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捜査機関(警察)の情報リークは、どうして許されるのか?清原和博選手の過熱報道から考える

日々のこと

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こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
一昨日から、覚せい剤で逮捕された清原選手が大きな話題になっておりますが、
複数の方(法曹関係者を含む)からこのような指摘がありました。

「逮捕現場にマスコミがいたことも含め、『容疑者』に対しての報道が
 明らかにやりすぎだ。捜査機関・警察に守秘義務はないのか?!

…至極ごもっともな意見だと思います。

逮捕の現場にはなぜかTBSのカメラがいて現場を撮影していましたし、
各社も逮捕から1時間も立たないうちに一斉に報道を行いました。
そして清原容疑者が逮捕後も、

「本人は覚せい剤の使用を認める供述をしている」

など、捜査関係者しか知り得ない情報が、
あたかも真実であるかのように複数のメディアで報道されています。

ですが現段階では、容疑はあくまで「疑惑」。
日本は法治国家であり、「疑わしきは罰せず=推定無罪」が近代法の大原則です。
容疑者の段階からこれほどの大々的な報道が行われれば、どう考えても

「清原容疑者=トンデモない悪事を働いた人」

というイメージを植えつけたことになります。
捜査機関(警察・検察)の対応はあくまでいち要素であり、
司法による最終的な判断が下されるまで、容疑者はあくまで容疑者に過ぎないのです。

上記の指摘を受けて早速、
登庁してから警視庁(東京都管轄)の担当者に確認しましたが、

「現時点で、警視庁が公式に記者発表・会見したことはない

とのことでした。
つまり表向きは、あくまで個人の行為とその結果である
清原容疑者の逮捕が知れ渡る可能性はないということになります。

ですが、事実としては前述の通り。
ごく合理的に考えればどうみても、マスコミに対して
捜査機関=警察が情報を漏らさなければ発生しない事態が生じているのです。

公務員の守秘義務から考えても、プライバシーの権利から考えても、
これは許されることではありません。確かに社会的に影響が大きいとされる凶悪事件、
あるいは有名人による事件に関しては

「公共の利益のために」

プライバシーを上回って報道されることもありえます。
(その線引も、非常に曖昧かつ難しいものですが…)

しかしながらそれですらあくまで、
捜査機関による公式発表に準拠するべきです。

にも関わらず、多くの報道機関が「関係者」から具体的な情報を得て、
本来であれば捜査機関以外が知りうるはずのない情報を報道しています。
そして大多数の人々がもはや、それになんら違和感を感じません。

残念ながらこれを私が議員という立場から追求しても、
警視庁の対応としては

「こちらとしては、公式発表は一切行っていない」

という姿勢を崩さず、また当然ながら報道機関も「情報源を秘匿」するため、
真実は永久に闇の中ということになるでしょう。

ですがこれは、極めて不健全な社会の在り方です。

公務員や有名人の場合、なんらかの容疑で逮捕されれば、
平然と実名がメディアによって大々的に報道されます。しかし「逮捕」の時点では
それはあくまで「容疑」であって、後に潔白が証明されることも少なくありません。

にもかかわらず、仮に後に無罪が判明したところで、
メディアは形式的な謝罪広告をどこかで小さく行うだけ。
失われた当事者の名誉は、二度と回復されることはないでしょう。

もちろん私は、覚せい剤などの使用が許されると考えているわけではありません。
それが真実であれば、社会的な制裁は免れないと思います。

加えてあれだけの有名人である以上、公式発表の元であれば、
ある程度の報道が行われることもやむを得ないかもしれません。

ですが…公式発表が一切行われていない中で、

・どうして特定のマスコミが、逮捕現場に居合わせることができたのか
・そして逮捕後、一斉に詳細な情報とともに報道することができたのか
・なぜ取り調べなどにおける、容疑者の供述が伝わってくるのか

公務員の守秘義務やプライバシーの観点、何より法治国家の原則から、
いま一度わたしたち一人ひとりが考えてみる必要があるのではないでしょうか。

このような指摘は、ネット上の論壇では複数散見されるものの、
新聞やテレビなどの大手報道機関が言及することは決してありません。

この事実こそ、メディアが捜査機関から「特ダネ」をもらって報道するという、
ある種の共存関係が根付いている証左なのかもしれませんね。。

清原選手の逮捕は大変残念なことでありますが、
現段階ではあくまで容疑は容疑。今後の推移を注意深く見守りながら、
捜査機関・公務員の守秘義務については問題提起をしていきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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