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平成27年11月30日 総務委員会質問内容(2)

◯おときた委員 私からは、初めに、都市外交人材育成基金に関する事業について幾つかの質疑を行います。
 本事業をこれから効果的に展開していくに当たっては、前身であるアジア人材育成基金を活用した取り組みを総括し、有為な人材との関係性を構築していくことが欠かせません。
 具体的には、基金を活用して首都大学東京が受け入れた留学生たちが帰国後に何をしているのかを把握し、東京都とのつながりや留学生同士の交流を保ち、アジアや東京都に貢献する人材になるようフォローアップを行わなければ、留学に公費を支出しただけのばらまきとのそしりを逃れられません。都民のお金で行う事業ですから、一円の無駄もなく、最大の効果を上げる必要がございます。
 そこでまず、アジア人材育成基金六年間で終了した留学生たちに対してどのような施策を行っているのかを伺います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地方独立行政法人である公立大学法人が運営します首都大学東京の留学生が、大学院修了後も東京に愛着を持ち続け、さまざまな形で東京のさらなる発展に寄与する人材として活躍することは、長期にわたる都市間関係の安定に寄与するものであり、大学はもとより、都においても重要です。
 首都大学東京ではこれまで、都がアジアの将来を担う人材の育成に資する施策に充てるために設置しましたアジア人材育成基金を活用し、優秀な留学生を受け入れてまいりました。また、留学生の人的ネットワークの形成に向け、在学生及び修了生への取り組みも進めております。具体的には、修了生の帰国後も、所属していた研究室を通じての研究交流はもちろん、定期的な現況調査など、大学とのつながりの維持、強化に取り組んでおり、今年度からは新たに帰国留学生同窓会も開催いたしました。
 今後は、アジア人材育成基金を再構築して創設しました都市外交人材育成基金を活用し、母国で教育研究に携わる修了生が短期的に首都大学東京で研究を行う際の活動支援、若手日本人研究者との継続的な国際共同研究の実施など、帰国後のフォローアップ体制を充実していく予定です。

◯おときた委員 さまざまな施策が熱意を持って行われていることがわかりました。
 それでは、そのうち、今年度から新たに始められたとおっしゃっております帰国留学生同窓会について、こちら、細かいことかもしれませんが、事業の信頼性の根幹にかかわる部分ですので、詳細に幾つかご質問させていただきたいと思います。
 ご答弁の中で、大学院修了後も東京に愛着を持ち続けることが重要との言及がございましたが、ことし八月に行われたと聞いているこの同窓会は、どういうわけか、東京ではなくバンコクで開催されたと聞いております。
 東京都の首都大学東京で受け入れた留学生たちの同窓会をなぜバンコクで開催したのか、この理由をお伺いいたします。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大学院修了後、留学生の多くは出身国に帰っておりますが、タイのバンコクは、アジア地域、とりわけ修了生の多い東南アジアのハブともいえる要所であり、修了生が集まりやすい場所でもあります。また、首都大学東京は、昨年度、初の海外拠点としてバンコク事務所を開設しており、この事務所を活用した準備が可能です。さらに、今回の帰国留学生同窓会開催に合わせ、首都大学東京の関係者が協定を締結しているバンコク市内の大学などを訪問し、ネットワークを強化することもできます。
 以上のような理由から、首都大学東京では、バンコクで帰国留学生同窓会を開催することとしたと聞いております。

◯おときた委員 一番の理由にアクセスというものが上がりました。
 では、まず、この同窓会参加者の対象者は何名で、そのうち何名が参加したのか、また、その中でタイ在住者が何名いたのかを教えてください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の帰国留学生同窓会には、二十六年度末時点での修了生四十八名のうち二十名が参加いたしました。タイ在住は、タイ出身者の四名のうち、日本在住の一名を除く三名でございます。

◯おときた委員 ご答弁いただきまして、別途詳細を拝見いたしましたところ、中国やフィリピンなど東南アジア各国から参加者が来られているようです。
 それで、タイ出身者は四名で、うち一名は、わざわざ日本からバンコクに行くことになると。こうした遠方からの参加者たち、留学生たちの旅費はどのような扱いになっているのでしょうか、伺います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 帰国留学生である大学院修了生の航空運賃につきましては、東京都からの標準運営費交付金を財源とします公立大学法人首都大学東京の予算で負担し、その他の滞在経費等は修了生の負担といたしました。

