「電球の交換」や「犬の散歩」といった“ちょっとしたお手伝い”をネットで気軽に募集できるサービス「エニタイムズ」を運営する、株式会社エニタイムズの角田千佳社長。日本を元気にするヒントは、ご近所づきあいにあると考え、事業を起こしたんだとか。そんな角田社長が思い描く21世紀型の地域インフラのあり方とは?

角田千佳
(つのだ ちか)
1985年生まれ。慶応義塾大学卒後、証券会社やIT企業を経て、2013年、株式会社エニタイムズを設立。現在、同社の代表取締役を務める。日常のちょっとした仕事のお手伝いをネット上で募集できる生活密着型クラウドソーシングサービス「Any+Times(エニタイムズ)」を運営。
音喜多(以下、音):今日はよろしくお願いします。
角田(以下、角):よろしくお願いします。政治家の方とこうゆう形でお話するのは、はじめてなのでちょっと緊張しています。
音:そんなにかしこまらないでいただいてけっこうですよ。これ、うちの秘書が最近ハマってるポップコーンなんですが、よろしければ。
角:ありがとうございます。あ~おいしいですね!これ、どこのポップコーンなんですか?
音:勧めておいて恐縮なんですが、ポップコーンリテラシーが低いので全然わかりません。行列ができる人気店のやつらしいです。
角:ポップコーンにリテラシーがあるんですね(笑)
音:何事もリテラシーが大事ですから。
“自分の能力を生かしたお手伝い”は特別なことじゃない
音:まず、角田さんが運営されている「Any+Times」についてですが、HPを開くと、「お仕事をたのむ」と「お仕事をする」の2つの選択ボタンが目に入ります。これは、どちらもエントリーすることができるんですか?
角:どちらもエントリーできます。
音:具体的には、どんな内容が多いんですか?
角:プロに頼むほどの内容じゃないけれど、誰かに手伝ってもらいたい時ってありますよね。例えば、家具を動かしたいけれどひとりじゃ動かせない時とか、急な仕事で猫のエサがあげられない時とか、「近所に友達がいたら頼めたのに~」という時に使っていただきたいのが「お仕事をたのむ」ボタンです。
音:なるほど。ネットを介してまだ見ぬご近所さんにお願いができるんですね。
角:そうですね。逆に、そうゆう人を自分の特技で助けてあげたい、空き時間でちょっとしたお小遣い稼ぎをしたい、という方は「お仕事をする」ボタンからサポーターズ登録をしていただき、仕事の依頼を受けることができます。
音:空き時間を使って近場で仕事ができたら効率的ですね。僕だったらなんでしょうね。選挙の経験があるのでポスター貼りのお手伝いとかあれば、お役に立てる気がします・・・。
角:一般の人は、そんなにポスター貼りで困ったりしないですよ(笑)音喜多さんの場合は、「便利な行政サービス教えます」や「人前での話し方」とかじゃないですか?
音:そうですね、それは得意です。あと、最近、社会科の教員免許の通信教育に通ってるので、「社会科教えます」もできますね。
角:そうそう、そうゆう元々自分ができることでいいんです。もし、近所に家具の組み立てが得意な知り合いがいたら、気軽に頼めるかもしれませんよね?でも、現代社会は、ご近所づきあいが希薄だから特別なことのようになってしまっていますが、昔なら自然にあったことだと思うんです。
音:なるほど。「自分ができることを、誰かのために」というのは、ご近所づきあいの原点かもしれませんね。
角:そうなんです。ちょっとしたことから近所の人に頼み事ができて、それが地域コミュニティの絆になっていけばいいかなと考えています。
高まるマッチングサービス需要、行政ができることは?
音:(エニタイムズのサイトを見ながら)家事代行からベビーシッター、お年寄りのお話し相手まで様々な方が登録されていますね。エニタイムズさんの業態としてはマッチングサービスを提供するIT企業になるんですか?
角:そうですね。でも、ビジネスモデルとしてはそうなんですが、人と人とをつなぐサービスなので、マッチングが成立してそれでおしまいにならないようにはしています。
音:なかには、サービス利用者同士でトラブルになることもあると思うんですが、そんなとき事業者として、どんな対応をしているんですか?例えば、以前、ネットでベビーシッターを依頼した女性の子供が遺体で発見されるという事件もありましたが、そのリスクもありますよね?
