東京から、あたらしくしよう

#1 干場弓子さま :: おときた駿のあのひとに逢いたい

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記念すべき第1回は、あの勝間和代さんを世に送り出した出版社の株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンの取締役社長でもある干場弓子さんにお話を伺いました。社長、働く女性、妻、そして母親と4つの顔を持つ干場さんは、どのようなことを考えてらっしゃるのでしょうか。女性起業家ならではの視点は、これから就職活動を控えている女子大生の参考にもなると思います。

干場 弓子
(ほしば ゆみこ)

愛知県立旭丘高校、お茶の水女子大学教育学部出身。
1977年、世界文化社入社。「家庭画報」編集部等を経て1985年、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン設立。以来、取締役社長として、経営全般に携わり、書店との直取引で日本1の出版社に育て上げた。2011年には『超訳 ニーチェの言葉』が同社初の100万部を突破。
編集部全般も統括し、CDサイズのシリーズ、ミリオネーゼシリーズ、強育シリーズ、携書シリーズ、Dis coverサイエンスシリーズなどを立ち上げてきた。自らも編集者として、勝間和代さんの各書籍、小宮一慶さんのビジネスマンシリーズ、流行語大賞にノミネートされた『「婚活」時代』を手がけるなど、常に新しい視点でヒットを創りだしている。

音喜多(以下、音):早速ですが、女性が働きやすい世の中って、どんな世の中だと思いますか?

干場(以下、干):世の中すべてがそうとは言い切れませんが、私は女性は起業に向いてるんじゃないかと思っています。

:それはどういった観点からですか?

:私も含めて女性は、自分が納得しないと動かないという部分があって、例えば組織の都合で動かないといけない場合でも、理由次第では、どこか納得しきれない部分が残ってしまう。それはもしかしたら、群れを守るオスと種をつなぐメスという本能的な面からきてるのかもしれないけれど、生きることに対する考えで男性と異なる点が多い。だったら、女性は自分たちでルールを作って、そのなかで働いた方がいいと思うんですよ。みんな、出産したりするのはお互い様なので、そういうルールを自分たちで作ればいいんです。現に、そういった女性だけの会社は増えていますしね。

:仕事を続けたいというのがありきで、起業は自分たちの生活を守るための相互扶助体としての選択肢ということですね。

:そうですね。

日本の雇用環境は歪んでる?

:生活を守るという点では、日本は雇用が厚い国です。育児休暇も取れるし、企業側の都合でクビにすることもできません。これはどう思われますか?

:なんでもかんでも欧米のいいとこ取りしすぎですよね。国民の休日がこんなに多い国ないですよ。有給休暇を使ったら一年の半分が休みですよ。それでも、働かなくても権利を主張できてしまう、企業側としてはクビにすることもできない。そんな、いまの雇用制度は歪んでると思います。

:おっしゃる通りだと思います。一部の雇用者を守りすぎるあまり、逆に女性が働きづらくなっているのではないかと思います。であれば、全員を正社員雇用するのではなく、例えば、全員を契約社員にして雇用を流動化することも選択肢としてはあるんじゃないかと思うんですね。休みたいときは別の人が働いて、働きたいときは、そのタイミングで働ける会社と契約をするというような。

:法的に女性だけを保護するというより、そういう方向に変えていく方がいいと思います。

:現状は、一度会社を辞めると正社員に戻ることが極めて難しいので、まず何よりしがみついた方が得だったりしますよね。これは、日本の経営者が一番感じていると思うんですが、その歪みの犠牲になっているのは、結局は、子どもが産みたい女性なんじゃないのかと思うんですね。

:雇用が流動的になれば、仕事のスキルを磨かないで権利を享受し続ける状態は減るでしょうし、そうすれば仕事の楽しみもわかり、結果、能力もあがるから、健全な競争になるでしょうね。

子育ては投資

:子育てについてですが、保育施設や待機児童が社会問題になっています。これについてはどう思われますか?

:認定こども園(※1)ってありますよね。あれが増えればいいと思うんですけど難しいんですか?

:幼稚園と保育所は別だという考えが幼稚園側に根強くて、なかなか広がっていかないみたいなんですよ。

:そこをなんとかして増やしていけば、数は足りるじゃないのかなと思うんですけどね。あとは、女性側の意識の問題な気がします。

:なるほど、意識ですか?

