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築地での改修・存続は、事実上不可能?!ここまでの築地・豊洲市場移転問題を振り返って整理してみた

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今回の都知事選で争点の一つとなった築地市場移転問題について、小池百合子新知事は都知事として初となる関係者への直接ヒアリングや、築地・豊洲双方への現地視察を行うなど、精力的な活動をされています。

揺れる築地市場移転 小池百合子東京都知事視察「リオ後に判断」 – 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/160816/plt1608160016-n1.html

石原都政の時代から15年(!)に渡って係争のタネになってきた築地市場移転問題。とはいえ、今回の都知事選から初めて都政に興味を持たれた方の中には

(゚Д゚)ナンノハナシ?

という感じで、まったく事情がわからないという人も少なくないと思います。良い機会なので、ここまでの経緯を私の方でもざっくりとまとめてみたいと思います。

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水産物や青果取引のメッカとも言える築地市場。昭和10年(1935年)に開設された施設の老朽化は著しく、安全面からも改築・移転が急務となっておりました。

なお、実際に私も行政視察に訪れたことがありまして、敷地内の建物はどれも映画に出てくるようなレトロなつくり。様々なインフラは目に見えて痛み、このままの状態で営業を続けるのは困難なことは明白でした。

そこで、当初は移転に難色を示し、現地(築地)での改修・改築を模索していた東京都ですが、物理的な側面や莫大な経費から現地での改修対応を断念。時の石原知事によって、2001年に豊洲への移転計画が初めて策定されます。

しかしながら、移転候補地となった豊洲に深刻な土壌汚染が存在することが判明し、議論は紛糾。当初より築地からの移転に反対だった共産党や市場関係者らが強く築地での改修・存続を主張するも、基本的には土壌汚染の問題を解決した上で、豊洲に移転する方向で計画は進み続けました。

ここで颯爽と現れたのが、2009年都議選で第一党へと躍進した都議会民主党です。

時は民主党政権の誕生前夜。後に「政権交代」を掲げて与党となる民主党は破竹の勢いで、衆院選の直前に行われた都議選では「築地移転反対」を最大の公約に掲げます。少なくない人々がその公約に期待して民主党候補を支持し、都議会民主党は54議席を獲得して第一党へと大躍進。

この時、同じく築地移転に反対していた共産党・生活者ネットがそれぞれ8議席・2議席を獲得し、築地移転に反対する勢力で議会の過半数を占めることに成功しました(64/127議席)。つまり、このとき彼らが本気であったら、築地の豊洲移転は白紙に戻すことすら可能だったはずです。

ところが国政同様、都政でも民主党は迷走を始めます。

「築地での改修・改築は可能である!」

とぶちあげ、晴海に仮設市場をつくって運営しながら築地を改修する案を検討・提案しようとするも、その莫大なコストや物理的な困難さから計画立案は難航。

調査特別委員会で晴海仮設運営→築地存続という提案まではなんとかこぎつけたものの、都政史上初となる「知事予算案の否決」という事態を招くことに都議会民主党が完全に日和ったこともあり、最終的には自らの提案を否定。一転して第一党の民主党も、「土壌汚染などの問題を解決した上で、豊洲に移転する」という案に合意することになりました。

政権を取った時の民主党が、沖縄基地問題や八ッ場ダムで公約が果たせなかったのとまったく同じように、都政においても民主党政権は公約を反故にしていたわけですね。

参考:東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会小委員会の記録
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/subcommittee/

私自身も今回の知事公約を検証するあたり、様々な過去の記録や文献に当たりまして、こうした経緯から読み取れることはいくつもありましたが、端的に結論として申し上げられるのは

「築地での存続はもはや不可能で、いずれにせよ豊洲への移転は避けられない」

という事実です。都議会民主党に功績(?)があるとすれば、ここを明確にしたことと言えるでしょう。最初は東京都が自ら、そして次に時の政権与党があらゆる専門家を投入して晴海仮設・築地存続プランを検討しました。それでもなお結論としては、「豊洲移転」しかなかったわけです。

もちろん世の中に100パーセントはありませんから、いまだに築地存続を主張されている方も皆無ではないですが、現実的には「いかに豊洲新市場の諸問題を最小化し、移転を完了させるか」という部分が現時点での争点と言えます。

移転の時期は、11月が適切なのか?
豊洲新市場の施設に、物理的な問題はないのか?土壌汚染は解決したのか?
事業者などの関係者の合意は、十分なものになっているのか?
逆に、延期したときのリスクやコストは?

知事が「総合的に判断する」と述べているこれらの問題点につきまして、私も今後折にふれて本ブログで取り上げて解説していきたいと思います。

なお、知事がどのような決断をされるかはまったくわかりませんが、テクニカルな面だけ触れておきますと、年度内(3月末まで)に移転を延期するだけであれば、議会同意などは必要なく知事権限で決定できるものと思われます。

逆に来期(4月以降)に移転がずれ込むと、移転費用を再び次年度予算に計上しなければならず、予算承認が議会マターで争点となり、またも議論が紛糾する恐れがあります。

以上に鑑みるとオンスケでいくか、延期するとしても春先までか…という気はしますが、どうなるでしょうか。

私自身も今月中に、建設中の豊洲新市場に視察へと訪れる予定です。こちらも追ってレポートさせていただきますね。

それでは、また明日。

■築地・豊洲関連の参考過去記事:
築地市場の電気代は、年間10億円弱!電力自由化で、節約・節税の可能性は?
社会科見学も議員のお仕事?! 築地市場に視察へ!【インターン生日記】

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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