本日はみんなの党青年局が主催するプログラム
「Action11」
http://www.action11.jp/
にて、福島県南相馬市および浪江町にある
「希望の牧場ふくしま」に視察に行って参りました。
原発事故を受けて、放射線を浴びてしまった「被ばく牛」を
今も飼育している牧場があることを、皆さまはご存じでしょうか?
福島第一原発から14km。
「希望の牧場ふくしま」には放射線を浴びて出荷できなくなった
主に肉牛たちが、いまも約350頭飼育されています。
牧場を二つに切り裂く大きな大きな亀裂。
震災直後からずっと見放されていたこの牧場には、
今も震災の爪痕が文字通りくっきりと残っています。
福島第一原発の事故を受けて、
政府は放射線を浴びた家畜たちの殺処分を決定。
数十万頭、数十万羽いた豚・にわとりは既にすべて処分されたそうです。
しかしながらこの牧場では、
「ここで牛たちを見殺しにしたら、二度と牛飼いには戻れない」
「原発事故の生きた証人でもある牛たちを、失うわけにはいかない」
という強い想いを抱いた吉沢代表をはじめとするメンバーによって、
一切の公的な支援がないまま、汚染された牧草などを自分たちでかき集めて
今も多くの牛たちが命をつないでいます。
スピーディーによる放射線の拡散図を見せながら、
「この赤い線が、我々に貼られたレッテルだ。
原発事故によって、私たちの町が二度と元に戻ることはない」
と語る吉沢代表。
「ここ(浪江町)にあるものが何かわかりますか?絶望です。
この町にもう、子どもたちは戻ってきません。きっと永遠に。」
絶望の浪江町にあって、あえて希望という名前の牧場を作ったといいます。
いまだにこの牧場の放射線量は毎時3マイクロシーベルト以上。
年中野外で作業するとすれば、1年間で許容される被ばく量の
25年分以上もの放射線を浴びることになる中で、
彼らは踏みとどまって飼育を続けています。
牛を育てても、出荷できることはありません。
「経済的に先がないのはわかっている」と言いながらも彼らがここに留まる理由は、
二度とこの悲劇を繰り返させないため。そして何より、牛たちの命のため。
ここで天寿を全うすることができた牛たちも、
通常の方法で埋葬されることは許されません。
被ばくされた牛たちは石灰をかけて白骨化するまで
安置しなければならないそうです。埋葬地には、生々しい牛たちの姿が。
※以下の画像は閲覧注意。
また牧場の敷地からは、遠くに福島第一原発がくっきりと見えました。
事故当時、爆発音はここまではっきりと聞こえたそうです。
「あのとき、多くの仲間たちが牛や沿岸部の人たちを見捨てて逃げた。
でも、それは仕方なかった。どうすることもできなかった」
そう語る吉沢代表の顔には、
今も悔しさがにじみでているかのようでした。
牧場に行く前には、南相馬市役所にて
桜井市長と1時間以上にわたって意見交換。
一昨日、政府が電力のベースロードに原子力発電を
明記したことに対して、強く強く憤りを感じているようでした。
「いまも福島がこんな状態なのを見捨てて、再稼働などありえない」
「原発を輸出するため、カネのために再稼働が必要ならそう言えばいい。
だがそれは東京ではなく、ここで言って欲しい。仮設住宅の現実の前で、言って欲しい」
吉沢代表と桜井市長に共通していたのは、電力消費地である都会(東京)が
すでに事故を忘れてしまっている事に対する、あまりにも深い落胆でした。
南相馬市も浪江町も、原発立地自治体ではありません。
原子力の恩恵を直接は預かることもなかったのに、今回の苦しみを
一身に背負い、忘れられていく気持ちはいかばかりのものでしょうか。
■
私は感情的に脱原発、原発即時ゼロを唱えるつもりはありません。
しかしながら、
「原発でなくなった人は一人もいない」
などと大上段で構える姿勢には、大きな違和感を覚えます。
もしも南相馬市や浪江町で、他の被災地と同じだけ自衛隊や消防団が
レスキュー活動をできていたら…。助かった命も、たくさんあったと思います。
震災から丸3年。
いま私たちが明るいネオンが輝く街で暮らしているのも、
こうしてノートパソコンが当たり前のように使えるのも。
今なお続く彼らの犠牲の上にあることを、忘れてはいけないと強く思いました。
今日の経験と感じたことを胸に、東京都議会として
節電や自然エネルギーの活用についてできる具体的な政策を
しっかりと考えていきたいと思います。
皆さんもぜひ、南相馬で暮らす人々や
浪江町で生き抜く牛たちに、少しの想いを馳せていただければ幸いです。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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