◯おときた委員 留学生たちの交通費は、東京都のお金から出ていたというわけですね。懐かしい東京に来てもらって、東京への愛着を高めていただくというならまだしも、多くの留学生には何らゆかりのないバンコクへの交通費が公費から支払われる、ここに都民の納得が得られるのかどうかについては大きな疑問が残ります。
 では、続いて、東京からバンコクの同窓会に参加した関係者が何名いたのか、役職別に分けてお示しください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京からは、学長、国際担当の副学長、留学生の指導教員の八名、大学の事務職員五名、計十五名が参加いたしました。

◯おときた委員 留学生の参加者が二十名に対して、日本から十五名もの関係者がバンコクに出張していたわけです。これはほとんど半分です。
 この関係者たちの旅費、経費はもちろん公費負担だと思われますが、確認のため、お伺いいたします。また、さきの留学生たちの旅費も含めて、本同窓会自体にどれだけの経費がかかっているのかもお示しください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回のバンコク出張は、業務としての出張であるため、首都大学東京から参加した教職員の旅費は法人が支出しております。これを含め、帰国留学生同窓会開催経費の総額は約四百八万円でございます。

◯おときた委員 総額は四百八万円ということですけど、事前にお伺いしたデータでは、日本から出張した十五名の経費、これが百九十一万円となっておりました。総経費のほぼ半分です。冒頭の答弁で、初の海外拠点であるバンコク事務所を活用できるとおっしゃっておりましたが、それでも大勢の事務方が出張なされていると。東京で行えば、この部分の経費は丸々カットできたわけです。
 続いて、もう一つ、開催の妥当性について確認いたします。
 本同窓会はことしの八月二十九日に開催されており、その十日ほど前には、バンコク市内で大規模な爆発テロが起こっておりました。多くのイベントが中止になり、しばらくの間、帰国した日本人も多かったことは記憶に新しいところです。
 こうした極めて危険な情勢下で、なぜ中止という判断を行わなかったのか、その理由をお伺いいたします。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、大学のバンコク事務所などを通じて、現地の日本大使館やバンコクに事務所を置く各大学のネットワークなどによる現地の最新情報の入手に努めました。
 事件発生から一週間を経過した時点で、さらなる事件が起こっていなかったこと、他の大学等において、バンコクで実施する行事が通常どおり行われているものも多くあること、また、バンコク市内の様子も平常どおりに戻りつつあることなどを総合的に勘案し、予定どおり開催することを決定したと首都大学東京から聞いております。

◯おときた委員 総合的にご判断ということですけども、この爆破事件が起きたことで、参加をキャンセルした者も複数いると聞いております。留学生、関係者の中に何名いたのかを教えてください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 爆発事故を受け、今回の帰国留学生同窓会の参加をキャンセルした修了生は六名でございます。
 なお、これに伴い、不参加となった修了生を担当していた指導教員一名が参加を見送っております。

◯おときた委員 六名の留学生がキャンセルをされて、参加者が二十名ということは、二割強、三割弱の参加者が安全面を理由に辞退されていたわけです。これは十分に開催中止を決断する理由になっていたように思います。それでも開催をご決断されたと。
 それでは、以上の背景の中で開催された同窓会で、留学生や関係者の安全確保についてはどのような努力をされていたのかをお伺いいたします。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、帰国留学生同窓会の開催に当たり、日本の外務省の通知等をも参考にし、不要不急の外出を避ける、人が集まる場所では細心の注意を払うなどの対応策を周知いたしまして、参加者に対する注意喚起に努めてまいりました。

◯おときた委員 不要不急の外出を避けるように注意喚起を行ったと。この点が後ほど重要になりますので、ぜひご留意しておいていただきたいと思います。
 続いて、出張日程についてです。
 この同窓会への職員出張は、当初、同時期にバンコクで開催予定だった日本留学フェアへの参加、視察も兼ねたものだったと伺っております。しかしながら、日本留学フェアは爆発事件の影響で延期になっております。その結果、東京都から訪問した関係者たちのスケジュールはどのようなものになったのか、こちらを詳細にお伺いいたします。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 延期となりました日本学生支援機構主催の日本留学フェアの当初の開催予定日は日曜日でございました。このため、首都大学東京では、他の大学への訪問なども検討しましたが、調整がつかず、週休日といたしました。
 その他のスケジュールにつきましては変更しておりません。

◯おときた委員 ご答弁のように、同窓会の抱き合わせだった当初の出張目的の一つが事件で延期、なくなっているわけです。これも十分に同窓会開催延期の理由になると思いますが、それでも同窓会は強行に開催したということで、この点には大きな疑問がやはり残るところです。
 そして、訪問日程に週休日が発生したということですが、この日に出張に係る手当、経費は支出されているのかどうかを確認させてください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京の旅費規則では、翌日以降の用務のため滞在が必要な場合、週休日についても、旅行命令に基づく用務のための出張として、宿泊料や日当を支給する規定となっており、この日についても旅費が支出されております。