:サポートママやシッターさんとか、そういったものを使うことに対して、経済面や他人に任せることに抵抗感があるような気がします。もし、子育てを優先して会社を辞めてしまったら、再就職をする際は、いまの給料より下がりますよね。そのことを考えると、勤めている会社を辞めずに何年かは誰かに任せてもいいんじゃないかと思うんですね。私は、0歳から幼稚園に上がるくらいまでは、給料はシッター代に消えていました。そのぐらい投資したっていいと思うんですね、子育てって。

:僕もそう思います。いまは、シッターだけに使える保育バウチャー(※2)もありますしね。

:厚生年金の補助(※3)もありますよね。

:僕は、シッターは働く女性にとって必要な制度だと思うんですね。いざというときの小回りも全然違いますし。

:特に、3歳まではしょっちゅう熱を出したりするから、施設に預けていると呼び出されることも多いけれど、そのときにシッターさんが迎えに行ってくれたりするとすごい助かりますよね。そもそも、病気の子を見てくれるところも少ないですし。

:そうですね。いまの日本は病児保育が脆弱なので、もっと増やしていかないといけませんよね。東京都が駅前型病児保育事業(※4)を補助する動きをはじめましたが、まだそれほど浸透してないので、これからしっかり推し進めたいと思います。

:駅前いいですね。職場に保育所があるところもありますが、そこまで連れて行くこと自体が一苦労ですからね。

音喜多はどうしたら結婚できる?

:最後の質問になりますが、どうしたら、僕は結婚できると思いますか?

:唐突ですね(笑)どうゆう女性を求めているかによりますけれど、仕事とか家事とかはどう考えてますか?

:分担してやればいいと思います!専業主婦願望は一切ありません!絶対に譲れないことは、子どもが欲しいです!

:なるほど。子どもができたら子育てはどうするつもりですか?

:育児休暇を取ろうと思ってます!それぐらい子育てに本気です!

:まず、何人ぐらいに声をかけてますか?

:・・・。

:モテる人を見てると、みなさんマメですよね。マメに声をかけて、気遣いをして、マメにサービスをする人。まずは、声をかけることじゃないでしょうか。

:声をかけることですか・・・。

:先日、ある方が主催するマラソンイベントがあって、そこに独身の男女が100人以上集まったんですよ。でも、これだけ同じ趣味の人が集まったのに、まったく声をかけあっている様子がない。それを不思議に思った主催者の方が、どうして声をかけないのか聞いたんですね。そうしたら、「だって、ここはそういう場じゃない」と答えたんですって。でも、独身にとっては、そういう場もどうゆう場も、すべての場が婚活の場所じゃないですか。だから、どこでもそこでも声をかけるべきなんですよ。

:なるほど!がんばります!

おときたの感想

まだ子育て支援が今よりはるかに未熟だった時代を切り拓き、実際に起業家として成功された干場さんの言葉は説得力のあるものでした。特に「子育ては投資と考えて、経済面を気にせず他人に思い切って任せる」という発想は、現代で働く女性にも大いに参考になるものではないでしょうか。

一方で、保育所文化が中心の日本ではそうしたシッター制度や保育ママの利用に対する補助がまだまだ未熟であることは確かです。時代や働き方に則した子育て支援ができるよう、政治の側からも働きかけていきたいと思います。

※1 認定こども園
近年の急速な少子化の進行や家庭・地域を取り巻く環境の変化に伴い、平成18年10月より開始された保育所(保育)と幼稚園(教育)の機能を合わせ持った事業形態。「定員割れしている幼稚園の活用」などを目指して主に幼稚園から認定こども園への移管が推奨されているが、保育機能と教育機能を同時に満たすことは受け入れ側にも負担が大きく、課題は多い。
※2 保育バウチャー
利用者助成制度の通称。日本では認可保育所など、施設側に補助金を出して利用者が安価に利用できる仕組みが一般的だが、近年は利用者側に対して保育関連施設(施設やシッター等)でのみ使えるクーポン券のようなものを発行し、利用者が好きな保育形態を選択し安価で利用できる仕組みが注目されている。欧米では導入事例が多いが、日本では自治体によってまだまだ限定的な取り組みに留まっており、普及が期待されている。
※3 厚生年金の補助
厚生年金加入者であれば、財団法人こども未来財団発給のベビーシッター育児支援割引券(1日の助成1,700円)が使用できる。
※4 駅前型病児保育事業
駅前に病児保育対応の施設を作る事業者に対して補助金(助成)を出す東京都独自の施策。平成24年度より実施されているが、まだ手をあげる事業者・自治体がなく、助成金額を含めて使いやすい制度改正が求められている。
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音喜多駿

音喜多駿/おときたしゅん
参議院議員(東京都選挙区) 39歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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