東京から、あたらしくしよう

#3 小室友里さま :: おときた駿のあのひとに逢いたい

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90年代のAV業界に舞い降りた奇跡と称され、まさに時代を代表するAV女優だった小室友里さんにお話を伺いました。現在はライター業を中心に心理カウンセラーの資格を生かし性の悩みを解消するセクシャルカウンセラーとしてもご活躍中。そんな小室さんが語る“女性が働きやすい社会”とは?

小室友里

小室 友里
(こむろ ゆり)

1975年生まれ。1996~1999年にAV女優として活動。VHSからDVDへの移行期には世界初のアダルトDVD作品をリリースした。AV業界から引退後は、女優、ライター、歌手、セクシャルカウンセラーなど幅広く活動。「セックスとはお互いを知ること」がモットー。

音喜多(以下、音):今日はよろしくお願いします。小室さんとお会いするのは2回目ですね。

小室(以下、小):あ~そうですね。音喜多さんのブログはずっと読んでたので、もっと前からお会いしてるような気になってました。

:光栄です。私もずっとお世話になっていたので、とても2回目とは思えません。ブログに小室さんからのコメントが付いたときは、我が目を疑いましたよ。

:おもしろく政治を語る人がいるなって思って、直接お話がしてみたかったんです。

:恐悦至極です。

身近になったAV業界とモザイクが消えない理由

:小室さんがご活躍された90年代と比べると、AV業界も様変わりしたかと思いますが、業界の外から見ていて変化は感じますか?

:そうですね。全体的にポップな印象になりましたよね。テレビでも、「AV女優」じゃなくて「セクシータレント」って称されるようになりましたが、AV自体が後ろめたいアングラな存在じゃなくて当たり前になってきたような気がします。

:確かにそうですね。毎月、百人単位で新人がデビューしてると聞いたことがあります。

:業界自体がオープンな存在になりつつありますよね。それこそ、モザイクが薄くなるように。でも、モザイクがなくなることはないですよね?

:絶対にないです(笑)あれは文字通り、色々なことをぼかす機能がありますから。

:そういえば、海外ではモザイクが無いのに、日本だとモザイクがかかる理由って、わいせつ物陳列罪とかの関係ですか?

:それもありますが、法的には、あのモザイクの下では“結合していない”ことになっているそうです。どういうことかというと、AVに出演してる男優も女優も、法的にはドラマや映画に出ている俳優や女優と同じ「役者」という扱いなんだと。日本の法律では、役者に金銭を支払って性行為をさせることを必ずしも是としていないようなんですね。つまり、それをぼかす意味でのモザイクとも言えるんです(※1)。

:えっ、でも、実際のところ・・・。

:小室さん!これ以上は、ぼかしておきましょう。

性の悩みを相談できる場所が少ない

:小室さんは、社会問題に対しても深い見識をお持ちですが、自身のご経験から、女性が生きやすい社会を作っていくうえで何が必要だと思いますか?

:これはAV女優だけでなく女性全般にあてはまることですが、心のケアをしてくれる場所が圧倒的に少ないと思います。特に、性の悩みに特化した相談機関はまたまだ足らないんじゃないでしょうか。

:なるほど。現状も「こころの健康電話相談(※2)」は各自治体にありますが、性に特化してるかといえば、そうではないかもしれませんね。

:私はセクシャルカウンセラーもしているので、性に関する悩みの相談を受けるんですが、恋人とのSEXや女性器についての相談がけっこう来るんですね。本当は相談したいけれど、誰に聞けばいいかわからない女性って、実は多いんじゃないかなって。

:確かにそうですね。私のライフワークのひとつに、LGBT(※3)の方たちの支援があるんですが、彼らが何か助けを求めようとしても、まだまだ行政側に受け皿がないことが多いんです。受け皿があれば変わることはありますからね。例えば、川崎市は性同一性障害の方向けの相談窓口を開設し行政側が発信をしたところ、問い合わせ件数が10倍以上になったという例もあるぐらいですから。同様に、性に関する悩みの相談も専門的な受け皿があれば、潜在需要を顕在化することもできるかもしれません。

:その相談窓口に、例えばAV業界の人がいてもいいと思うんですね。そうゆう人がひとりいれば、AVだけじゃなくあらゆる性産業で働く女性の味方になれると思うんです。心情を理解できるから、愛のあるアドバイスもできるだろうし。

:行政は機関であって人間ではないので愛は与えられませんが、限りなくそうゆう存在でありたいと思っています。宿題にさせてください。

AV女優組合を創設!?

:ピンポイントな質問ですが、行政としてAV女優の方のためにできることって何かありますか?

