もっと、新しい日本をつくろう

尊農開国 -農業を新しい生き方へ-

政治コラム

震災を言い訳にストップしていたTPP参加交渉ですが、
にわかに活気づいてニュースや新聞を賑わしてきました。

昨日の日経朝刊の社説では、農協を始めとする農業関係者の
TPPへの強行な反対を称して、「尊農攘夷」と書いていました。
上手いこといいますね!

TPPは政治・経済の膨大な範囲に渡る問題であり、
各論としては難しい部分もあるのですが、僕はTPP参加交渉に総論では賛成です。

・「小さな政府」思考であること
・グローバリゼーションの波が後退することは、今後100%ないこと

などがその理由ですが、何よりTPPは基本的に若者世代に有利です。

すでにそこそこの地位や暮らしと老後の生活が保証されている既得権益層なら
TPP反対にも利があると思いますが、若者がこれに反対するのはナンセンスでしょう。

少し乱暴なまとめではありますが、規制を撤廃し競争をドライブしていくTPPは
いま何も持たない、野心的な若者たちには特に魅力的なものであると言えます。

しかしながら、本日の本題はこのTPPそのものではなく、
これによって最も影響を受けると言われている農業に突っ込みたいと思います。

皆さんも薄々気づかれていると思いますが、
日本の農業は総体としてははっきり言ってオワコンです。

※オワコン
「終わったコンテンツ」を意味するネットスラング。
正しい用例) 日本のガラケーってもうオワコンだよね。
間違った用例) あいつの頭部はもうオワコンだな。(ハゲって言ってあげよう!)

その最たるが日本の米で、800%(正確には778%)もの関税をかけ、
しかもいわゆる「減反政策」と言われる国家施策で生産量を調整し、
なんとか利益を出して農家を生き長らえさせている状態です。

こんなものが自由主義経済の国に堂々と存在することがおかしいのですが、
農家に自由競争をさせようとすると

「食の安全」
「日本を支えてきた農家をないがしろにする気か」

といった美辞麗句が飛びかい、
強固な既得権益となってその地位を守っています。

確かに貧しい零細農家が多いことは事実ですが、
農家を取りまとめるドン、農協(JA)にはどういうわけか多額のお金が集まるらしく、
永田町に新しく出来たJAビルの豪奢さはめまいと吐き気がするほどです。

「農家が可哀想」とはいっても、可哀想なサラリーマンや商売人だって沢山います。
いま雇用がない失業者や若者だって可哀想です。なぜ農家ばかりが最優先で保護され、
不思議なことにその元締めのJAはあれほどお金と政治的発言力を持っているのでしょう?
僕の常識からは看過できないことばかりです。

とはいえ、TPP急進派のように

「国土の狭い日本は農業には向いていない。
『比較優位』の考えに基づいて、農作物は輸入に頼るべし!」

という考えも極端でしょう。
日本の農業には、もっと輝かしい役割と未来があると思います。

そう、それがズバリ

今後増え続ける高齢者たちの、新規雇用の受け皿

としての農業です。

これから日本社会が現在の経済水準を維持していくためには、
何度もいうように解雇規制などを緩和して雇用を流動化していくしかありません。

すると、どうなるか。

誤解を恐れず率直に申し上げて、真っ先に仕事を失うのは
給料も高く、英語やITなどのスキルもない50代でしょう。
はっきり言って、高齢者でビジネスの第一線に残れるのはほんの一握りになると思います。

まず、この事実を直視しなければなりません。
(わかっているからこそ、規制が緩和できないわけですが…)

そこで俄然プレゼンス(存在価値)を増すのが、農業です。
現在、農業従事者の平均年齢は60代後半と言われており、
50代で農業を始めればたちまち若手のエースクラスです

もちろん、「農業なんて、歳取ってからでも出来るだろ」
と見くびっているわけではありません。

実際にアーリーリタイアした人々が農業を始める例は多く、
こうした労働力の農業への流入が

「高齢化でもう限界」

と一昔前からずっと言われ続けている農業を
細々と存続させている一因になっているという意見もあるそうです。

そして「企業勤めが終わった後は、自然と生きるために農業をして暮らす」という価値観は
今のスローライフブームにもそれなりマッチングしているのではないでしょうか?(無理がある?)

自由化すれば途端に死滅するかのように言われている農業(米)ですが、
15年前に散々議論して自由化されたオレンジでも、生き残る農家は生き残っています。
結局、創意工夫次第でなんとでもなるのは、農家もビジネスも変わらないのです。

いずれにせよ、今回のTPP問題から農業に見えることは、
「自由化に賛成か否か」ではなく、

・自由化がされる前提で、これからどうしていくか

をいい加減に考えなければ、
遅かれ早かれ農業は死に絶えるだけだということです。

そして同様に、このままではゆっくりと死を待つ経済産業界にも
規制緩和の波が押し寄せてくるでしょう。その時に

企業勤め(或いは経営者でもスポーツ選手でも)

《農業》 ←NEW!

リタイア

というライフプラン・キャリアプランを完成させておく。
これが高齢化社会への一つの理想的な解決策ではないかと、僕は思います。

「今さら芋なんて掘れるかっ!」なんて大人になっちゃダメだぞっ!

次回はTPPそのものについて、もう少し論じてみたいですね。
それではー。

個人献金のお願い
ボランティアスタッフご登録のお願い
音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

友だち追加
twitter @otokita
Facebook おときた駿
Instagram @otokitashun

ページトップへ