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弱者に請求書が回る社会に、僕達はどう生きるか。

政治コラム

2012年度予算一般会計概算要求・要望額は98.5兆円、3年連続で過去最大=財務省

http://bit.ly/oRipze

来年度の予算編成が進んでおりますが、ニュースの通り概算要求は膨れ上がる一方です。
多少の調整はされるでしょうが、復興予算もあり、

「新規国債発行額が税収を上回る(=予算の半分以上が借金!)」

という異常なる事態が2年連続で発生することは、ほぼ確実でしょう。
ほんと、民主党はなんのために政権を取ったんでしょうね…。

復興にかかる予算がある程度膨らむことは個人的にやむを得ないと思いますが、この2年の政府(民主党)の予算編成における失敗は、やはり27兆円にものぼる社会保障費を聖域化したことだと思います。

高齢化の進行で医療費を中心に毎年1兆円ずつ自然増していく社会保障費。「命や生活に関わる社会保障には手を出せない」という空気が蔓延する中で、唯一これに切り込んでいったのが小泉・竹中政権でした。

もっとも、彼らとて社会保障費を「削減」したわけではなく、自然増に対して一定の歯止めをかけた(シーリングという)だけなのですが…。

小泉・竹中政権は無尽蔵に増える社会保障費の自然増に対して、「2千億程度で収めなさい、増えるようなら、他の部分を削って調整しなさい!」という通達を(主に厚生労働省に)出すことで、社会保障費の抑制に乗り出しました。

すると、何が起こったか。

弱者に対するツケの偏りです。

もっとも問題視されるべきであり、出費の激しい高齢者医療への改革(自己負担の値上げなど)は行われず、主に歳出削減の対象となったのは「生活保護」「児童福祉」「母子家庭手当て」などでした。

これによりただでさえ生活が苦しい人々の生活が困窮し、社会問題化。小泉・竹中政権の政策が「格差を広げた」「弱者を切り捨てた」と評される一因となり(事実はそう単純ではないのですが…)、「やはり、社会保障費は聖域だ!」という現在のイメージにつながっていったのですね。

ですが、本当にそうなのでしょうか?

確かに、小泉・竹中政権の社会保障費抑制策は成功とは言えませんでした。しかし、予算を抑制する方向性自体はまったく正しいものでしたし、高齢者医療に斬り込むなど適切な対策をとれる余地は大いにあったはずです。

なぜそうならず、弱者にしわ寄せが行く形になったのか。
率直に行ってこれが、政治力の差です。

富裕層や高齢者層は圧倒的な政治力を持っており、彼らに負担増を強いるのは極めて困難です。そもそも高齢者の人口・投票数だけでかなりの政治力と発言力ですし、彼らの利害を代表する団体や政治家は枚挙に暇がありません。

診療報酬の引き下げなども、日本医師会がかなりの政治力を持っていますから、これを断行することも大変な困難が予想されるでしょう。

こういった思惑が交差した結果、結局は財力も票も持たない(=社会的発言力が極めて弱い)

・生活保護者
・児童
・母子家庭生活者

などの社会的弱者に請求書が回っていくことになるのです。

悲しいかな、これが今の社会の現実です。今回の概算請求を見ても、民主党政権がこうした既得権益層、圧力団体たちと闘って社会保障費を抑制しよう、みんなで平等に痛みを分かち合おう、財政を健全化しようなどとカケラも思っていないことは明らかでしょう。

なお、「社会的弱者」の中には当然、投票率が低く発言力が低い20代30代の若者や、そもそも選挙権を持たない将来世代の子どもたちも含まれます。

この国を立て直すのか。それとも、国に頼らない生き方を選択するか。

どちらの道を選ぶにしても、僕たちの未来は決して平易なものではないでしょう。どんな生き方を選ぶにせよ、自己の利益に拘泥し、知らず知らずに弱者を踏みつけて、その上に立つ生活はしたくないものですね。

それはとても難しいことだけれども。。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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