なぜか関係各方面から、
「オトキタは、この件で意見を書かないのか?(=書け!)」
というお問い合わせをいただきましたので、
私の所感もなにか書きたいと思います(苦笑)。
愛知新城の穴開きコンドーム事件の後日談。なんと不埒な発言をした議員は議事録から発言を削除されたのに不問。追及した議員のほうが責任を追及されるという不思議。 pic.twitter.com/J5k1UN8mM9
— 長谷川哲(憲法改悪反対、原発イラネ) (@akiralrv) 2014, 7月 24
事の発端は、またも議会における不適切な発言。
「穴の開いた避妊具配っては」…新城市議が発言
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140718-OYT1T50171.html
「婚姻届を出した市民に、穴の開いた(避妊具の)コンドームを配ってはどうか」
ある市議による上記の大・大・大・問題発言を、別の市議がブログで指摘して表面化。
都議会ヤジ問題・政務活動費問題で地方議会に注目が集まる中、
大きな話題になって当該議員からは謝罪がなされました。
とまあ、ここまでは良いのですが(良くないけど)、
そこから事態は思わぬ方向に急展開し、冒頭のtweet内容につながります。
議員の情報発信を制限へ 新城市議会「ルールつくる」
http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=196471&comment_sub_id=0&category_id=113&from=news&category_list=113
>浅尾洋平市議(37)=共産=がブログで長田氏の発言を取り上げたことを
>「議会軽視だ」と問題視し、今後、議員の情報発信を制限するルールを作ると決めた。
空いた口が塞がらない、とはこういう時に使うんでしょうね…。
なんと、他の議員たちはこぞって
「この問題が表面化したのは、オマエがブログで勝手に書いたからだ!」
と壮大な逆切れ。
新城市議会ではついに、ネット情報発信を規制する議会ルールが作られるそうです。
■
問題を指摘した側がいつのまにか、なぜか悪者扱いされるというのは
どこかの首都議会でも見た現象な気がするのですが、
「最近の若いヤツは、すぐにブログに書くからな」
「言いたいことがあるなら、議会の場で言えというんだ!」
私もこんな意見を人づてに耳にしたことがあります。
この発言が議員から発せられているとすれば、
彼らは新城市の皆さんと同様に
「議会で発言すればいい」
「議会を軽視するな、余計なことを言うな!」
と考えていることになります。
しかしこれは、二つの点で間違っています。
1.
地方議会にはそもそも、議員同士が議論をする機能がない
二元代表制である地方議会では、議員が質問や論戦を挑むのは、
行政府である首長やその役人たちです。しかも、シナリオはほぼ決まっています…。
議会の場に議員同士が意見を戦わせる場があるなら
彼らの意見にも(少しは)道理があるのかもしれませんが、地方議会に
そうした機能がない以上、平場で議論・情報発信するのは当然の権利です。
「不適切だと思うなら、動議をかけてその場で意見すればいいじゃないか」
という指摘もあると思います。
一面その通りですが、これも地方議会によっては機能するとは限りません。
実は先の平成26年6月25日の都議会本会議において、
共産党の都議会議員からヤジ問題に関する動議が発せられましたが、
議長はこれを却下して発言を認めませんでした。当然、議事録にも残りません。
ヤジ“幕引き決議”強行 共産党は徹底追及要求
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-26/2014062601_02_1.html
>本会議中に改めて吉田信夫団長が動議を出すための発言を求めましたが、
>吉野利明議長は議会運営委員会理事会で決まったことだとして認めず、議事を進めました。
地方議会によってはもう少し柔軟なところもあるにはあると思いますけど、
事前に行われる「議会運営委員会」で認められなければ、
動議すら議長に却下される可能性があります。
そして議会運営委員会は当然、多数派が決定権を持っているので、
彼らがYesと言わなければ発言の機会は与えられません。
つまり「言いたいことは議会で」というのは
一見すると正論に思えるものの、
「少数派は永遠に黙ってろ」
というのに等しいわけです。
2.
チラシや街頭演説はOKで、ネット発信はダメなのか?
議員は、伝えたいことがあるから駅や街角に立ち、
定期的にチラシを作っては地区内に配布します。
そこでは基本的に、何をしゃべろうが書こうが自由です。
ところがどうして、ネット発信だけこうも目くじらを立てられるのでしょう?
それはずばり、
「自分たち(古い政治家たち)が持っていないもの」
だからです。それ以外の理由は考えられません。
「俺たちが出来ないものを、お前らが勝手に使うな」
という恐ろしい論理が、ネット選挙解禁を10年遅らせたのは記憶に新しいところです。
自分たちが使えない発信方法に反発するという点では、
ネット(ブログ)だけではないかもしれません。
とある地方議会では、若く先進的な議員が本を出版し、
地方議会の内情などを赤裸々に執筆して、社会に新しい情報を提供しました。
ところがこれに、多くの議員たちが反発。
「間違った事実が含まれている」
「こうした形で議会のことを晒すのは、不適切だ」
として、出版をした議員を徹底追及。
出版の差し止めまでは至らなかったものの、
当該議員は議会およびブログ上での謝罪をさせられることになりました。
■
とにかく彼ら古い政治家たちは、自分たちにない方法で、
驚くほど情報が拡散していくことを恐れているのです。
閉鎖的な議会で、お手盛りの議論を続けていたい議員たちにとって、
インターネットは恐ろしい脅威と言えるでしょう。
しかし、時代の変化は、誰にも止めることはできません。
政治家はそれを知り、言論を封殺するのではなく、
自らがその環境に順応するべきです。
新城市議会は速やかに、時代錯誤な議会ルールの策定を
撤回するとともに、きたる統一地方選挙においては有権者の皆さまが
賢明な判断をされることを強く望みます。
長くなりました…良い週末をお過ごしください。
それでは、また次回。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
twitter @otokita
Facebook おときた駿
Instagram @otokitashun
買って応援!
下記リンクから飛んで、Amazonにてお買い物をしてみてください。
発生した収入は、政治活動の充実のために使用させていただきます。
Amazonでお買い物
Tags: 議会改革