ひらけ、東京!!

コンピューターを生み出したアラン・チューリングも、LGBTだった。「同性愛」の歴史と理解を考える

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
2015年に見た映画の中で、もっとも印象的だったものの一つがこちら。

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
http://imitationgame.gaga.ne.jp/

イギリスが誇る天才数学者のアラン・チューリング。
「コンピューター」の概念を始めて理論化し、彼がいなければ現在の
コンピューターは存在しなかったかもしれないと言われるほどの歴史的人物です。

第二次世界大戦中、数学理論とコンピューターを駆使して
ドイツの最強暗号「エニグマ」を解き明かしたチューリングですが、
そんな彼には重大な秘密があって…。

ネタバレになりますが(歴史的事実だけども)、彼はLGBT(同性愛者)だったのです。
当時のイギリスでは、同性愛はなんと「刑事罰」の対象でした。

警察によって摘発されたチューリングは、
投獄の代わりにホルモン注射を打ち続けられるという屈辱を受けた後、
悲運のうちに自らの命を絶つことになります。

なぜそんなことを思い出したかというと、
先日のLGBT研修会からの流れでこちらの書籍を紹介されまして。

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同性愛は「病気」なの? 僕たちを振り分けた世界の「同性愛診断法」クロニクル

「同性愛」という概念がいかにして生み出され、
歴史上や世界各国の文化の中でどのように捉えられてきたか。
軽快なタッチながら生々しく迫る、非常に示唆に富んだ著作です。

上記のチューリングの例で出しましたが、

「同性愛はかつて、刑事罰だった!」
(さらには世界70カ国以上で、現在でも刑事罰である)

と言われても、信じられないという方も多いと思います。
でもこれは決して古代や中世の話ではなく、先進国においてすら
戦後まもない頃(というか最近)まで存在した事実です。

第175条 自然に反する淫行

自然に反する性行為は、男性同士のものであるにしても、人間と動物の間のものであるにしても、六ヶ月間から四年間の禁錮刑、さらには市民権の剥奪をもって処罰する
(ドイツ刑法典より)

同性愛は獣姦と並んで罪深い行為とされ、
女性同士には言及されておりませんが、そちらに対しても当然
社会が肝要なはずもなく、事実上厳しい対応が取られていたようです。

こうした「同性愛」が刑罰とされていた暗黒時代がようやく終わると、
次に待っていたのは「同性愛は病気である」という誤解でした。

「彼らは脳や身体に病気を持った、可哀想な人たちなんだ」
「病気なんだから、治療すれば治る!」

といった偏見は様々な不幸を生み出し、
チューリングにしたようなホルモン注射による『治療』に始まり果ては

「同性愛は精巣の異常なので、キャン玉を移植すれば治ります!!
※ユーゲン・シュタイナッハの実験・学説より(本文P59)

というトンデモ説までが大真面目に採用され、
被験体となった人々には大いなる悲劇がもたらされました。

で、ようやく本題なんですが(オイ)。

このように歴史と地域から丁寧に
同性愛(そもそもこの表現から色々と異論が有る)について
詳述されている本書ですが、サブタイトルの通り

「同性愛診断法」

についての言及が数多くあります。
同性愛者が異常で排除すべきものと考えられていた当時、
軍隊や公務員に同性愛者を採用しないためのテストが数多く存在したそうです。

そのうちの一つが、「ミネソタ多面人格目録(MMPI)」。
1940年代にミネソタ大学で開発されたこの診断テストには、

●異性より同性に強い魅力を感じますか。
●「男(女)に生まれていれば良かった」と思うことはありますか。

など、性自認や性的志向について直接的な設問が設けられています。
今の時代にやっていれば、一発でモラハラ・セクハラでアウトですよね…
ってなんと、

現在の日本でも、公務員試験の一部に使われている!!

らしいのです。

2013年に国会で取り上げられた質疑によると、少なくとも教員採用試験において、
都道府県・政令指定都市のうち13の自治体でこのMMPIが使用されていることを
明確に認める答弁が出ています。


本書P147より。参考文献は第183会国会(常会) 質問主意書 質問第132号

ただこの答弁では、「実際に実施している自治体名を公表することは差し控えたい」
となっていたようです。都道府県・政令指定都市のうち13つということですから、
東京都が実施している可能性もありえます。

本件については早速調べてみたいと思いますし、
LGBT政策に取り組んでいる該当自治体の議員仲間にも、
調査を呼びかけてみたいと考えています。

有色人種が法的に差別されていた時代が「歴史」であるのと同様、
LGBT・セクシャルマイノリティに対する偏見や誤解も、遠くない将来に
「そんな時代もあったのね」というものの一つになることは想像に難くありません。

ただ、今はまさに時代の過渡期であり、
当事者たちの「一刻も早い変革を!」という想いは切実なものです。

丁寧な議論と理解に努めながら、上記の採用試験のように
行政側で改善できる点についても、しっかりと調査・提案をしていきたいと思います。

読み物としても大変すばらしい著作ですので、
ぜひとも皆さまも手に取ってご一読くださいませ。
(再掲載)

それでは、また明日。

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おときた駿

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 34歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員2期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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