角:それに関しては、3つの方法でフォローしています。1つ目は、ベビーシッターやペットケアのような命にかかわるお手伝いを受けられる方の認定制度(※認定を受けるのは任意)。2つ目は、ユーザー評価制度での見える化。3つ目は、利用時の保険制度ですね。
音:なるほど。色々工夫をされているんですね。僕は、エニタイムズさんのようなマッチングサービスは、これからもっと需要が高まってくると思うんです。でも、例えば行政がベビーシッターの資格制度を設けて、有資格者以外は子守りができないようにするというのも、おかしな話だと思うんですよ。それこそ、昔はご近所づきあいで、子どもは地域の子どもという時代もあったわけで。
角:はい。
音:マッチングサービスは、時代に即した新しいご近所づきあいの形だと思いますし、例えば、待機児童の問題や高齢者のひとり暮らしの見守りなどにも、効果的な部分があるかもしれないと思っています。ですが、利用に際して自己責任の要素があるから、この点をどうにかできないかとずっと考えているんですが、行政側としてどんな支援があればいいと思いますか?
角:そうですね・・・。もし、行政側で何かしていただけるのであれば、実施者の資格化というよりも、サービスを使う人の理解を深める施策を行っていただけると、みんなが幸せになれるんじゃないかなと思います。
音:なるほど、サービスを選択する側の理解を高めていくということですね。確かにそれは現実的かもしれませんね。例えば、待機児童の問題で言えば、「認可保育所も認証保育所もいっぱいです。でも、こんなサービスありますよ。自己責任ですが・・・」とは、行政的には言えない。でも、もしかしたらあえて言うことで、理解を促したり選択の機会を創出することの方が本質的な解決につながるかもしれませんよね。
角:例えば、選び方のコツを教えたりとか、業者の選定方法とか、相場感とか、利害が関係しない立場だからこその支援ができると思うんですよね。
音:そうですね。「自己責任だから」と投げっぱなしにするのではなく、例えば、自動車教習所のように、基本的なことから応用的なことまで段階的にフォローできればいいですよね。車と同じで、正しい使い方がわかれば事故の可能性は減らせますから。ありがとうございます。検討したいと思います。
女性の社会進出を直接的にアシストする方法
音:角田さんは、20代の女性社長としても注目されていますが、女性が働きやすい社会にするためには、何が必要だと思いますか?
角:私は、女性と男性の区別を意識しすぎることは、逆に差別を助長してしまうんじゃないかと思っています。現状の多くの女性支援は、女性が頑張ることを前提としている気がします。
音:なるほど。
角:例えば、仕事と家事の両立をしやすくするために時短勤務が認められていたとして、それは、女性なんだから仕事も家事もしっかりやれという感覚があるからそうなっているわけで、子どもがいる家庭は男女ともに時短勤務が可能でもいいと思うんですよ。勿論、そうでないケースもたくさんあると思いますが。
音:おっしゃる通りだと思います。例えば、現在、育児休暇を最大で3年まで取得可能にするという話があるんですが、これも、育児は女性がするものという前提に基づいて検討されていますよね。もし、3年間を育児にあてられるのなら、夫婦で分割しながら交互に休暇を取ってもいいと思うんです。
角:それができたらいいですね。音喜多さん、ぜひ頑張ってください。
どうしたら音喜多は結婚できる?
音:最後の質問になりますが、どうしたら、僕は結婚できると思いますか?
角:音喜多さんは、社会を良くしようと本気で思っていて勉強家で博識で、それでいてどんな方にもカジュアルに接されてて、素敵な方だと思います。
音:なるほど。政治家の妻について、どう思いますか?
角:そうですね・・・。もし、家庭でもお互いの専門分野の話ができたら楽しそうですよね。テレビを見ながら政治の解説をしてくれたりとか。
音:おおっ!
角:でも、私、政治家の方とお話ししたの音喜多さんが初めてなので、正直なところ全然イメージがわきません。すいません・・・。
音:そ、そうですよね。今日はありがとうございました。
おときたの感想
行政が事業者側・サービス提供側を規制するばかりではなく、ユーザー側が賢く利用できるように働きかけをしていくという視点は、自由な市場や規制緩和を目指す上で欠かせないものだと改めて感じました。最後の結婚についての答弁は上手くはぐらかされてしまったので(苦笑)、今後は質問力を高めて頑張りたいと思います!
音喜多駿/おときたしゅん
参議院議員(東京都選挙区) 39歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
twitter @otokita
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