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平成27年第二回都議会定例会 文書質問趣意書

文書質問, 議会活動

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた駿

質問事項
一 東京都青少年問題協議会について
二 要保護児童の一時保護所について

一 東京都青少年問題協議会について
 東京都青少年問題協議会の情報発信と運営体制についてお伺いいたします。本協議会に出席された公募委員からの指摘により、協議会の傍聴告知や情報公開が不十分であることが明らかになりました。この問題については平成27年6月17日の都議会本会議においても、あさの克彦議員が一般質問において、より広く情報公開を行うべきとの観点から質問を行っています。東京都の政策指針を決定する公的な場である協議会は、都民に対して開かれた場であり、多くの意見が集約される場であるのが望ましいことは言うまでもありません。また、同公募委員の発信によると、選定されている委員の質にも疑問が呈されています。そこで、下記についてお伺いいたします。
1 この質問を書いている6月18日時点で、すでに6回の専門部会が終了しておりますが、議事録を読めるのは第二回の専門部会までです。議事録の公開までには2~3ヶ月のタイムラグがあり、この間、都民は協議会の情報にアクセスすることができません。さらには都議会議員の立場から、現時点で確認できる資料や議事録を要求いたしましたが、議事録として確定するまではそのすべてが提示できない旨の返答がありました。これでは、都民を代表する都議会議員ですら、議事録がすべて出そろう秋ごろまで、協議会の全体像を把握できないことになります。
 本協議会で議論されている子ども・若者計画は夏ごろの完成を目指していると聞いております。ところが、通年議会でない東京都議会は6月の第二回定例会が終わると、その次に議会が開かれるのは9月です。つまり、都民の代表者である都議会議員が協議会や立案される計画について意見を具申しようにも、情報にアクセスできない状態に置かれ、次の定例会が始まったときには、結論が出ているということになります。もちろん協議会のメンバーには都議会議員も数名任命されておりますが、専門部会の参加者ではありません。
 協議会で決定した行政計画と言うのは、大変重い意味と拘束力を持つものです。それが策定されるまで極めてクローズドな状況に置かれ、大多数の都議会議員が議会で取り上げる機会すら充分に持てないことは、極めて不健全であると思われます。都民、ひいてはその代表者である都議会議員に広く情報を共有し、議論参加への門戸を開くべきと考えますが、見解を伺います。
2 第2回専門部会の終盤において出席した委員より、事務局側から依頼されている「意見書」を出さない委員の存在が指摘されています。多忙の中で委員をお願いしている以上、期限に提出が間に合わないなど一定の事情は配慮するべきかと思いますが、完全に提出がないとすれば問題です。事務局が依頼した意見書を委員が提出しなかったケースはあるか、その場合は何人・何件あったのかお伺い致します。
3 公的な協議会の委員を引き受けた委員の方々には、出席に対して一定の報酬も支払われますし、意見書の提出などはその責務であると考えられます。意見書の提出が遅い、提出がない委員に対して、事務局としてはどのような働きかけを行ったのかお伺い致します。また、こうした消極的な委員を選定することは不適切であったように思えますが、東京都の見解を合わせてお伺い致します。

