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予定調和な出来レース?都政と都議会のブラックボックス「復活予算要望」のやり方を改めよう

都議会の話,

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

本日は北区赤羽講堂にて「私学振興拡充大会」が行われまして、地区選出の都議会議員全員が来賓スピーチを行いました。

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東京都では特に高校生の約6割が私立学校に通学しており、私学が教育の要となっているのが大きな特徴です。

ところが現実的に、公立と私立の間には授業料などの保護者負担に大きな乖離があり、これを是正するために東京都は私立学校助成として毎年千億を超える予算を投入しています。

この私学振興拡充大会とは、私学関係者が集まって毎年びっしりと会場を保護者たちで埋めて、

「振興費の予算を絶対に減らさず、より拡充してください!」
「保護者の負担を軽減してください!

と切なる願いを陳情する場の一つなわけですね。

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長きに渡って連綿と続くこうした私学関係者の政治活動と切なる願いには、心より敬意を払うとともに、教育への投資を増やし続けていかなければいけないと心から思います。また私学出身者の一人として、私学助成の重要性も理解しています。

…しかしながら。

この要望に対して都政・都議会が適切な形で応えてきたのか?という点には疑問が残ります。

東京都生活文化局の予算に計上されている「私学振興助成金」を形成過程を見てみましょう。

毎年この予算編成の時期になると、まず東京都の各局が「局要望」という形で財務局に対して予算案を提示します。

その際に財務局は、この私学振興助成金の項目については数十億円を削ってきます。満額回答をしないわけですね。

これでは私学振興拡充大会の要望を満たすことができません。ではどうするか?

そこで登場するのが、予算編成における議会の「復活予算要望」枠です。東京都には予算編成の終盤、議会からの要望でつけられる予算が200億円あります。

予算編成のプロセスについては以前に詳述しましたので、詳しくはこちらをご覧ください↓

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茶番か、儀式か?それともはたまた…。「復活予算要望」枠200億円を、ゼロ円で要望してみました
http://otokitashun.com/blog/togikai/5824/

で、この復活予算要望において、私学振興助成金のマイナス分が補填され、年によっては当初の局要望にプラスされて終わるわけですね。

これをもって議会側は「実現しました!」と主張し大円団となるのですが…

局予算要望が削られる

議会が復活予算要望を提出

満額回答

という流れは、まったく同じ形で長年続いています。少なくとも遡って調べる限りでは、過去5年間は復活する項目までほとんど一緒です。

ここについては私もかねてから疑問を呈しておりますが、そう感じている議員は決して私だけではなく、やながせ都議もこの復活予算要望の存在そのものとプロセスに強い疑念を示しています。

儀式化した東京都の復活予算要望、逆手にとって要望をほぼ100%通す方法が判明!
http://otokitashun.com/blog/togikai/10203/
都復活予算、5年間ほぼ項目が変わっていない件。 — やながせ 裕文
http://agora-web.jp/archives/1667577.html

さらに畳み掛けるとこの復活予算要望、200億円もの大金を差配するにもかかわらず、議員たちの提出からたったの2日間で結論が出ます

東京都の復活予算要望、2日間で5つの新規事業が決定するスピード感がすごい
http://otokitashun.com/blog/togikai/5849/

慎重な検討や決裁に時間をかける行政機関が、たったの2日間で多額の予算を差配する意思決定をすることは普通に考えればありえません。事前に復活する項目や金額まで、一部の議員たちと行政の間で取り決めができていると考えるのが妥当でしょう。

いつどこで誰が、何を決めているかわからない…都政・都議会の「ブラックボックス」は、ここでも非常にわかりやすい形で存在しているわけです。

こんな状態で「ブラックボックスなどない」「知事、ブラックボックスは見つかりましたか?」なんて言えてしまう方々は、厚顔無恥と言う他ありません。

あるでしょう、ここにっ!!という感じです。

私学振興から話がそれました。

言いたいことは、このような「儀礼的」なやり方が果たして本質的な問題解決に近づいているのか、もう一度考え直す必要があるのではないかということです。

私学助成拡充大会を企画する関係者の皆さまも、動員される保護者の皆さまにも、多大なる負担がかかっていると思います。そして「復活予算要望」という儀礼を執り行うためにも、多数の行政職員のマンパワーが投入されています。

もちろん関係者の意見を聞き、要望を受け取ることは重要です。しかしながら仮に大仰な儀礼がなくなったとしても、必要な施策であれば前に進めるべきだし、それは効率的・合理的なやり方で公明正大に行われるべきではないでしょうか。

小池都政が誕生し、都政は大きく動いています。予算編成そのものや「復活予算要望」も、従来の形で行われることはないはずです。

是正するべきは是正し、子どもたちや私学に子どもを通わせる保護者の皆さまの負担が少しでも軽減されるよう、引き続き私の立場からしかるべき政策提言を続けていきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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