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「失敗」を考える -政治が前に進むために-

政治コラム

沖縄がまた揺れています。

沖縄防衛局長の「犯す」発言と更迭から始まり、
それに飛び火した防衛大臣の

「(沖縄婦女暴行事件を)あまりよく知らない」
「乱交事件」

発言により、いよいよ12/9の国会で
防衛大臣の問責決議案が出される見通しだそうです。

こうした「失言」については以前も当コラムで言及したことがありますが、

「復興担当大臣炎上から学ぶ、政治家の失言構造」

http://www.junkstage.com/syun/?p=68

今回は「失敗」について考えてみたいと思います。

僕は今回の失言騒動も、沖縄の人には申し訳ないですが、
本当に情けない茶番・無駄な騒ぎだと思っています。
主な理由は2点です。

1点目。
そもそも、「失敗」とは何か?

僕は「失敗」とは、「取り返しがつかないものであるか」で判断されるべきだと思っています。
人殺しがとてもとても重い罪なのは、殺された人はどうやっても返ってこないからです。
まさに「取り返しのつかない失敗」といえます。

かたや経済的な損失や事務的なうっかりミスなどは、その後の対応でかなりの部分まで回復が可能になります。
取り返しのつく失敗であれば、失敗を責め立てるよりも、まずリカバーする方法を考えるべきなのです。

その観点からすると、政治家の「失言」の大半は辞任に値するような失敗ではないと思います。

人間だれしも過ちを犯すもの。
確かに誰かの感情というのは見えないもので、モノと違って明確に修復できるものではありませんが
それでもその後の行動で信頼を回復することも不可能ではないでしょう。

取り返しのつく失敗を政局に利用して過剰に責め立て、問責を決議して辞任に追い込む…。
こんなことを繰り返すうちに政治家は萎縮し、チャレンジしなくなり、優秀な人間は政界にいなくなりました。

いい加減、このような愚行はただちにやめるべきです。

2点目。
政治家の辞任や政府の謝罪で、結局物事は前に進むのか?

これ、案外と抜けがちだけど一番大事なポイントですよね。
それで辞任や首相が謝罪することで、沖縄問題は少しでも進展するのでしょうか?

「沖縄の人々の感情を傷つけた」
「有権者の気持ちが納得しない」

というのはまさしく文字通りの感情論で、
感情論を振り回したり抑えたりするのは「政治」の役割ではありません。

マスコミや大衆がバカ騒ぎしている中でこそ、政治家は冷静に
今回の問題の本質(基地問題)と、その解決策を虎視眈々と練らねばならないはずです。

為政者とは、あらゆる事象やあらゆる感情を鑑みて
物事を解決して社会を導いていくのがその役割なのです。

その観点から見ると、沖縄県知事の仲井さんは
人としては良い人なのでしょうが、政治家としては不適格だと思います。

せっかく沖縄まで足を運んできた政府の要人に対して

「まことに遺憾、沖縄は怒っている」

という感情論だけをぶつけてたった8分で返すなど、
どう考えても一流の政治家のやるべきことではありません。

一部の沖縄県民の支持はそれで上がるのかもしれませんが、
それが目的なら彼はもはや政治家ではなく政治屋になったのでしょう。

真の政治家であれば、今回の「失敗」を全力で利用して、
有利な形で政府の協力を得て基地問題を進展させることを考えるはずです。

この大事な観点が抜け落ちた人がトップにいることも、
また沖縄の不幸なのかもしれませんね。

果たしてその「失敗」が、取り返しのつかないものなのか。
「失敗」したとしても、そこから前に進む方法はないのか。

こうしたことを真の政治家や国民が真剣に考えるようにならなければ、
辞任で人をすげ変えたところでまた同じ過ちが繰り返されるだけです。

そして我々有権者に求められるモラルは、政治屋やマスコミの大合唱に乗じることではなく、
政治家の資質に疑問があるのなら参政権を駆使して次の選挙で「ノー」をいう回答を突きつけること

ただ、それだけだと思います。
それでは、また次回。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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