二 要保護児童の一時保護所について
 去る平成27年5月7日、日テレ「エブリ」というテレビ番組にて、東京都が所管する一時保護所の実態としてセンセーショナルな内容が報道されました。虐待などを受けて緊急保護が必要な要保護児童が生活する一時保護所の中で、職員による暴力や威圧的な態度、私語の禁止や過度の指導などがあったことを指摘し、待遇の改善や第三者による監査機関の設置を提言する内容です。この報道の内容が事実であるとそのまま鵜呑みにするわけにはいきませんが、緊急性が高く精神状態も不安定な子どもたちが生活する一時保護所の環境をより良くしていくことは、喫緊の課題の一つです。そこで、下記について質問いたします。
1 報道にあるような「私語を禁止する」「暴力をふるう」「運動場を子どもの意に反して100周させる」「体調不良を訴えているのに、トイレに行かせない」「『個別』と呼ばれる隔離状態で学習をさせる」などの、要保護児童に対する職員の不適切な指導は事実として行われているものでしょうか。子どもたちの安全を守るためにやむを得ない対応があるとすれば、それはどのような場合でしょうか。具体的にお答えください。
2 子どもたちに理由なき威圧的指導が行われているという疑念を持たれないためにも、調査・勧告・救済機能を持つ第三者機関による一時保護所の評価は必須と考えられます。第三者機関による評価の実施に向けた検討状況と、今後の見通しをご教示ください。
3 文字通り「一時的」な生活場所であるはずの一時保護所ですが、滞在の長期化が指摘されています。平均滞在期間は40日弱、場合によっては100日、200日に及ぶケースもあると仄聞しています。一時保護所にいる間は安全上の観点から学校へ通学が困難になりますし、外出も事実上、ほとんど制限されている状態になると聞いています。これは子どもの生育環境として望ましくないことは明らかです。なぜこのような一時保護所への長期滞在が起こるのでしょうか。また、これを是正するために東京都はどのような努力を行っているのか伺います。
4 前述の外出についてお伺いいたします。そもそも一時保護所に、外出の自由はどの程度あるのでしょうか。仮に外出に許可が必要、無断で外出をさせないとすると、許可を出す条件はどのようなものでしょうか。そして、そうした移動の自由の制限の理由と、根拠はなにかを教えて下さい。
 また外出が許された場合、一人での自由な移動は可能か、あるいは何か条件や制約はあるのか。一人での行動を制約するとすれば、その理由と根拠についても教えてください。
 移動の自由、拘禁されない権利は、基本的人権です。子どもに制約を甘受させる以外に、他のより制限的でない方法で目的を実現できる可能性もあります。他の手段を検討されていないのかも、合わせてご教示ください。
5 子供たちに学校登校について、そもそも学校に通う自由はあるのでしょうか。通学を制限しているとすると、いかなる制限があるのでしょうか。そのような制限を課す根拠と理由とともに教えて下さい。
 学校に通うのは子どもの基本的権利ですが、子どもの通学を制限しない場合や、他のより制限的でない方法で目的を実現しているとすれば、その方法と理由をご教示ください。
6 一時保護所で様々に指摘されている問題は、結局のところ人員不足に起因するのではないかと考えられます。虐待件数の増加などにより一時保護所の定員は常に満員状態、夜間に緊急入所してくるケースも少なくないと聞きます。それに対して、対応する職員は夜間ですと2~3名程度。精神状態が不安定な子どもがパニックを起こした場合に対応するには著しく不十分な人数で、子ども同士が危害を加えることを防ぐためにも、ときに強い指導が必要になってしまうことは想像できます。そのような事態も、充分な人員体制があれば、多くの場合に避けることができるはずです。
 また一時保護所の長期滞在についても、実親や保護者との交渉や委託先の選定をする人員が充分であれば、短縮することも可能になります。一時保護所は、緊急保護されてきた子どもたちが集まる場でもあり、その環境づくりは児童養護施設以上に困難であるとも言われています。元スタッフや実際に一時保護所に滞在していた元児童へのヒアリングでも、人員体制の不十分さが指摘されています。この分野への投資は、まったく惜しむべきではありません。
 一時保護所の改善をするための人員体制の充実を一刻も早く行うべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。

平成27年第二回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都青少年問題協議会について
1 行政計画が、策定されるまで極めてクローズドな状況に置かれ、大多数の都議会議員が議会で取り上げる機会すら充分に持てないことは、極めて不健全であり、都民、ひいてはその代表者である都議会議員に広く情報を共有し、議論参加への門戸を開くべきだが、見解を伺う。

回答
 東京都青少年問題協議会の委員は、条例で定める定数6人の都議会議員をはじめ、学識経験者や関係行政庁の職員等により構成されています。同協議会は、審議を弾力的、機動的に行うため、学識経験者からなる専門部会の設置を決定しています。
 これらの会議は、原則公開とされ、傍聴することができます。いずれの会議も、個人のプライバシーや企業秘密等、保護すべき情報が議論される場合もあることから、議事録の公開に当たっては、各委員の発言内容の確認等を経て、公開しています。
 さらに、東京都子供・若者計画の策定に当たっては、都民向けのパブリックコメントも実施しました。

質問事項
一の2 専門部会の事務局から依頼されている「意見書」を出さない委員の存在が指摘されているが、事務局が依頼した意見書を委員が提出しないケースはあるのか。ある場合は何人・何件あったのか伺う。

回答
 専門部会における意見照会は、協議会の限られた日程の中で、審議を円滑に進めるためのものであり、提出は各専門委員の任意の判断となります。

質問事項
一の3 公的な協議会の委員は、意見書の提出などはその責務であるが、意見書の提出が遅い、提出がない委員に対して、事務局としてはどのような働きかけを行ったのか伺う。また、こうした委員を選定することは不適切であったように思えるが、都の見解を合わせて伺う。

回答
 専門部会における意見照会は、協議会の限られた日程の中で、審議を円滑に進めるためのものであり、提出は各専門委員の任意の判断となります。
 したがって、委員の選定については問題ないと考えます。

