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小池知事の給与半減に「反対はしない」「改革の方向性は同じ」ならば、都議会はどうする??

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

築地移転・豊洲新市場問題について深夜に及ぶ集中審議が行われておりますが、その裏で他の常任委員会も粛々と行われています。

私は所属する総務委員会にて、自転車条例改正へのパブリックコメントが7件(!)しか集まらなかったこと、知事給与削減の特例条例案について質疑を行いました。

注目度は高く、テレビカメラも複数台入り、一部で報道されたようです。

都知事給与半減条例案 成立へ(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20161006/3288111.html

東京都の小池知事が提出した、みずからの給与などを半減するための条例案が6日の都議会の総務委員会で審議され、最大会派の自民党は「給与などを決める審議会の答申を得た上で減額を実施する方法もあったのではないか」としながらも、反対しない意向を示し、条例案は来週の本会議で成立する見通しとなりました。東京都の小池知事は、都政改革に向けた決意と姿勢を示すため、給与とボーナスにあたる期末手当などを半減し、年間支給額を1448万円とする条例案を今の都議会に提出しました。

この条例案が6日の総務委員会で審議され、最大会派・自民党の大場康宣議員は「知事による恣意的な給与設定を避けるため、都には給与などを決める審議会がある。審議会の答申を得た上で減額を実施する方法もあったのではないか」と述べましたが、条例案に反対しない意向を示しました。

また、公明党や共産党など他の会派も賛成や反対しない意向を示し、条例案は来週の本会議で成立する見通しとなりました。

一方、6日の審議では、条例案が成立すると、知事の年間支給額が、都議会議員を260万円下回ることから、議員から「議員報酬のあり方について都議会に設けられた検討会で議論していくべきだ」という意見も出されました。

(上記記事より引用、強調筆者)

まず事実関係を確認しておきますと、知事や都議会議員の報酬は「特別職報酬等審議会」なる組織で毎年審議され、その金額の妥当性が検証されます。

といっても事実上、国家公務員給与や民間平均所得への連動を確認・追認する機関となっており、こちらにどれだけ諮ったところで「改革のために給与を大幅削減」などという結論が出てくる可能性は非常に低いです。

給与に関する条例案を提出・議決するのはまさに特別職である知事や議員ですから、審議会が「恣意的な給与設定を避けるため」に存在することは事実ですが、これは勝手に給与・報酬をあげないように抑制するための機関と言えます。

なお、この特別職報酬等審議会による給与決定のシステムがスタートした昭和39年当時、知事の月額給与は30万円でした。それが現在は月額約145万円。

物価水準の上昇などもあり5倍近くになっていますが、昭和40年代の民間平均年収が40万円で、現在が400万円代と10倍以上になっていることを考えると、それほど不自然な金額ではないようです。

こうした審議会は自治体の財政状況や改革の方向性などは一切加味しませんから(だから財政破綻寸前の自治体公務員でも給与は上がり続ける。かつての大阪市など)、給与を大幅にカットしようと思えば今回のように、特例による条例案を提出することになります。

これは何も小池知事が目新しいことを行っているのではなく、直近でも下記のような実績があります。

石原都知事:財政状況に鑑み、給与と期末手当を10パーセントずつ減額(一時期は期末手当を5割カット)
猪瀬都知事:石原路線を継承し、給与と期末手当を10パーセントずつ減額
鈴木知事:昭和54年から1年間、財政面の理由から給与と期末手当を50パーセント減額

いずれも審議会の答申に基づいたものではなく、都議会自民党が「審議会の答申を~」と強調するのは、今度こそ自分たちに火の粉がかかってくることに対する「逃げ道」を作っているに過ぎません。

今回の知事給与減額の理由は、知事自身が何度も所信表明や質疑を通じて述べている通り「改革への決意と姿勢を示すため」です。

それに対して各会派は賛成、もしくは反対しない(苦しい言い方!)という姿勢を示し、また代表質問・一般質問を見ていると「改革を進めるという方向は同じ」というニュアンスの発言をしています。

であれば都議会議員の待遇も、まったく無関係でいることはできないと思います。というか、これまで歴代知事が減額したときに無傷で乗り切ってこれたこと自体、いかに世論が都議会に無関心だったかの証左ではないでしょうか。

都議会自民党の高木幹事長は代表質問において、

「知事の給与と議員の『報酬』は意味合いが違う。議員の場合はあくまでメインの所得=給与ではなく、他に本業がある前提で副業としての報酬がでるというもの。だからこそ本業を休んで議会に出席するため、その損失を補填する『(1日1万円の)費用弁償』が支払われる」(要旨)

と朗々と述べておられましたが、この昭和の時代につくられた議員報酬の前提は現在、どこまで実態を反映しているのでしょうか。また、どれだけの都民がこの説明に納得するでしょうか。

他に本業があって都議会議員は副業、という方はほとんど存在しないと思いますし、副業の報酬として年間1700万円ならば額面が突出しすぎです。これに加えて1日1万円という費用弁償が存在するのですから、議員特権という批判から逃れることはできません。

一方で、政治活動にお金がかかるのは事実であり、きちんと活動すればするほど支出は増えます。

参考:未だかつて大新聞上で、ここまで議員報酬=財布の中身を晒した議員がいただろうか?!
http://otokitashun.com/blog/daily/6954/

単純に高いからといって減額すれば、真面目にやっている議員の活動の質と量は間違いなく低下します

…ということを言うと、「大阪では報酬カットして、議員たちはみんな立派に活動している!」と維新支持者の方々にたいそう怒られるのですが、そういう立派な議員の方々はお金があればさらに素晴らしい活動ができるのだと思います。

現実問題として議員報酬の減額はそれとトレードオフの関係であることは理解した上で、見直し議論を進めていかなければなりません。

なお念のため述べておきますと私は、

・議員が自由裁量で使える金額が多すぎ、また情報公開が不徹底なため、不真面目な議員が得をすること
・仮に議員活動の質と量が低下してもなお、改革へのプラス面の方が大きいこと

という理由から、議員報酬・政務活動費の減額や費用弁償の廃止には賛成です。しかしながら、減額するメリット・デメリットをきちんと理解するためにも、なるべく多くの都民・国民を巻き込んだ議論を経ることが望ましいと思っています。

というわけで都議会は「早急に」「期限を決めて」「オープンの場で」「少数会派の議員も含めて」都議会議員の待遇を議論する検討会を開催するべきであると、委員会質疑の最後にも強く述べさせていただきました。

これは会派要望としてもすでに、都議会議長ならびに都議会議会運営委員長にも提出済です。

都議会のあり方検討会の開催を求める申入書
http://your-party-tokyo.jp/activity/713/

知事の改革姿勢をきっかけに、旧態依然とした「ラストリゾート」東京都議会でも、活発な議論が起きることを望むとともに、また皆さまも世論という後押しをいただければ幸いです。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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