もっと、新しい日本をつくろう

平成27年3月18日 厚生委員会質問内容

〇おときた委員 私からは、病院間の転送時における救急車の利用についてお伺いをいたします。
 東京都の緊急医療環境を取り巻く状況は年々苛酷さを増しておりまして、緊急搬送の需要は、平成二十二年から増加の一途をたどっています。
 これに伴い、救急隊の出場から現場到着までの所要時間は、平成二十一年中で六分十八秒であったものが、平成二十四年中には七分三十五秒と、一分以上も延びています。これはまさに命にかかわる重大な問題です。
 その中で、病院間の転送は例年、全搬送の六%強を占めており、東京消防庁の資料によりますと、そのうち軽症患者の割合が例年、一割以上もいるとされています。限られた医療資源を有効に活用するため、救急車の適正利用については、東京消防庁からも医療機関にお願いが出されているところです。
 そこでまず、病院経営本部は、所管する都立病院、公社病院について、転院転送をどのような認識の上で行っているのかを伺います。

〇高野経営戦略担当部長 救急車の利用に関しましては、救急業務等に関する条例において、医師が医療上の理由により必要があると認めた場合は、救急隊により、他の医療機関へ搬送することが認められております。
 都立、公社病院が提供いたします医療は急性期医療でございまして、限りある医療資源を効率よく効果的に提供するためには、地域の医療機関との連携が不可欠でございまして、医療上の理由から、他の医療機関に救急車で転院搬送する件数は少なくはございません。
 具体的な例といたしましては、救命救急センター等に救急搬送され、初期医療を終えた重症患者等の転院や、症状が比較的落ちついていても、寝たきりなど身体の自由に制限がある場合や、酸素投与を行っている場合など、容体が変化するおそれがある患者につきましては、救急車による搬送を依頼しております。

〇おときた委員 さまざまなケースがあることはわかりましたが、ここで特に、地域医療支援病院についてお伺いしたいのですが、地域医療支援病院、こちらには、指定されるために、緊急車両、もしくはそれに準ずる車両を配備しなければならないはずです。
 地域医療支援病院における車両と、その運転の人員の配置はどのような体制になっているのかを伺います。

〇高野経営戦略担当部長 患者の搬送が可能な状況にあれば地域医療支援病院の申請が認められておりまして、実際には、多摩総合医療センター、東部地域病院、多摩南部地域病院、荏原病院、豊島病院では各病院が既に所有しておりますワゴンやワンボックスタイプの車両で、大久保病院、多摩北部医療センターでは民間のタクシー会社と契約を結び、搬送手段を確保することで承認を得ております。
 また、運転につきましては、多摩総合医療センター、多摩南部地域病院、豊島病院では臨時職員が、その他の病院では事務職員が必要に応じて対応しております。

〇おときた委員 地域医療支援病院でも、車両を所有しているところと、そうでないところがあるということです。
 さて、ここで、救急車もしくはそれに準ずる車両を持っており、運転手も配置されている多摩総合医療センター、こちらでも一定数の転院搬送が行われています。車両を所有する都立、公立、公社の地域医療支援病院は、少なくともできる限りは自分たちで転院転送を行うべきという指摘もありますが、これらはどういった理由で転院転送になっているものが多いのでしょうか。
 また、病院転送に使わないとすれば、ふだん、こちらの庁用車はどのような用途で使われているのでしょうか。伺います。

〇高野経営戦略担当部長 多摩総合医療センターは救命救急センターでもあることから、可能な限り救急患者を受け入れることを使命としております。
 また、各公社病院は二次救急を担いまして、同様に救急患者を受け入れております。
 こうした使命を着実に果たすためには、初期医療を終えた患者に後方病院へ転院していただき、新たな患者を受け入れることができる体制を常時備えることが必要でございます。急性期の患者の転院搬送には、整備が整い、安全に患者を搬送できる専用の車両が適しておりますことから、医師の判断に基づき、救急車を利用しております。
 また、救急医療における転院搬送につきましては、医療機関及び搬送機関における協力と効率的な役割分担が重要だとも考えております。
 なお、所有する車両につきましては、急性期状態の患者搬送には適していないため、日常的には、地区医師会や医療機関など、関係機関との連携会議に参加する際の移動手段などに利用しております。

〇おときた委員 急性期の患者さんなど、適正範囲内で救急車利用をされて、緊急車両やそれに準ずる車両は別の軽作業に従事されているということだと思います。
 それでは、ここで関連して、地域災害拠点中核病院を中心に配備されているDMATカーについてお伺いをいたします。
 平成二十三年に東京都緊急対策事業の一環として導入が決定され、二年かけて二十五台が配備されているDMATカーですが、運用状況は余り活発とはいえません。
 以前に、本会議の一般質問でも我が会派の両角都議が取り上げたところでもありますが、配備後一年八カ月間の全車両の運用実績は、トータルで出場十二回、訓練七十四回、転院搬送が十九回となっています。もちろん災害緊急用ですから、出番がないのは望ましいことでありますが、車両という特性上、ある程度の走行を行わなければ維持管理をすることすらままならないのが現実ですし、これほどの器材を搭載した医療資源を眠らせておくのは余りにも非効率的な面もあるのではないでしょうか。
 そこで、緊急医療現場を圧迫している転院転送に、本来業務に支障を来たさない範囲で、このDMATカーをより活用すべきとの指摘が複数の有識者からもなされているところですが、これらについての見解をお聞かせください。