質問事項
二 要保護児童の一時保護所について
1 報道にあるような要保護児童に対する職員の不適切な指導は、事実として行われているものか。子どもたちの安全を守るためにやむを得ない対応があるとすれば、それはどのような場合か伺う。

回答
 児童相談所の一時保護所においては、「私語を禁止する」や「暴力をふるう」など、一部の報道であったような不適切な指導は行っていません。そのため、都は、児童福祉への取組の信頼を大きく損なうものとして、当該報道機関に対して抗議しました。
 一時保護所は、虐待等の理由により、家庭から一時引き離す必要がある子供や、援助指針を決定するため、十分な行動観察、生活指導等を行う必要がある子供などを一時保護していますが、入所した子供の安全を確保することが第一に求められるため、子供同士のトラブルの際には、行動を制止することがあります。

質問事項
二の2 調査・勧告・救済機能を持つ第三者機関による一時保護所の評価は必須と考えられるが、第三者機関による評価の実施に向けた検討状況と、今後の見通しを伺う。

回答
 平成26年10月8日に、東京都児童福祉審議会から、今後の東京の社会的養護の在り方について、提言をいただきました。その中では、一時保護中の子供の権利擁護と施設運営の質の向上を図るため、外部評価の導入を検討すべきであり、導入に当たっては、子供の意見をどのように取り入れるかについて整理する必要があるとの意見が示されました。
 都は、この提言も踏まえ、一時保護所の外部評価を平成27年8月から開始しています。

質問事項
二の3 文字通り「一時的」な生活場所であるはずの一時保護所だが、滞在の長期化が指摘されている。なぜこのような一時保護所への長期滞在が起こるのか。また、これを是正するために都はどのような努力を行っているのか伺う。

回答
 一時保護所での子供の入所期間が長期になる理由としては、子供の施設入所について児童福祉法第28条に基づく申立てを家庭裁判所に行う場合などが挙げられます。
 児童相談所は、子供の福祉を第一に考え、子供の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の家庭引取りの可能性など、一人ひとりの状況を総合的に勘案した上で、援助方針を決定しており、丁寧なケースワークを行い、保護者の理解を得て、円滑な支援を実施できるよう努めています。

質問事項
二の4 一時保護所に、外出の自由はどの程度あるのか。仮に外出に許可が必要、無断で外出をさせないとすると、許可を出す条件はどのようなものか。移動の自由の制限の理由と根拠について伺う。また外出が許された場合、一人での自由な移動は可能か、あるいは条件や制約はあるのか。一人での行動を制約するとすれば、その理由と根拠について伺う。他のより制限的でない方法で目的を実現できる可能性もあるが、他の手段を検討していないのか伺う。

回答
 一時保護中の子供の外出は、通院や入所予定の施設の見学など、必要がある場合に認めており、外出する際には、児童福祉司等が同行しています。
 移動の自由の制限については、児童福祉法第27条の3に、子供の自由の行動を制限する場合は、家庭裁判所に送致しなければならないが、同法第33条の2により一時保護している場合は除外すると規定されているため、一時保護所において、子供の行動の自由を制限することができると解釈されています。
 一時保護中の子供には、親権者による連れ去りの危険性などがあるため、都は、こうした規定に基づき、監護上の措置として、必要な制限を実施しています。

質問事項
二の5 子供たちに学校に通う自由はあるのか。通学を制限しているとすると、いかなる制限があるのか。そのような制限を課す根拠と理由について伺う。子どもの通学を制限しない場合や他のより制限的でない方法で目的を実現していれば、その方法と理由を伺う。

回答
 一時保護中の子供の援助方針を決定するまでの間、子供の安全を確保するため、通学を制限することはやむを得ないものと考えています。
 都の一時保護所においては、子供の教育を受ける権利をできる限り保障するため、学習指導員の配置や学習ボランティアの導入などの工夫により、学習を支援するほか、在籍校と連携した学習指導も実施しています。

質問事項
二の6 一時保護所で様々に指摘されている問題は、結局のところ人員不足に起因すると考えられる。一時保護所改善のための人員体制の充実を一刻も早く行うべきだが、都の見解を伺う。

回答
 一時保護所の人員配置は、児童福祉法施行規則第35条において、児童養護施設に係る児童福祉施設最低基準の規定を準用することとされており、2歳未満の幼児おおむね1.6人につき1人以上、2歳以上3歳未満の幼児おおむね2人につき1人以上、3歳以上の幼児おおむね4人につき1人以上、小学生以上おおむね5.5人につき1人以上と規定されています。
 都においては、こうした国の基準よりも職員を手厚く配置しています。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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