◯おときた委員 休みの日にも東京都の、つまり、都民のお金から関係者には日当などが支払われているわけで、これではますます本事業に対する都民の厳しい見方を助長することになるのではないかと思います。
 週休日の翌日、月曜日にはバンコクにおける協定大学への訪問予定があったそうですが、同窓会だけは開催するにしても、安全面、スケジュール面を考えて、そちらの大学訪問はキャンセルし、終了後に即時帰国する選択肢もあったと思われます。なぜそのような対応を行わなかったのか、理由をお伺いいたします。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、安全面からの検討を行った結果、帰国留学生同窓会を開催できる状況にあると判断いたしました。現地での他大学への訪問も、帰国留学生同窓会とあわせ、重要な用務であり、総合的に判断した結果、当初の予定どおりとしたと聞いております。
 なお、この訪問時には、首都大学東京と訪問先の大学との間での交換留学等の実施に向け、互いの留学生受け入れ体制の確認や受け入れプログラムの紹介などを行いました。これにより、今後、学生の派遣や受け入れに具体的につながっていくものと期待しております。

◯おときた委員 爆破テロという事情が事情ですから、大学訪問はキャンセルすることに差し支えはなかったのではないでしょうか。意見交換に意義がないとは申しませんが、こうした情勢下で行うことには疑念を感じざるを得ません。どうしてそこまで月曜日の大学訪問の予定にこだわったのでしょうか。
 ここで週休日の過ごし方について少しお話をさせていただきたいのですが、前述のご答弁のとおり、参加者や関係者には不要不急の外出を避けるように通達しておりました。ところが、ここで一枚の写真をごらんいただきたいのですが、こちらですね。こちら、バンコクから少し離れたところにある世界的観光地であるアユタヤというところです。ここに写っていらっしゃるのは、今回、出張した関係者の方々であるといわれております。ごらんのように、楽しそうな集合写真まで撮られておりまして、個人のお顔には修正を入れさせていただきましたが、見る方が見れば、わかるのではないかと思います。日付も二〇一五年八月三十日と刻印されてございます。
 こうした遠方の観光地への外出は突発的に行ったとは思えませんから、事前に周到に準備されていたと考えるのが妥当です。都民の税金で出張して、日当が出ている週休日に計画的に遊んでいたのではないかと、ここには、都民のみならず、私自身も強い憤りを覚えております。
 以上、見てきたように、公費支出の観点からも、安全面からも極めて軽率であり、都民の理解は到底得られない事業のように思えます。果たしてこの同窓会企画の開催は妥当であったのかどうか、改めて東京都の見解を明確にお示しください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでのアジア人材育成基金、そして、新たに創設しました都市外交人材育成基金の目的を達成するためには、修了生の人的ネットワークを形成することが極めて重要です。そのためのきっかけづくりとなる今回の帰国留学生同窓会は、繰り返しになりますが、より多くの大学院修了生に参加していただくことを考えてバンコクでの開催といたしました。安全面につきましても、日本の外務省からの安全情報や現地の最新情報を収集した上で開催の判断を行っております。
 また、帰国留学生同窓会後の大学訪問も、国際的な大学間連携を進めていく上で重要な用務であり、先方との事前の約束どおりに対応いたしました。先ほどもお答えしましたとおり、訪問時には、交換留学等の実施に向け、受け入れ体制の確認や受け入れプログラムの紹介などを行いました。これにより、今後、学生の派遣や受け入れに具体的につながっていくものと期待しております。
 また、お話がございました週休日の過ごし方につきましても、一定の範囲内での注意喚起をした中で、各自が適切に対応したものと考えております。
 このように、今回の留学生同窓会の開催について、首都大学東京は適切に対応したものと考えております。

