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理事の約7割が都庁OBの再就職、指定管理案件の大半を特命受注…次なる改革のターゲットは監理団体(外郭団体)と「天下り」だ!

日々のこと, ,

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

本日は総務委員会にて、本定例会に提出されている議案が審議されました。その中の一つに、

監理団体(外郭団体)経営目標達成評価制度

というものがあります。

監理団体(外郭団体)とは、地方自治体などの官公庁の外部組織ではあるものの、その大半を官公庁から出資を受けて成り立ち、官公庁の補助的な業務を請け負う団体のことです。

東京都には都立博物館などを運営する東京都歴史文化財団、都営住宅を運営する東京都住宅供給公社など33の監理団体があります。

しかしながらこの監理団体は、

「民間企業で対応可能なものを受注して、存続のために存続しているのではないか?」

という存在意義そのものへの疑問が根強く残っていることに加え、退職した都庁職員OBが大量に再就職をすることが問題視されてきました。

これがいわゆる「天下り」というやつですね。天下りがあるのは国家官僚だけではなく、むしろ注目度の低い都政においてこそ根強く残っています。

そうした批判をかわすために、「いや、監理団体もきちんと仕事をしていますよ!」ということを証明するために毎年出しているのが「監理団体経営目標評価制度」なのですが。。

・「目標」を定めるのは監理団体自身。つまり自己申告。
・それを評価するのは副知事や関係局長などの都庁職員。つまり身内で身内を評価(外部メンバーは一切なし)

…こんな状態で、健全な評価がされていると思う都民はいるのでしょうか?

さらに不可解なのは評価がS・A・Bの3段階となっていまして、明らかにこれは「見栄えを良くするため」の恣意的なランク表記です。

なお今年度の評価ではS評価が5団体、A評価が28団体、B評価が0団体ということで、完全に甘々な裁定が下されているのが見て取れます。

まあ前述のような自己申告→身内の評価で、そもそも厳しい結果が出るはずがないのですが…。

このような制度の欠陥については私を含む複数の会派から疑義が提示され、「透明性の確保に向けて、新制度の中で早急に検討をしていく」旨の答弁がありました。

毎年のように指摘されてようやく!といったところで、いかにこの問題に対して、東京都が消極的だったかがよくわかります。

では、どうして東京都が監理団体に対して厳しいチェックをしたがらないのかと言えば、話はループしますけど、もちろん監理団体が都庁職員たちの再就職先=天下り先になっているからです。

今回は公明党の谷村たかひこ議員がかなり詳細な質疑を行いましたので、それに基いて数値で説明していきますと。

まず33の監理団体には76名の理事(幹部クラス)が存在するのですが、なんとその約7割にあたる51名が都庁職員OB!

豊洲市場の「盛土」問題で責任を取らされた元市場長2名も、退職後はこれらの監理団体に再就職をしていました。

そして過去5年間で退職した「課長クラス以上」の都庁職員869名については、そのうちの約2割にあたる166名が監理団体に再就職をしています。

「一切のあっせんなどは行っておらず、有意な人材が登用されただけ」

という建前にはなっておりますが、それにしても還暦を過ぎた人材がこれほど再就職できる状況は不自然だと思わざる得ません。

さらに監理団体に横流しされるのは、退職OBという人材だけではありません。

こうした監理団体の多くは、都立公園などの施設運営を指定管理者として受注することで成り立っています。

本来であれば指定管理者制度は、競争入札を行って民間企業からも応募をつのり、幅広く選択肢を検討しなければなりませんが、都の指定管理者制度は138/198件と約7割が特命での指定(決め打ちでの発注)です。

さらにその特命で指定されている案件のうち、85/138件において監理団体が指定を受けており、件数では6割・指定管理料の金額ベースではなんと9割を占めています。

その中には民間団体でも運営可能ではないかと思われるものを含まれており、競争すら行われない特命で指定が行われることは、これもまた極めて不自然と言わざる得ないでしょう。

こうした仕事と予算を監理団体に付け回し、そこに天下りポジションを創り出すことは、まさに国家官僚たちがかつて頻繁に使ってきた手法に他なりません。

緊迫した財政状況から、国や他の地方自治体では監理団体・外郭団体の整理や改革が進んできましたが、「ラストリゾート」と言われる東京都にはいまだにこの構造が温存されています。

都政運営を行う上では、「都職員たちは敵に回せない」という暗黙の了解の元、かつて行政改革を断行した初期石原都政でも、監理団体改革までは踏み込むことができませんでした。

むしろ行政改革プランの名の下で削減された職員たちが、監理団体に付け替えられるということも行われており、まさにこの天下り・監理団体問題は歴代都知事たちが「積み下ろし損ねた荷」というわけです。

東京大改革を進める小池知事であれば、次なる課題として確実に切り込んでいくことでしょう。

幸いなことに本日の質疑状況を見ても、都議会自民党を除くほぼすべての会派がこの監理団体に対して非常に厳しい意見を述べました(都議会自民党は述べたものの、マイルドで改革のニュアンスまで踏み込まず)。

新たな知事を議会からしっかりとバックアップし、税金が透明性の高い形で使われる状態にしていきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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