もっと、新しい日本をつくろう

「インターネッ党」の今後へ、少しの期待と大きな不安

日々のこと

さて、明日から舛添都知事が正式に就任して
都議会モードに入るので、もう一回選挙ネタを書いておきますか。

今回の「ネット選挙」についてはすでに
様々な評価がされておりますが、基本的には

「ネットは運動員の獲得には大きな力になるが、票にはならない」

という従来の仮説が証明されたものと認識しています。

結局、有名人との対談をネット中継しているより
駅前までタスキをつけて長時間立っていた方が票になるわけで、
これは未来永劫あんまり変わらないんじゃないかと思います。

そんな中、ネットの新たな可能性を切り開き、
また同時に限界を示したことで選挙に一石を投じた
家入かずま候補が、開票日当日にまた大きな宣言をぶちあげました。

インターネッ党「新東京計画」始動
http://internetparty.jp/

簡単に宣言をまとめますと、

1.
今回、選挙で掲げた政策でできるものは勝手に実現していく
2.
今後もネットコミュニティを構築するためにメルマガを発行する
3.
2020年までに東京23区すべての区長選挙に候補者を擁立する

うーん…

家入かずまさんには早々に対談企画も受けていただき、
またその政策の中にも私が提言したものをいくつも取り入れてもらえました。
政治の世界を諦めないのであれば、今後も大いに期待したい人物の一人です。

しかしこの宣言は、初めて見た時に率直に頭をひねってしまいました。
理由は、上記で太文字にした3番です。

そもそも、どうして区長選挙なのでしょう?
しかも、今回の選挙の総括(敗因の分析)も終わらないうちに…。

昨日の「言論アリーナ」(ニコ生番組)でも少し言及したのですが、
東京23区の区長選は政治的にスーパー難易度が高い選挙です。

23区制が誕生して以後、新人候補が現職を破ったことは一例もありません。
区長選挙は国政選挙や都知事選挙に比べて投票率も低く、
さらに組織票や保守勢力がモノを言う世界です。

選挙区も限定されますから、当然のごとく
ネット選挙という「ゲリラ戦術」の効果も限られます

何より区長は、その行政地区の財政状況や議会状況、歴史的背景はもちろん、
細やかな地域問題の隅々にまで精通している必要があります。
そんな卓越した人材を、短期間で発掘できるのでしょうか。

生まれも育ちも北区で、そこで議員をやっている僕でもまだ不安なレベルです。
地元の区議会議員さんからの情報や、地域有力者とのコネクションも必要になるでしょう。

今回の都知事選挙の結果も得票数は9万弱。
人によって大きく見方は分かれますが、率直に申し上げて
これはかなり少ない、完敗と言っていい数字だと思います。

ネットの可能性や、若者の団結を形で示すためには
最低でも10万というラインはクリアしなければならなかった。
敗因には諸説あるでしょうが、そのうちの大きな一つが

「一部のネット民たちが、遊びでやっている」
「勝とうとしてない、売名行為だ」

と多くの、特に同世代にまで思われていたことです。
それを省みずにまた勝てもしない「無謀な挑戦」を
アドバルーンのように打ち上げるだけでは、活動自体が消滅しかねません。

本当に勝つ気はあるのか?勝算はあるのか?
そうそうたる「賛同者」たちに一人でも、自ら立候補する覚悟はあるのか?
そして、タスキをかけて朝から晩まで駅に立ち続ける気概があるのか…?

さて、同じように選挙でムーブメントを巻き起こした例に、
2013年参院選の三宅洋平さんがいます。彼もまた、

「これで終わりじゃない。志し同じくする人が、政治に挑戦を続けよう!」

と訴えました。
そして…彼の「選挙フェス」に感銘を受けたという私の大学時代の友人が先日、
次期秩父市議会議員選挙に挑戦することを発表しました。

「単なる地方のイチ市議会選挙ww」

なんていう方が、ネットの中には多いと思いますよ。でもね、
選挙に出るのは、マジで凄いことなんです。どんな小さな選挙でも。
文字通り人生を変える、投げ出す覚悟がなければできることではない。

まして勝利には、並大抵の努力では辿りつけない。
家族も巻き込むし、離れていく友人もいるでしょう。
選挙期間中の事務所は、まさに身を削った戦争状態です。

三宅洋平さんとは全く政治信条が異なるため
交流はありませんが、これは本当に凄いことだと思います。
一人の人を動かして、こんなに厳しい政治の世界に行かせたんだもの。

「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、
堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である」

マックスウェーバーの有名な言葉です。
回り道かもしれないけれど、小さな一歩を踏み出すことが大事な時もあります。
個人的には、もう少し違うルートがあるんじゃないかと思っています。

ただもう、取り消すつもりがないなら、
不退転の覚悟で突き進んでみて欲しい。

23戦23敗かもしれなけれど、
全選挙区に候補者を擁立し続けて、最後まで闘い抜いて欲しい。

約束を守ること。

それが若者が政治に信頼を取り戻すための、
最低条件だと思うから…。

すでに党派に所属している私には
外部から意見するくらいしかできませんが、
政治への挑戦姿勢は応援し、最後まで見守っていきたいと思っています。

それでは、今日はこの辺りで。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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