こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は総務委員会にて選挙管理委員会・総務局に対しての質疑がありまして、
私からもおよそ1時間に渡って質問をさせていただきました。
その中から本日は、特別職(知事や都議会議員)の
報酬引き上げについて取り上げた部分をご紹介したいと思います。
前回の定例会におきまして、公民較差の是正という観点から
東京都職員の給与が引き上げられたことは、以前にお伝えした通りです。
臨時国会がなかったせいで、全国の地方議会で公務員給与に関する矛盾が爆発中…
http://otokitashun.com/blog/togikai/9801/
いわゆる大企業との比較のみで決めることがおかしいこと、
比較で決めるという手法そのものが既に時代遅れの古いやり方であること、
薄く広くで効果は望めないのに101億円もの財政負担が生じることなどが、主な反対理由です。
そして更なる問題は、民間(の一部)と比較して公務員給与が引き上げられますと、
また連動して都知事や都議会議員の給与まで上がることです。
この点がまさに、本定例会で審議されているのですね。
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一応、都知事や都議会議員といった「特別職」の報酬は、
条例で定められた「特別職報酬等審議会」の答申を仰ぐということになっています。
しかしながら、この審議会は公務員給与を決める際に出される調査結果を
なぞった結論を出すだけで、どうにも形骸化している面が否めません。
以下に、いくつかその問題点を指摘していきます。
まずこちらの審議会がそもそも「一部非公開」とされておりまして、
具体的な金額を議論するやり取りについてはブラックボックスです。
金額に関しての議論に至るまでは傍聴可で公開されているらしいのですが、
議事録が公開されないので見に行かない限り何が話されているのかわかりません。
…なんかもうですねー、政策決定のプロセスを調べる度に、
この「非公開」「議事録が存在しない」という壁にぶつかりまくるわけですが、
理由を問い詰めるとだいたい一緒です。
「委員が自由闊達な議論を行うために、非公開にしている」
「確かに原則は公開だが、審議会の取り決めで非公開にできると定められている」
誰に聞いても同じことを言うので、
だんだん自分がオカシイのではないかと思えてくるんですが、
非公開じゃないと自由闊達に議論できないって何ですかソレは?
どれだけ皆さん、都民に聞かれたらまずい発言をしているんでしょうか。
公金で運営された会議体において、公金から報酬をもらって委員を務めているのですから、
責任を持った発言を公開の場で行うのが筋だと思います。
そして後者の「取り決めで非公開」。プライバシーやセキュリティの問題がある時以外は
原則公開と定められているにも関わらず、この妙なルールが濫用されているせいで
多くの審議会で公開の原則が大崩壊しています。
自分たちで公開の有無を決められるんだったら、
そりゃ都合の悪いことは隠すようになります。この点については妥当な判断が
行われているか否か、外部目線での定期的なチェックが欠かせないと言えるでしょう。
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そしてもう一点が、特別職報酬等審議会のメンバーが
誰ひとりとして今回の報酬引き上げに反対していないこと。
前述の通りで議事録がなく、下記のページに記載されている
ペラ一枚の答申のみで議案を審議しなきゃならないため、
平成27年度東京都特別職報酬等審議会の答申について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2016/01/40q1j100.htm
総務局の担当者に、当日どんな議論があったのか聞いてみました。
「これだけ様々な先生が揃っているのですから、色々な議論があったと思うのですが…」
「いえ、もう答申の紙にまとめられている通りです。そちらがほとんどすべてですね」
「いやいや、少しくらい引き上げに慎重な意見やコメントがあったんじゃないですか?」
「ないですね(キッパリ)。皆さん総じて、今回は引き上げの方向に賛成です!」
うーん。。
ちなみに答申の内容というのは端的に要約すると、
公民較差の是正で昨年末、東京都職員の給与が引き上げられた→
国の特別職も引き上げが検討されている→よって東京都の特別職も引き上げるべし!
というものです。
10人も委員がいるのですから1人くらい
「いや、単純に公民較差や前例を当てはめるだけじゃなくて、
もっと有効な財源の使いみちがあるんじゃないですか?」
みたいな意見を言う委員がいても良いと思うのですが…。
10人の委員がいて10人全員賛成って、どんな基準で委員を集めているのか、
大きな疑問が残るところです。
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今回の議案が通過すれば、都知事・副知事・都議会議員らの報酬が
月額で1000円ずつアップすることになります。正直なところ、この査定で
モチベーションや生活が向上するという方はほとんどいないのではないでしょうか。
そんな効果が不透明なところに財源を投資するくらいなら、
もっと他に有意義な使い方があるはずです。加えて東京五輪や未曾有の少子高齢化社会を
迎えるにあたって、東京都はこれから大きな財政危機を迎えることも忘れてはなりません。
じゃあ特別職の報酬がいくらが妥当なのかというと、
それはなかなか難しい議論になることは承知しておりますが、
いつまでも公民較差を基準に漫然と給与を決定していく体質は改めるべきだと思います。
今回の質疑を通じて、少なくとも特別職報酬等審議会の
公開部分の議事録については、ウェブ上などで公開することに前向きな答弁がありました。
こちらは評価するとともに、早期に実現することを期待します。
こうした形骸化疑惑のある審議会についてはオープンにしていくことで、
厳しい都民の目線の中で活性化させていくことが重要です。
議事録の公開などは小さな点かもしれませんが、
誰もこれまで指摘をしてこなかった小さな一歩を踏み出せました。
引き続き、粘り強い政策提言を続けていきます。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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