こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
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さて、昨日に豊洲新市場の地下視察を行なったことをレポートしましたが、その模様を映像・画像に撮ってきたところ、
「地下ピットの床から、謎の気泡が!!」
という部分がクローズアップされまして、またメディアが不安を煽る材料を提供してしまいました…。まあ隠すわけにもいかないので仕方ないのですけども。
確かに正体はわからないので心配ないとか軽々なことは言えないものの、コンクリの隙間に溜まっていた気泡が出てきているだけの可能性もありますし、
「土壌が汚染されていることを考えると、有毒メタンガスの可能性も云々」
みたいな憶測はちょっと(いやかなり)行き過ぎだと思います。しかしカメラの前で答えた、まずは冷静に調査結果を待つべきだ的なニュアンスはやはりカットされるのでした。嗚呼。
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そもそも論としてこの地下空間に溜まった水については、重要なポイントが見過ごされていることが気にかかっています。
「こんなに水が溜まっていて、排水機能もないのか!ありえない!」
という論調も目にしますが、排水機能どころかもっと凄いものが完備されています。それが「地下水管理システム」です。
参考:地下水管理システムに関する説明資料(PDF)
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/pdf/gijutsu/siryo/18-3.pdf
一回目の視察の時に実物を見ておりまして、こちらはその一部の様子。ざっくり言うとこの地下水管理システムの役割は
●地下水の上昇を抑える(=話題の地下ピットにまで上がって来ないようにする)
●地下水の汚染状態を常時モニタリングする
●万が一、基準値を超える汚染物質が見つかった場合、浄化する
の3点です。
今回のように天候の影響などで地下水の上昇が予想される局面では、揚水して下水道に排水するなどして対応できます。
推移上昇に備える揚水井戸は58箇所、推移を観測する観測井戸は21箇所にこれでもか!というくらい網羅的に設置されています。
さらに凄いのは浄化機能で、公明党の調査で検出された「シアン」にも対応できます(下記画像の赤丸部分)。
水産物を取引する市場の中に水処理施設をまんま抱えているようなもので、世界広しといえどそんな市場は豊洲新市場だけだと思われます。
そしてそこまでして「浄化」された水をどうするのかというと…下水に流すだけ!
誤解されている方もいるようですが、地下ピットのたまり水は飲料になるわけでも、清掃に使われるわけでもありません。
ただ排水されるのみにもかかわらず、その水質まで徹底的に管理し、浄化処理していく。二重三重の環境安全対策こそがこの「水質管理システム」なのです。
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そして重要な点としてこの水質管理システムは、9月下旬現在で実質的には稼働していないこと(試運転状態)。
開場予定であった11月7日の1ヶ月前、10月中旬頃に稼働予定を目指して調整していたようです。稼働が遅すぎる!という指摘もありますが、工事の進捗や開場予定を考えれば、概ね妥当なスケジュールだと思います。
この揚水・排水機能が作動すれば、地下に溜まった水の状況は劇的に改善する可能性もありますし、浄化機能によって基準値を超える水が染み出してくることもなくなります。
要はいま現在、地下ピットに溜まった水を指して問題だ!汚染の可能性がある!と叫ぶのは、まだ未完成のものについて不備を指摘している状態なのです。
例えるならショートケーキをまだ作っている途中のキッチンに乗り込んできて、「イチゴが乗ってないじゃないか!約束と違う、大問題だ!」とクレームをつけているのと一緒です。
もちろん、そもそも地下ピットの説明がなかった点からこの問題がスタートしていることが前提であり、それは情報ガバナンスとして大問題だと思います。ですので、そこを発見するために「乗り込んだ」ことには十分な意義があります。
ですが一方で、安全面の話はそこから一旦は切り離して、この地下水管理システムが稼働した状態までが安全対策のパッケージであり、それを含めた冷静な再検討が必要だと思います。
特に以前に行われていた専門家会議の段階ではまだ、地下水管理システムは方向性が示されたのみだったわけですから(技術会議で詳細が決定された)、現在の地下水管理システムがフルスペックで稼働した状態を専門家に確認してもらうことが第一でしょう。
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というわけで、地下ピットの安全性は「地下水管理システム」が稼働した状態で比較しないと判断できないのでは?ということをお伝え参りました。
移転延期と今回の問題を受けて、地下水管理をいつから稼働させる予定に再設定したのかはわかりませんが、いずれにせよ本格稼働→状態確認→安全調査→専門家会議の検討と、しばらく時間がかかることは確実です。
なのでこれはもう、今の状況で一喜一憂しても仕方ないのです。長期戦になります。私はもう腹を決めました。
「わからない」ことは人をもっとも不安にさせる状態ではありますが、いずれにせよ移転は延期されているわけですから、ここは腰を据えて冷静に、しっかりと安全調査と専門家会議の議論を見守り、必要に応じて提言・情報発信をしていきたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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