もっと、新しい日本をつくろう

「最初から聴こえない」こと、「途中から聴こえなくなる」こと。

日々のこと

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
夏の間は祭りや神輿に参加する他に、議員には大事な仕事がもう一つあります。
(祭りや神輿は仕事か?)

それは、各種の団体から「予算要望」を受け付けることです。
秋口から年末にかけて、東京都は来年度の予算を策定しますので、
そこに対して議員たちも様々な政策提案をしてことになります。

そのタイミングの前に、各種様々な団体が

「うちの団体の要望もリクエストに入れて下さい」
「ぜひ、◯◯事業の予算化を東京都に対して進言を!」

という陳情に、各会派・政治家事務所を回られるのですね。
本日は「中途失聴・難聴者協会」の皆さまが都議会議事堂にお越しになりました。

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正直なところ、昨年度まではあまりピンと来ない部分もありましたが、
斉藤りえ区議や、先日はまさに中途失聴者である松森果林さんとの交流もあり、
かなり実感を持って要望を伺うことができました。

松森果林さんとの過去記事はコチラ↓
http://otokitashun.com/blog/daily/8208/

同じ聴覚障がい者と一緒くたにされがちですが、
やはり先天的に聴こえない方と、途中から聞こえなくなった方では悩みも、
行政に求めるニーズも異なってきます。

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本日も多くの項目でご要望をいただいたのですが、
例えば中途失聴・難聴者の方向けの手話講師の育成

そもそも手話には、先天的に耳が聴こえないろう者の方が
『言語』として身に付ける「日本手話」と、日本語を母語として育った方が
後天的に身に付ける「日本語対応手話」の2種類があります。

「手話は、英語等の外国語と同じ言語の一つだ!」

と言われてもピンと来ない方が多いと思いますが、
日本手話は独自の体系を持つ立派な一つの言語であり、
日本語を手の形で表す日本語対応手話とは根本的に異なります。

英語話者が英語で思考するように、
日本手話者は日本語ではなく「日本手話」で思考しているわけですね。
※本件については、また後日に別途詳細に取り上げたいと思います。

というわけで、母語として日本語を身に着けている中途失聴・難聴者の皆さまが
手話を身につける場合は、「日本語対応手話」になってくるわけです。

それに対応する講師・講座は存在することはするのですが、
「聴こえる人に(通訳になりたい人など)に教える」ことと、
「聴こえない人に教える」ことには、指導方法に千里の隔たりがあります。

教え方の技術的な違いは勿論のこと、
いままで聴こえていたことが聴こえないもどかしさ、メンタル面などのケアとも向き合いながら、
日本語対応手話の学習をサポートしていかなければなりません。

こうした専門家の育成・講習会の開催については、
残念ながら東京都は現状実施をしておらず、

「必要性は認めるが、予算がないので実施は難しい
「現状の講師育成コースの中に、一部分だが該当する学習内容がある」

という見解で、すぐに実施される見込みはないようです。。

ちなみにこの手話通訳等養成事業の予算規模は、今年度で年間約1,100万。
こちらの協会が独自に実施した際にかかった予算は年間250万円ほどだったとのこと。
年間1,400万円ほどの予算を確保できれば、必要性のある専門家の養成は十分可能に思えます。

単純な比較に意味はありませんが、
今回の「ファイヤーエンブレム問題」で東京都が被った損害額は
5,000万とも7,000万円とも言われています。

エンブレム 都は4600万円発注 – Y!ニュース (2015年9月2日(水)掲載)
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6172899
五輪エンブレム:東京都の支出7000万円ふい?(毎日新聞)
http://mainichi.jp/sports/news/20150903k0000m040106000c.html

パラリンピックを控える東京都として、
必要性のあるところにしっかりと予算を担保していかなければいけません。

その前提として、どれだけ都民全体の中でニーズがあるかを
把握しなければならないのですが、4万5千人と言われる都内の聴覚障がい者のうち、
何名が中途失聴・難聴者なのかを東京都は把握できていません

こういう、データや調査結果がない分野って、驚くほど行政に多いんですよね。。
予算や施策を考える上で実態調査は必要不可欠ともいえますので、
まずはこうした点から改善されるように東京都に提案していきたいと思います。

なお、今日の陳情では「情報保障」の専門家の方々が4名もいらっしゃってました。
長い長い巻物のような紙に、高速スピードで文字を書いていく様子は圧巻!

ちなみにうちの会議室には、政界には珍しく
大型ビジョンが設置してあるので、こうした時に大変喜ばれます。
自分たちの周りからバリアフリー環境を整えて、様々な方と意見交換していきたいですね。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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