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独・メルケル首相の決断から考える男女の価値観

政治コラム

「脱原発は巨大なチャンス」独メルケル首相

http://www.asahi.com/international/update/0531/TKY201105300650.html

昨日、ドイツのメルケル首相(♀)が原発保有国で
唯一「脱原発」の施策を明言し、話題を呼びました。

ドイツ国内のみならず、世界中から賛否が巻き起こっている決断ですが、
これを行ったのが女性首相のメルケル氏だったことが興味深いです。

今日は少し政治の世界から離れて、
この事実から少し想像を働かせてみようと思います。

男性脳(男性的な価値観)と女性脳(女性的な価値観)の違いを示すもので、
個人的に説得力を感じている「リスクとデインジャー」という理論があります。

ここでは、「子育て」を例に論を進めましょう。

女性と男性では(母性と父性では)本能的に
子育てに明確な方針の違いが出るそうです

女性の子育てはまず、「子どもは脆弱である」という
前提からスタートします。その上で、「生き残るためにはどうするか」
という生存戦略を第一に考える。

結果どうなるかというと、子どもを
「なるべく集団の中で目立たなくさせる」そうです。
周りと同じことをさせ、集団の中に敢えて埋没させる。

これがなぜ生存戦略上有利か。
サバンナのシマウマの群れを例に取ります。

シマウマの群れの中になんの特徴もないシマウマとして
存在していれば、たとえばライオンなどの猛獣に襲われたとき、
死ぬ確率は十頭の群れなら十分の一、百頭の群れなら百分の一になるからです。

群れの中に存在して日々暮らしながら、
この群れが外敵に襲われ非常事態が訪れたとき、一体どうなるか。
こうした危険を常に考え続けているのが女性の生存戦略なのだそうな。

これに対して父親の子育てとは、
同じく「子どもは弱い」という前提からスタートするものの、
「いかに集団の中で抜きん出るか(強くなるか)」を目指します。

群れの中で埋没することを良しとせず、如何に優位に立ち、
群れのリーダーシップを取るか。群れの中の優位が
有利な生存につながるという発想なのですね。まさに闘争本能。

しかしこの生存戦略は、通常時は確かに優位に働くものの、
猛獣のような「外敵」が現れたときに負の方向に作用します。

シマウマの群れの中にただ一匹、
目立つサラブレッドがいたらどうなるか。
猛獣が狙うのはどのターゲットか、火を見るよりも明らかです。

何が言いたいかというと、女性というのは常に
群れというシステム・ルールの中に存在しながら

「この群れ(システム)が崩壊したとき(猛獣に襲われる等)、
一体どうしたら有利に生き残ることができるか」

という所謂『最悪の事態』を想定しているのです。
こうした予測不可能な危険性のことを
デインジャー(danger)と言います。

一方の男性は群れの中、
システム・ルールの中での闘いには非常に敏感です。

これをしたら不利になるとか、
ある程度予測可能な危険性(リスク:risk)には女性以上に気を配る。
しかし一方で、デインジャーをまったく想定しない。

同類が争うシステムの中での競争には気をやっても、
システムそのものが崩壊することは考えもしない。
これが男性的マインドの特徴だそうな。

こんな「リスクとデインジャー」という考え方からみると、
今回の原発に対する対応は、ちょっと面白いと思いませんか。

男性と指導者たちは現行の経済競争に囚われ、
「いかに電力を安定供給し、国際競争に打ち勝つか」に夢中となり、
エネルギーという「枠組み」自体の崩壊を見抜いた女性指導者は、いち早く舵を切る…。

メルケル首相の決断が
こうしたマインドに拠るものかは測りかねますが、
もし彼女が女性として『デインジャー』を想定した決断を下していたら…。

「あの時が、女性指導者が著しい力を発揮した歴史の転換点だった」

そう言われる日が、ひょっとしたらくるのかもしれませんね。
そんな僕は、まだ原発に夢を抱いていたりするのですが(苦笑)。
ああ、男性マインド。

それでは、また来週。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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