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都議会のIT化やニコ生中継が難しい理由を考えてみる

都議会の話

最近、メディア露出が増えてきたこともあり、
おかげ様で様々な意見をいただける機会が増えました。
皆さま、いつもありがとうございます!

その中で特に多いのが、

「議会や役所でもタブレット端末を導入できないのですか?」
「本会議や委員会をニコ生中継もしてほしい」

といった、主にITに関わるものです。
まあ、ネットで意見を集めれば必然的にそうなるのですが…。

物心ついたころからパソコンやネットが
身近にある我々世代からすれば、

「なんでこんなことができないの?デメリットないでしょ?」

と思う気持ちになるものですが、
こういう状況は民間でもままあることです。

たとえば私が新卒で入った前職の化粧品ブランドにて、
2006年~2007年頃にこんなことがありました。

各店舗に、売上管理のためのパソコンは設置してある。
ところがメール機能は封印されており、未だにファックスや
電話ベースでの情報のやり取りがなされている…

メール機能を解禁するだけならコストもほぼゼロ。
自分からすれば、使わない方が意味がわからない状態でしたが、

「パソコンの前から販売員が動かなくなる」
「どうせプリントアウトしてみるから(?)、ファックスと変わらない」
「メールだと気軽に濫用されて、情報が錯そうする可能性がある」

等など、圧倒的多数の方がメールの導入に反対でした。
まあ彼らの主張にもそれぞれ一理ありましたが、なんというかそれ以前に

「ファックスでいいじゃん。メールとか使う意味がわからないんだけど?

という空気感が漂っていたわけです。
こうした価値観が多数派を占めていると、なかなか変えることは困難です。
理屈以前に価値観がすれ違っている感じなので、議論にならないのですね…。

で、そこから2,3年くらい経って(!)ようやくなし崩し的に
メールの利用が解禁されましたが、何か明確な理由があったというより

「なんというか、もうそういう時代だよね。システムも進化したし」

みたいな雰囲気で変化が起きたことを良く覚えています。
だって、ロジックとしては別に何ひとつ変わってないですからね。。

やや強引ですが、今の都議会はまさしくそんな状況です。
資料が多すぎることに辟易はしているものの、紙じゃないと
複数の資料を同時に机に広げられないし、多人数でも見れないし…的な。

議会改革を行うのは議員自身ですが、平均年齢53歳の都議会において
タブレット端末の良さを理解してもらうのはまだ困難でしょうし、
当面なかなか自浄作用は働かないものと思われます。

ニコ生中継に関しても、

「すでにネット中継は行われてるのに、増やす意味ないじゃん」

というのが大多数の議員の感覚でしょう。そもそも
「ネット中継」と「ニコ生」の違いを理解してもらうのがなかなか困難です。

また、いくら手軽なニコ生といえど、導入しようと思えば
それなりに初期費用や管理コストがかかりますから、それに見合うほど
都議会への注目度が上がるかといわれると、自分としても断言できないところではあります。

「議会」というのは民主主義の権化ですから、
過半数の人が納得しないと改革は起きません。
良くも悪くも、(IT業界のような)急激な変化はありえないのです。

「じゃあオマエラは、一生そのままなのかよ?!」

と思われるかもしれませんが、そうではありません。
議会はあくまで「民意を移す鏡」、世論が情勢されて
「そういう雰囲気」になれば必ず変わっていきます。

そしてそれを加速するには、恐らくいくつか方法もあって、

・若い議員をどんどん議会に送って母数を増やす
・電話やメール、直接でもなんでも議員に声を届ける
・SNSやブログでみんなが声を上げ始める(選挙前だけじゃダメ!)

ネットやITへの理解はおそらくもうできないとしても、
ベテラン議員たちは「票の臭い」に何よりも敏感な人種です。
世論の関心が高まってきたことに関しては、誰よりも早く実行しようとします。

全国初「タブレット議会」始まる、経費節減目指す/逗子市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131207-00000018-kana-l14

↑先進事例も出始めてますしね。

世論の醸成がある臨界点を超えたとき、
雪崩のように変化が起きていくんじゃないかなーと思ってます。
民主主義って、とってもめんどくさくて、遅くて、だから面白いものなんですよね…。

そんなわけで、すぐさま変化がお見せできずに歯がゆい限りなのですが、
私自身は議会の内外、そしてネットやオフライン問わず

「ネットやIT機器って、こんな便利でっせ!みんな求めてまっせ!」

という声を上げ続けていきたいと思います。
それでは、本日はこんなところで。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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