〇高野経営戦略担当部長 東京DMATカーは、大規模災害発生時に、東京DMATの被災現場での活動支援を目的として福祉保健局が導入したもので、都立病院につきましては、平成二十五年に基幹災害拠点病院である広尾病院、地域災害拠点中核病院である墨東病院及び多摩総合医療センターに一台ずつ配備されております。
 DMATカーの本来の目的は災害現場での活動支援であることから、いつ何どき災害が発生しても速やかに出場要請に応じられるよう、体制を整えておくことが必要でございます。特に都立病院には、行政的医療といたしまして、災害時の医療を最前線で担うことが求められております。
 また、DMATカーが配備されております病院は、いずれも救命救急センターを有しており、転院搬送におきましても、医師の判断により救急車での搬送が必要な重症度の高い患者が多いため、患者搬送時の振動を抑える防振架台等が設置されていないDMATカーは必ずしもこうした患者の転院搬送には適しておりません。
 こうしたことから、現在のところ、DMATカーによる転院搬送については課題が多いものと認識をしております。

〇おときた委員 それでは、これは確認ですが、設備面や運用面で課題が多いとのことで、防振架台を設置するなど、病院に配備されているDMATカーを配置病院が独自にカスタマイズして、創意工夫して運用されるということは、現段階では検討されていないということでしょうか。

〇高野経営戦略担当部長 DMATカーは災害活動用の車両のため、内部には通信機器やパソコンモニター、組み立て式簡易ベッド等が備えつけられており、患者搬送用に仕様を変更してしまいますと、これらの機器を使用しての災害活動が困難となります。
 こうしたことからも、病院での独自のカスタマイズ等は難しいものと判断をしております。

〇おときた委員 DMATカーの一義的な利用方法、そして設備、機能面から、安易に緊急車両として、救急車両として活用するのが容易でないということは理解ができます。
 しかしながら、有識者で構成されている東京DMAT運営協議会の中でも、議論の中で、やはり病院経営本部、こちらに配備の病院に頑張っていただいて、もう少しうまく活用してほしいという声は委員からも出ているように仄聞しております。
 さらに、確かにこのDMATカーの一義的な利用を規定するのは、こちらはDMATの運営要綱によりますが、災害時医療支援車貸付契約書には、第三条に、貸し付けを受けた車両は、東京都の区域内において東京DMATの活動を含む乙の業務に使用するものとするということで、各病院に柔軟な使用の方が許されるような条文もございますので、こちらも含めて、やはり前向きに検討すべきでないかということを意見として申し上げます。
 そして、緊急医療を取り巻く切迫した状況を踏まえて、全体として再検討する時期に来ているように感じます。
 多摩総合医療センターの庁有車を活用しての病院転送にしても、病院側が対応するとなると医師及び看護師の同乗が必要となって、病院の医療現場に負担がかかることは事実です。しかしながら、本来であれば、それも踏まえた人員体制を整えるべきであり、それを消防庁の救急隊にアウトソーシングをすれば、東京都全体へ影響を与えることにもなります。また、せっかく独自に持っている庁有車と運転手が適切に活用されているのかについても精査が必要です。そして、繰り返しになりますが、DMATカーについても、導入から三年以上が経過し、その運用面についても見直す時期に来ています。
 こうした議論を踏まえて、転院転送など緊急医療への対応改善、適正化に向けて、病院経営本部はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

〇高野経営戦略担当部長 高齢化に伴い、重症患者や合併症患者の増加が見込まれておりまして、増大する救急医療のニーズに対し適切に医療を提供していくことこそが、都立、公社病院の役割でございます。
 そのため、医師や看護師といった医療人材を治療の現場で活用し、一人でも多くの患者を受け入れてまいります。

〇おときた委員 治療の現場の方を優先してということだと思います。消防庁からまた提供されているデータですが、初診時程度別転院搬送人員の推移というのを見ますと、軽症であった、恐らく救急車を使わなくてもよかったのではないかと思われる可能性があるものが全体では一〇・七%程度ありました。都立の合計は五・七%となっておりまして、確かに全体に比べると非常に優秀な数字となっておりますが、決してゼロではありません。
 やはりこういった面も含めて、病院ができることは病院でやりまして、限られた医療資源というのを東京都全体で活用していけるように、ぜひ、不断の努力を続けていただきたいということを最後に申し添えまして、私の質問を終わります。

個人献金のお願い
ボランティアスタッフご登録のお願い
音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

友だち追加
twitter @otokita
Facebook おときた駿
Instagram @otokitashun

Tags: , ,

ページトップへ