こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
都立高校入試の理科(地学)における設問ミスが話題になっています。
まずざっと流れをさらいますと、発端はこちらの日経新聞の記事。
都立高入試の解答、金星の位置が実際とズレ
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98017120U6A300C1CC1000/
これに対して東京都教育委員会(都教委)は、
公式HPに「ミスではない」「採点のやり直しはしない」旨の見解をアップします。
平成28年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査問題(理科)に関する見解について
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/28nyusen/mondai_r.html
するとさらにWEDGEに、地学教諭である先生の方から
「明確な誤答であり、看過できない」旨の論文が掲載されます。
都立高校入試でまた出題ミス 理科教員の地学離れは深刻
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6282
そして現在、地学・天文学を専門とする方々からも
やはり学術的に明確な誤りであるという指摘が相次ぎ、
都教委の方にもいくつかの問い合わせの連絡が来ている状況のようです。
〈10〉以上のように、都立高校入試問題理科大問3の1の答えは、ウしかありえないが、正解はイとなっている。これは、問題内部の自己矛盾を起こしている。さらに、「都教育委員会の見解」は間違った論理で説明している。
みんな怒ってもいいはずだhttps://t.co/HTDpBRFhNn— 大西浩次 (@koujiohnishi) 2016年3月7日
そもそも補助線の引き方で答えが変わる問題がよくないが、間違った考え方で正しい答えを間違い(としてそのまま)にするのは間違い、だろう【都立高校入試でまた出題ミス 理科教員の地学離れは深刻 WEDGE Infinity】https://t.co/Ll2ac9XAxs
— Yoshitaka Itow (@profjpyitow) 2016年3月6日
平成28年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査問題(理科)に関する見解についてhttps://t.co/PpJpHnKmTJ
設問内容に問題がないってあるけど問題大ありで、図1図2を満たす図3の1は存在しないよね。どうしてこうなった。金星が欠けないとでも思ったのかな?— しかのつかさ (@sikano_tu) 2016年3月6日
■
本件は私の方にも本日連絡が入って調査に着手し、
都教委の担当者とも30分ほど電話で話をさせていただきましたが…。
ド文系で中学生時代は地学のテストで
「4点」
という脅威のスコアを叩きだした私には、
設問を読んでも解説を聞いても残念ながらさっぱりわかりません。
さっぱりわかりませんが、わからないなりに問題の要点のみ解説を試みます。
●問題点その1:明確な日付の記載があり、それが現実とズレている
3つの図を見て金星の位置を当てるという問題ですが、
なぜか設問分には「平成27年3月24日」と日付の記載があり、
しかもその日の実際の金星の位置と、解答になる金星の位置がズレています。
「天文学的な正確さよりも設問の的確性を優先させている。」
という見解が公式HPに記載されていますが、
フィクションであればわざわざ日付を記載する意味がわかりません。
この点については問い合わせたところ、
「高校入試は単に、知識を問うだけの問題ではない」
「実際に自分たちが中学時代を過ごした日付を入れることで、
(何か色々と…)感じられるものがあると考えている」
途中がウロ覚えで申し訳ないですが、
上記のようなことを述べておられまして、
あまり納得できなかったので忘れてしまいました…。
なぜわざわざミスを誘発するような日付記載をするのか、
理由を聞いても理解に苦しみます。
●問題点その2: 図を見て正しく解いても、正解に辿りつけない
んでこちらが本丸で、多くの専門家・有識者たちが指摘をしている点。
きちんとした地学的な知識を持って3つの図を見て設問を解くと、
答えは「イ」か「ウ」のどちらかになり、絞ることができないようです。
そしてこの部分、都教委の担当者に問い合わせて見解を確認しても、
ひじょーーーに遠回しな官僚答弁しか得られず要領を得なかったのですが、
私なりの理解を要約します。現時点ではあくまで、担当者から話を聞いた私なりの理解です。
–ここから都教委の見解(の私の理解)スタート–
まず今回の問題発覚の発端は、新聞社の報道にある。
2年前に理科の問題で設問ミスが発覚した際は、現場の採点者や
実際に試験を受けた学生や保護者からの問い合わせで発覚した。
つまり、ほとんどの受験生は違和感なく解答しており、
都教委の狙いでは「ア」と「イ」で解答が別れると考えていたが、
実際にそのとおりになっているようだ。「ウ」と解答した受験者は少ない。
あくまで「解答が別れる」というのは専門家レベルの話であり、
中学校指導要綱に則り学習してきた中学生がその知識を持って解答に臨めば、
自ずときちんとした正解にたどり着くように設問はできている。
ゆえに、今回の設問については問題はなく、採点ミスも認めない。
–見解おわり–
…えええっ!?
ここからは会話形式でなるべく再現します。
音「ちょっと待って下さい。じゃあ、専門家レベルでは誤答になるけど、
中学校指導要綱のレベルだと正解なら、それで良いってことですか?」
都「専門家レベルでもこれは、ナントカスコープで見なければ位置は特定できないはずで…」
音「でも少なくともWEDGEの方は、ナントカスコープなんて使ってないみたいですけど」
都「それはわかりませんけども、これは学術的な論争ではありませんので…」
※ナントカスコープ
何やら専門用語(機器の名前?)っぽかったけど、忘れました。
ごめんなさい。スコープですらなかったかも。
音「じゃあ仮にですよ、優秀で専門家レベルの知識を持つ中学生がいたら、
その子は間違えるってことですか?優秀なほど間違うなんておかしいのでは?」
都「いえいえ、中学生なら正解にたどり着けるはずなんです」
音「だから、専門家レベルに頑張って勉強した中学生がいたらの話ですよ。
東京都は、科学的な正解より中学指導要綱の知識で解くことを優先するんですか?」
都「そんなことはありません!優秀な人ほど間違えるなんてあってはならないことです。
ですので、中学生であれば確実にその他の選択肢は間違いだと判断できるよう、
都教委は問題の作成者とも入念にチェックをしておりまして…
音「だーかーらー!その中学生の定義というのが…」
ここからは水掛け論(?)になりまして、
私の次の予定があったためタイムアップいたしました…。
■
繰り返しになりますが、私には地学の知識がないので、
まったく的はずれなやり取りをしているのかもしれません。
(そうであればご指摘ください)
ですが恐らくこの問題の要点は、
「中学指導要綱の知識で解く問題だから、
天文学的(科学的)に間違っていても関係ないよね!」
(ついでに日付も入れて、事実とも異なるけど関係ないよね!)
という姿勢ではないでしょうか。
これでは科学軽視との謗りは免れられませんし、
なんだか「習ってないのに方程式を使ったからバツ!」みたいな姿勢です。
都教委の担当者からは、
「必要であれば、問題を確認した専門家も連れて説明に参りますので…」
と言われたのでさらに深掘りしたいところですが、
地学の知識がないと堂々巡りになって煙に巻かれそうだなあと困っております。
どなたか、都教委の打ち合わせに同席してくださる専門家でもいると良いのですが…
本件にて何かお知恵をお持ちの方は、ぜひご教示くださいませ。
3月下旬に提出できる「文書質問」にて取り上げる予定です。
http://otokitashun.com/contact/
全然論点が的外れだ!攻め方が違う!
などもあれば、そちらもご指摘いただけますと幸いです。
いやはや、中学時代にちゃんと理科をやっておくべきだったなあ(遠い目)。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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