本日は早朝の駅頭→質疑準備→約8時間の厚生委員会と、
なかなかタフな一日でした。。が、質問も終わってとりあえず達成感。
色々とありますが、地方議員の職責をまずは第一に果たします。
本日の委員会では50分という充分な時間をいただいたので、
子育て支援から障害児政策まで、5つの事務事業について
じっくりと質疑をさせていただきました。
本日はその中で、毎度おなじみ「シルバーパス事業」について、
質疑をした部分を取り上げてご紹介します。
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超少子高齢化を控え財政に余裕はなく、世代間格差も広がる現在の東京・日本において、
バラまき福祉とも考えられるシルバーパスを私が問題視点していることは、
以前から何度も記事にしてお伝えしている通りです。
「貧しい若者から、富める高齢者へ」シルバーパスによる所得再配分、やめませんか?
http://otokitashun.com/blog/togikai/4625/
(その他のシルバーパス関連記事はコチラから)
今回は一問一答形式で、東京都の見解を引き出しました。
まず、もっとも気になる、シルバーパスの合理的根拠について。
「高齢者に外出を促すことで、寝たきりを防いで健康になる」
「地域活動や買い物に行ってもらうことで、経済的効果がある」
そう言われるとなかなか反対しづらいのが人情ですが、
これらの合理的な根拠や定量的データを、私は目にしたことがないのです。
シルバーパスがある自治体とない自治体で、健康状態に差異でもあるのでしょうか?
ちなみにあの夕張では、財政破綻に伴い「敬老パス」は廃止。
しかしながら、車がなければ移動ができない地方都市・夕張では、
「さすがにこれでは、高齢者が生きていくことができない」
という切実な状態に追い込まれたため、
その後「100円負担」という形で復活しています。
東京都が行うシルバーパス事業とは、切実さも目的も違うのですが、
それでも、「100円負担」という適正化を実施しました。
年間約160億円も使う事業で、すでに40年も歴史があるのですから、
ここら辺について合理的な根拠・定量的データはもちろんありますよね?
▼
【東京都回答】
毎年度90万人以上の方に発行。充分な支持が得られていると考えている。
(ほぼ答弁そのまま)
▲
…すごい。
「90万人」という数値を定量的データと言い切り、
「人気があるから大丈夫!」と言って続けられている事業。
民間の事業で、これほど根拠脆弱なことが許されるのでしょうか?
さらに、数値関連の追及を続けます。前回ご紹介したとおり、
シルバーパスの値段は、
200円(都内バス運賃の平均額)×10(乗車回数見込み)
×12(ヶ月)×0.8547(共通バスカードの割引率)=約20,510円
で算出されるのですが、この乗車見込みの「10回」ってなんでしょう?
どのような根拠で、この回数が算出されているのでしょうか?
▼
【東京都回答】
交通センサス調査により、高齢者がどれくらいバスに乗るか調査し、10回に設定。
▲
はい、それっぽい根拠が提示されました。
しかし、この交通センサス調査というのは、全量調査ではなくサンプル調査です。
さらに、ある時期からシルバーパスについての調査項目は消去されています。
平成22年度 全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)
http://www.mlit.go.jp/road/census/h22-1/
こちらを良くみてみると、どのデータを使って高齢者の
バス利用の平均回数を算出できるのか、かなり理解に苦しみます。
少なくとも平成7年以降はサンプル調査になってしまっているので、
東京都は独自にシルバーパスの利用回数・利用実態について
調査を進めるべきではないでしょうか?
▼
【東京都回答】
毎年90万人以上の方に発行。充分な支持が得られているものと考えるため、
新たな支出を伴う利用実態調査の実施は考えていない。
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「人気があるんだから、ドンブリ勘定でも問題ないじゃーん!」
ということですね、わかります。
…って、わかりましたかね?!少なくとも、私はわかりません。。
さらに、見せるだけのカード形式が不正使用を招いている点にも触れ、
前回の文書質問同様、シルバーパスのIC化を進めて調査することを提案しましたが、
「現在の磁気方式は、高齢者に広く定着している(=ICカードなんて使えない)」
「ICカードの導入には、新たなシステム開発に経費がかかるなど、課題が多い」
と、前回同様の理由で却下されました。
しかし、今回は一問一答形式ですので、ここからさらに踏み込んで追及します。
経費がかかる・課題があるのはわかりますけど、
ではまず、それを試算し始めるべきでは?
具体的な導入コストを数値にして検討を進めていかなければ、
導入の俎上に乗せることすらできないわけですから。
▼
【東京都回答】
現行のシルバーパスのICカード化に向けては、シルバーパス独自システムの開発に加え、
新たに経費がかかるほか、事務手続きにも課題があると考えるため、経費の試算は行っていない。
▲
…日本語も論理構成もおかしくないですか?
それとも、私の理解の方がおかしいのでしょうか?
経費がかかる・課題があるから、その検証を始めるべきと聞いているのに、
課題があると考えるため、試算は行わない、と…。
思わず、答弁をもらった後に、
「こちらの事業については、効果を証明する定量的データもなく、
実態すらわからないままに多大なる予算の執行を続けるものと理解しました。」
と言い放ってしまいました。
(すっごいブーイングがきたけど)
■
なお本日の厚生委員会自体は、長かったけれど、
一部を除いてとても勉強になりました。
特に、共産党さんの盲ろう者(耳と目がどちらも不自由な方)への
通訳介助支援事業について、
「予算の枠組みで収まるように、使用制限をかけている疑惑がある」
「根本的にもっと予算を拡張しなければ、この問題は解決しない」
という数値に基づいた指摘など、
鋭いものが多々ありました。しかしながら、
「○○が足りない、不備がある」
「××予算の、更なる充実を!」
と訴えるのは気持ちがいいですけど、やはりそう主張する以上、
どこからか財源を確保することを同時に考えなければならないと思います。
本日の質疑の全質問を通して、
「○○を縮小しろ(適正化しろ)」という提案をした議員は、私一人でした。
その時の雰囲気の、まあ恐ろしかったこと(苦笑)。
一度はじめてしまった事業を縮小することの困難さを、
改めて肌で感じた今日の委員会ではありましたが、
引き続きこの問題についてはしつこく取り上げていきます。
予算委員会でやったら、とんでもないヤジが飛んでくるんだろうなあ。。
皆さんも、本日の東京都の答弁を聞いて、
率直にどう思われましたか?ぜひ、様々な意見を議員や都政に届けて下さい。
皆さまの声がなければ、政治も行政も変わらないのですから…。
他の質問についても、折を見て順次紹介していきます。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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Tags: シルバーパス