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障がい者、高齢者、学生…そしてアルパカまで?!ごちゃまぜ福祉施設「シェア金沢」に行ってきた

日々のこと

厚生委員会視察二日目。

本日は「Share(シェア)金沢」「福井大学病院」を視察したのですが、
ブログでは前者の方をご紹介します。

Share金沢とは、1100坪の広大な敷地内に
「障がい者施設」「児童養護施設」「ケア付高齢者住宅」などの
様々な福祉関連の施設が混在する非常にユニークな取り組みです。

写真 1

Share金沢[シェア金沢]
http://share-kanazawa.com/

自ら「街」と名乗っている通り、この敷地内には大学生向けの格安賃貸物件や、
地域の方が利用できる温泉、果てはアルパカ牧場まで完備されており、
先の4月には安倍首相もこの場所を視察に訪れたそうです。

写真 3

アルパカ可愛い。

この場所を説明するのには、成り立ちを追っていくのがわかりやすいでしょう。

運営主体である社会福祉法人「佛子園」の創設者はそもそも、お寺の住職。
戦後に戦災孤児をその境内で養い、児童養護施設の運営がスタートしました。
(ちなみに児童養護施設の多くは、これと類似の流れで始まっています)

当時は県内に障がい者、特に知的障がいを預かれる児童養護施設がなかったことから、
「知的障がいを専門に受け入れる施設になってくれないか」との県からの要請により、
やがて佛子園は知的障がいを持つ子どもたちの児童養護施設として確立していきます。

ここからが、彼らの発想のユニークなところ。
いや、誰もが理想として考えながらも実現できなかったことを、
彼らは行政のバックアップと広大な土地を駆使して実現したと言えるでしょう。

【拡張Step1.】

児童養護施設の対象者は18歳未満、措置延長しても20歳まで。
しかし知的障がい者の場合、卒園しても残念ながら行き場がないことが多い。

児童養護施設だけでなく、成人用の施設も必要だ!

→成人用の障がい者対応施設としての機能が追加される

【拡張Step2.】

児童と異なり、成人となると「仕事」が必要。
ならば、就労する施設とビジネス自体も一緒にやってしまえ!

→障がい者就労支援サービス、就労施設が併設される

【拡張Step3.】

障がいを持つ子どもたち、大人たちには様々な人と触れ合って社会性を養って欲しい。
障がい者だけが生活している、シェルターのようになってしまってはまずい…

そうだ、敷地内に住宅をつくろう!

学生向けには格安の賃貸物件を(その代わり、月30時間のボランティアが条件)。
高齢者には、ケア付き住宅を。こうすれば、敷地内で多様な人材が交流できる!

→敷地内に住宅まで誕生する

【拡張Step4.】

しかしこれだけでもまだ、障がい者・高齢者・学生だけのコロニーになってしまう…
もっと地域の人に来てもらって、自然とコミュニケーションが生まれる場にせねば。。

敷地内に温泉をつくってみては?
大人気のアルパカを飼ってみて、一般に開放してみては?
土地が余ってるからテナント料無料にして、色々な事業者に出店してもらおう!

→敷地内に様々な店舗、サービスが展開され、さながら一つの街になる

写真 2

…とまあ誠に簡潔ながらこんな流れで現在のシェア金沢が誕生しまして、
高齢者のいわゆる「終いの棲家」として一つの理想型なのではないか?と大注目を集め、
現在のケア付き高齢者住宅に入居している人の半分弱が都心からの移住者だそうです。

確かにこれ、非常に興味深い取り組みです。
施設ともサービスとも違う、まさに「街」を運営しているわけです。

ただしこのシェア金沢は、正式にローンチしてまだ1年。
はたして継続性はあるのか、採算は取れるのか、問題は起きないのか…
こうした効果測定をしっかりと行っていかなければならないでしょう。

それでも注目すべきは、金沢(石川県)では少なくとも
こうした複合施設が現実に形になっているという点です。

通常、社会福祉法人というのは同一の敷地内で
複数にまたがる福祉サービスを運営することができません

障がい者施設なら障がい者施設、高齢者なら高齢者、児童福祉なら児童福祉。
ここには厚い「行政の縦割りと慣習」が立ちはだかっています。
(勿論、複数運営における課題が多々あることはわかりますけど)

シェア金沢は広大な敷地を番地に分けて、それぞれ別の施設として
行政に申請しているとのことでしたが、それでも相当な行政側からの理解がないと
これだけの複合施設が認められるのは厳しいのではないかと思います…。

また賃貸物件を格安とはいえ貸し出す場合、これは営利的な活動になるので
福祉法人の枠の中では運営できないはずなんですが、この辺りをどうクリアしているのかも
視察の時間内では確認できませんでした。。(追って回答をもらうことにしています)

これらの課題をクリアしたとしても、土地のない都心部ではこのような
「あらゆる福祉施設を街として丸ごと運営する」という仕組みは難しいかもしれませんが、
地方都市で採算が取れるのであれば、どんどん平行展開していけば良いのではないかと思います。

ただ反面、「街の中に街」がどんどん生み出されていくと、
最終的にその地方都市はどのような形になるのか…上手く想像ができません。
そもそも、それを基礎自治体でやることが行政の目指すべきものな気がするこの矛盾!

シェア金沢の今後の発展に注視しながら、
引き続き自分の中でも答えを探して政策提言に結びつけていきたいと思います。

というわけで、2日に渡る年に一度の委員会視察も終了!
遠藤守委員長のリーダーシップの事務局の皆さまの準備段取りで、
非常にスムーズに視察を終えることができました。大変感謝です。

ただ、委員会視察はどうしても議員10名上の団体行動になるので、
細かな点まで質疑応答できないのが欠点です。気になる点は他にいくつもあったのですが、
後追いでしっかりと調査・研究していきたいと思います。

来週にはいよいよ次回定例会の議案も発表されますので、
徐々に議会モードに頭を切り替えて参ります。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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