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問題提起は評価したいが、手順とやり方には改善点も…熊本市議による子連れ議場出席について

日々のこと

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

議場に子連れはあり?なし? | NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171122/k10011232281000.html

本日、熊本の女性市議が生後7ヶ月の子供連れで突然議場に現れ、退席を促されたという件がにわかに話題になっています。

私も本会議などの議場ではありませんが、都庁・都議会議事堂内にて都庁職員との打ち合わせなどに0歳児を同伴させた経験があることから(過去記事)、朝日新聞から連絡がありコメントしました。

東京都議の音喜多駿さん(34)は妻と仕事が重なった1月、都議会議事堂に次女(1)を連れて行った。都職員との打ち合わせにも同伴し、その様子を自身のブログに載せた。

「議会は率先して多様性を示すべきだ」と話し、「心情的には応援したい」とするが、議長の承諾を得ずに議場に同伴することには批判的だ。議員なら、規則の変更や要望書の提出といった手順を踏むべきだと考えるからだ。

熊本市議会の混乱を受けて、子育て当事者への風当たりが強まることを心配する。「市議の行動は、乳児や子連れ反対派の声を大きくする可能性がある。当事者は慎重な行動で世論を味方にする必要がある」

乳児連れ議会出席、是非は?女性市議が同伴、開会遅れる:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASKCQ5H55KCQTIPE02S.html

コメントにある通り、私は議場でも乳児連れが認められるようになることに賛成ですし、議会から積極的に多様性を示すべきだと思っています。

しかしながら、報道の情報に加えて記者や関係者から聞き取りをしたところ、今回の女性市議のやり方にも問題点があったことは指摘をせざる得ません。

まず市議は、「子ども連れで出席できるかなどを議会事務局に相談した」とあるように、議会事務局に事前に相談していたことを明らかにしています。

議員以外の一般の方であれば、「事前に相談したのに認められず、やむを得ず子連れ出席を決意したのだな…」と思われるかもしれませんが、これは市議側に瑕疵があります。

議会のルールを決めるのは、議会事務局ではなく議員たちで構成される議会運営委員会(議運)であり、最終的には議長です。

事務局は文字通り、現行通りのルールで議会運営をサポートする「事務方」に過ぎないのであり、こうした事案について対応することはできません。

議会事務局に相談して難色を示されたということは、当該市議は自分の取りたい行動が現行のルール外にあることは認識していたはずです。

であれば、議会を構成する議員の一員として、議運及び議長の双方にルール変更を申し入れる相談に行かなければなりませんでした

それでもなお、子連れ出席の提案が正式に却下されていたとするならば、問題提起として今回の行動に出たのには一定の理解をすることはできます。

>この日の同伴について議長や議会事務局に事前の連絡はなく、議会運営に関わる規則の変更を申し入れる手続きもとられていなかった。沢田議長は「もう一度要望を聞いた上で、議会運営委員会で議論していきたい」と話した。(上記朝日新聞記事より抜粋)

ところが、この重大な手順がすっ飛ばされてしまっているので、議長としては退席という措置を取らざる得なかったといえるでしょう。

ただ勿論、退席を促すのではなく「注意」くらいで済ませて議事を進行させれば、議会の株はめちゃくちゃ上がったと思うので、そういう意味では懐の深い「神対応」があれば良かったのかもしれませんが…。

以前にも車椅子を利用している障害者の方が、事前通告なしで飛行機を利用されて、航空会社側の対応が議論を呼んだことがありました。

これについても、問題提起のやり方として正しいものだったのかどうかで賛否が別れるところでしたが、議員の場合はさらに事は複雑になります。

議員というのは立法府の人間ですから、ルールを作る側の人間です。ルールの作る側の人間が現行ルールを破れば、批判を浴びることになるのは必然とも言えるでしょう。

いくらペーパレス議会が進まないからといって、私がいきなり都議会の議場にパソコンを持ち込んだら、非常識な人間としてフルボッコになるでしょうし…(苦笑)。

特に、立場や世代によって意見が別れる子ども関連については非常にセンシティブで、問題提起のはずがむしろ逆に

「子育て中なら何をしても許されるのか」
「これだから子連れは迷惑なんだよ」
「子どもを利用した政治パフォーマンスだ!」

と、保守層の人々の反感を助長してしまうことにもなりかねません。

かくいう私もかなりパフォーマンス批判は浴びておりますが、一定の「線引」のついては守っているつもりです。

繰り返しになりますが、私は議会から多様性を実践すべきだと思いますし、将来的には議場にも子連れで出席できるような環境を作って行きたいと思っています。

だからこそ今回の件は、少なくとも議運および議長への正式な申し入れを行っておくなど、もう少ししっかりと手順を踏んでから行ってほしかったなと感じる次第です。

とはいえ、これを機に子連れ出席が認められている欧州議会などの件が取り上げられるなど、ポジティブな面も確かにありました。

起きてしまったことは起きてしまったこととして、当該市議の想いの通り、これを機に議会のみならず社会の子育て環境について議論が深まることを願ってやみません。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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