屋外の喫煙所の数を増やして整備する他ないと考えています。
本件は11月の厚生委員会でも、都庁が喫煙パラダイスである実例を挙げながら、
国際基準と比較して遅れている点を厳しく追及・質問しましたが(議事録が未だに出ない!怒)、
「受動喫煙防止対策検討会の結論を待つ」
の一点張りで、前向きな回答はもらえませんでした。
そして報道や議事録を読む限り、この検討会も屋内禁煙には踏み込みそうにありません。。
都議会議員の大半がやる気がないことは明白ではありますけど、
最後に議会を、政治を動かすのは皆さま方お一人おひとりの意見です。
東京都の受動喫煙防止対策について、皆さまはどのようにお考えですか?
ぜひ、身近な議員や議会に声を届けてください。
それでは。また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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