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水族館は、レジャー施設か文化施設か?

都議会の話

1/14(火)に東京都が所轄する葛西臨海公園、
特に「葛西臨海水族園」を重点的に会派メンバーで視察を行いました。

葛西臨海水族園公式HP
http://www.tokyo-zoo.net/zoo/kasai/

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都民の方であれば、遠足や社会科見学で
一度は訪れたことがあるのではないでしょうか?

実はこの水族園(水族館)、東京都が出資して指定管理をさせている公営施設です。
運営主体は外郭団体の「公益財団法人東京動物園協会」。
このため、入園料(大人)は

品川水族館:1,300円
サンシャイン水族館:1,800円
新江ノ島水族館:2,000円
鴨川シーワールド:2,800円
葛西臨海公園水族園:700円

と、近隣の民営水族館に比べて際立って安くなっております。
もちろんこれは、公費つまり税金が投入されているからに他なりません。

葛西臨海水族園の場合、年間の運営コストは約11億円。
これに対して入場料収入は4億7千万円ほどだそうです。
ちなみに入場者実績は平成24年度で150万人超で、これはなかなかの人気施設。

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それでもやはり、民間並に1500円~2000円程度の
入場料を取らなければ、黒字運営は難しい状況なわけですね。
こうなると、議論になるのが下記の2点です。

・東京都(行政)がレジャー施設の運営を行う意味はあるのか?
・そもそも水族館は、レジャー施設か文化施設か?

前者だけの議論であれば、答えはほとんどNOと言えます。
それでは利点は安い利用料だけになりますし、利用する人としない人で
便益に差が出ることも問題になります。

しかしながら、コトはそう単純ではありません。
なぜなら水族館はレジャー施設であるとともに、
文化施設・研究機関でもある
からです。

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葛西臨海水族園は公営なので、利益を追い求める必要が(それほど)ありません。
このため、イルカショーやアシカショーなどの集客のコンテンツより
環境保護や繁殖技術の養成などに重きをおいた運営がなされています。

希少な水産生物の繁殖に成功すると受賞できる「繁殖賞」を
日本の水族館でもっとも多く受賞していますし、またクロマグロの
産卵・孵化に成功したのは世界でも葛西臨海水族園ただ一つだそうです。

こうしたまさに「利益にならないけれど、公益になるもの」を担うことこそ
公共の役割と言えますし、公営水族館の場合はそれにたまたまレジャー的な側面が
加わっている、との見方もできます。

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それにしても、水族館運営のコストは膨大です。
水槽の中で使う海水は、川の水と混ざり濃度が薄い付近の海水は使えないため、
ほぼ毎日八丈島からフェリー(に乗ったタンクローリー)で輸入しているとのこと。

また展示の水槽以外にも、当然その裏側には飼育・繁殖のための
膨大な水槽があるわけで、目に見える部分だけを運営しているわけではありません。
(ここが動物園との大きな違いでもあるそうです)

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葛西臨海水族園ができたのは、平成元年(26年前)。
内部も色々と見せてもらいましたが、海風が吹き付ける立地もあって
サビなどでかなりの老朽化が進んでいます。

また、当時は最新であったであろう機材も時代遅れのものになっており、
技術革新が進んだいま最新の設備に取り替えれば、ランニングコストを
かなり下げることができるのではないでしょうか。

しかしながら、当時88億円をかけて施工されたこの施設。
本格的なリニューアルとなれば、今度はその費用は100億円以上になるそうです。

建物や施設だけの場合と違い、水族館はその工事期間中に
生き物たちを飼育する施設が新たに必要になるなど、一筋縄ではいきません。

かといって、放置しておけばランニングコストは高止まりし、
また発災時のリスクも高まっていく…。なかなか悩ましいところです。
結局は、予算範囲の優先順位の議論に帰結していくわけですね。

なお、博物館・水族館の先進国と言われるアメリカでは、

「民営か、公営か」
「採算重視か、公益重視か」

等ではなく、ほとんどの運営費用が寄付によって賄われているそうです。
優れた研究やその施設には理解のある資産家や企業などから寄付金が供出されるため、
運営主体の財政状況や利益におもねることなく存続することができるのですね。

寄付文化の発達していない日本では、
すぐにそうなることは難しいと思いますが…。

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バブル時代に一大集客コンテンツとして一世を風靡し、
日本各地に建設が進んできた水族館も、いま正念場を迎えています。

公営の葛西臨海水族館に関しては、都民の皆さまの声を聴きながら、
最小限のコストで文化・研究施設、生涯学習機関として
継続していく方法が模索できればと考えております。

ぜひとも皆さま、水族館に足を運んだ際は
そんなことも考えながらご意見をいただければ幸いです。
それでは。

【おまけ:議員のとある一日2014/01/16】

事務作業@地元事務所(1h)

暫定予算案について打ち合わせ、作成準備@都庁控室(2h)

警視庁武道始式に選手として参加(移動含め4h)

復活予算要望の作成作業@都庁控室(2h)←イマココ!

今日はまだまだ帰れなさそうですが、
朝の活動がなかった分がんばりまーす^^

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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