:AV女優は非常にリスキーな職業です。若いうちからはじめる人がほとんどなので、社会的な常識や知識がないせいで、周りの大人たちにいいようにされてしまうことも少なくありません。ギャラからよくわからない経費が天引きされてることもざらですし、例えば監督の指示に従って撮影をした結果、感染症になってしまっても、それが原因で別の撮影に穴を開けたら罰金を請求されたなんて話を聞いたこともあります。

:そんな環境なんですね・・・。タレントみたいに事務所やマネージャーが守ってくれたりはしないんですか?

:ケースバイケースだと思いますが、例えば、STD検査(※4)などは自腹です。事務所に所属しているとはいえ、ほとんどの女優は個人事業主扱いですから、降りかかる出来事のすべてが自己責任なんです。

:ん~、それは改善の余地ありですね・・・。そうだ!例えば、女優同士で助け合うことはできないんでしょうか?先日、日本AV男優協会(※5)が設立されましたが、より相互扶助の機能を高めた「AV女優組合」のような団体を作ったりとか?

:なるほど!

:例えば業務上の特殊な状況、それこそ感染症や妊娠を想定した保険を運営したり、性や心のケアができる相談窓口を設けたり、新人女優さんを対象にお金の勉強会を開いたりとか、組織があることでできることがたくさんあるような気がします。

:それいいですね!前向きに考えてみます!

:小室さんなら形にできると思います!私にできることであれば何でもしますので、その際はお手伝いさせてください!

音喜多はどうしたら結婚できる?

:最後の質問になりますが、どうしたら、僕は結婚できると思いますか?

:音喜多さんは素敵な方なので、そのままでいいと思いますよ。

:でも、モテません!仕事も家庭も大事にしようと思ってるし、デートのときはちゃんとしたお店を予約しますし、サプライズだって好きですよ。前職の関係で化粧品にも詳しいですし、ファッションだって清潔感を意識してるし、ダンスも得意です!でもどうしてなんでしょう!?小室さん!なにかアドバイスを!

:その早口が、玉にきずかなぁ。

:あ・・・。

:あと、笑顔が堅い。せっかくかわいいのにもったいない。ず~と、ほぐしてあげたいと思ってました。ほら、顔を出して。

:えっ、あっ、ちょっと、お姉さま・・・。

小室友里さんからのお知らせ

ハマキヨイベント第一弾
「それが、これVol.1」

【日時】
2014年6月14日(土)&15日(日)
14:30&17:30

【作・演出】九十九一(つくもはじめ)

【出演】
ハマキヨ(濱田和幸・清河寛)

九十九一

小室友里
相田瑠菜

大塚明夫

【会場】笑や~Cafe de Live~
「東高円寺」駅下車 徒歩5分
「新高円寺」駅下車 徒歩6分

【チケット】
前売り…3000円  当日…3500円
(ワンドリンク500円込)
☆2杯目以降も1杯500円で追加できます。
【受付開始&開場】開演の30分前

http://124d565ebab1af4.lolipop.jp/infomation2

おときたの感想

「以前に比べれば、AV業界もだいぶ健全なものになった」とつとめて明るく話す小室さんですが、やはり職業的には圧倒的にマイノリティであり、世間からの評判や実際の生活についても苦労をされてきたことが伺えました。アダルト産業については賛否があるものの、現実としてはこの社会に確かに存在するものです。社会のあらゆる分野で活躍する女性たちに適切な支援が行きわたるよう、政治の世界からできることはまだまだ多いと感じます。

※1日本のモザイクはなんのため?
現在でもモザイクが取れないのは専らわいせつ物陳列罪との関係であると思われるが、元々はこれに加えて、AVに出演して性行することは売春である可能性があり、製作元やプロダクションとしても売春防止法違反だと言われかねないことに対する配慮があったともされている。
※2こころの健康電話相談
厚生労働省が運営する公的相談窓口。こころと体の健康・病気に関する悩みを電話で受け付けている。
※3LGBT
レズビアン、ゲイ、バイ・セクシャル、トランスジェンダーの頭文字からなる言葉で、セクシャル・マイノリティの人達全体を指している。
※4STD検査
性感染症検査。保健所や病院で受けることができ、早い場合は当日に結果を知ることができる。費用は、無料から2万円程度と、場所と検査項目に応じて幅がある。
※5日本AV男優協会
「相手に感染させないための性病検査をみんなが行うようになれば、お互いが感染するリスクが軽減し、やがては誰も感染しなくなるはず」という理念のもと、AV男優たちによって創設された協会。2014年4月1日設立。
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音喜多駿

音喜多駿/おときたしゅん
参議院議員(東京都選挙区) 39歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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