◯おときた委員 残念ながら、これだけの事実をご指摘させていただいても、不適切な対応についてはお認めいただけませんでした。これが都民の税金を預かる東京都の意識なのだと思うと、大きな失望を感じざるを得ないところでございます。
 週休日の過ごし方についても適切であったとご答弁がありましたけども、近隣の観光地に集団で出かけることが果たして適切であったのかどうか、これは、都民目線で見れば回答は明らかではないかと思います。
 ネットワークの形成というのは重要ではありますが、であれば、なおさら、こうした同窓会は東京で行えばよい話です。大学訪問は、また別のテーマであり、いわば出張のこじつけの一つです。
 来年度以降も開催が予定されていると聞いておりますが、アジアから、今回、都市外交人材育成基金で世界へとその対象が広がったことで、開催地が今度はパリだ、ニューヨークだなどと広がることには、都民の理解は決して得られません。次年度以降の同窓会については、東京で最小限の費用で最大の効果を上げられることを強く要望いたします。
 この事業に関連しては、最後に、ことし十月に行われた第一回都市外交人材育成基金の年次総会についても伺います。
 こちらは首都大学東京の構内ではなく、どういうことか、近隣のホテルで開催されたと聞いております。これに使われた経費と、なぜホテルでの開催を選択したのか、その理由をお示しください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京が十月に開催しました第一回都市外交人材育成基金年次総会は、基金により受け入れました留学生や関係の教職員、さらに、大学院修了後に日本で就職、修学等をしております修了生が一堂に会し交流する機会を設けることにより、留学生同士、また、教職員や留学生とのネットワークを構築することを狙いとしたものでございます。
 この年次総会では、留学生による活動報告としてのプレゼンテーションとともにレセプションを行い、業務委託料として約百六十三万円を法人が支出いたしました。
 首都大学東京では、百二十名を超える規模のイベントを開催するに当たりまして、学内に適当なスペースがなかったこと、直営で行う場合の準備などにかかわる業務量等を総合的に勘案し、近隣のホテルでの開催を選択したと聞いております。

◯おときた委員 こちらも、一事が万事で、同窓会と同じ意識の問題のように思います。大学ですから、大人数相手にプレゼンをする教室などもあるでしょうし、食事は学食を使うこともできます。大勢の留学生たちが首都大学東京を訪れる中で、なぜこの基金を使って来た留学生たちだけが豪華に歓待されるのか、疑問の声も大学構内で上がっていると聞いております。
 本事業の基金を積み立てた政策企画局の質疑でも言及いたしましたが、都民の中にも、経済的事情で大学に進学できない、あるいは奨学金の返済にいまだに苦しむ人たちがいる中で、なぜ外国人留学生の受け入れ事業にこれだけの公費が注がれているのか、都民からは厳しい視線が集まっております。その中でこのようなお祭りイベントのようなことばかりを開催していれば、事業そのものに対する不信を招きかねません。
 今回の質疑を通じて、不適切とも思われる海外出張などの事実が明るみになりました。これは広く都民の知るところになるはずです。東京都は、都民からの声をしっかりと受けとめて、一円たりとも税金が無駄に支出されることのないよう、本事業に臨む姿勢を抜本的に改善される、そして首都大学東京に強く指導されることを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、附属機関の情報公開についてお伺いいたします。
 先般の報道では、東京都の附属機関の七割以上が非公開になっている現状が示され、ゆゆしき事態であると感じているところです。私もかねてから、東京都の各種協議会、審議会などの附属機関の閉鎖的な体質については問題提起を重ねており、今回の報道後も、すぐに申し入れを行うべく動きましたが、こうした動きを統括するのは、情報公開課を持つ生活文化局ではなく総務局であるとのことでした。
 そこでまず、附属機関を統括する総務局の役割とその役割を担う根拠についてお伺いいたします。

◯内藤次長 附属機関は、法律または条例に基づきまして執行機関に置かれる審議会、審査会などを指すものでございまして、都の組織を構成する機関の一つでございます。
 そのため、東京都組織条例に基づき、組織に関する業務を所管する総務局は、附属機関及びこれに類似する機関の設置及び運営につきまして適正な運営がなされるよう、附属機関等設置運営要綱を定めているところでございます。
 なお、附属機関に類似する機関と申しますものは、要綱等により知事が設置する懇談会、局長が外部の専門的知識を導入するために設置する専門家会議、事業執行上の連絡調整を図るため設置する連絡調整会議がございます。

◯おときた委員 条例取り決めの観点から総務局が担当している理由はわかりました。
 では、実際に附属機関の審議会等の公開状況はどうなっているのか、担当局として把握している状況をお示しください。

◯内藤次長 附属機関等の審議の公開状況でございますが、平成二十七年四月一日現在、三百機関ある附属機関等のうち、公開は百四十七機関、一部非公開は四十三機関、非公開は百十機関となってございます。

◯おときた委員 この数字だけを見ると、かなりの割合は公開しているようにも思えるのですが、では、そのうち、開催日程が公開されていないなど、実質非公開、事実上、都民が傍聴に来れない、そうなっている附属機関については実態を把握できているのか、状況を伺います。

◯内藤次長 会議を公開または一部非公開としている百九十機関のうち、ちょうど半数に当たりますが、九十五機関が会議開催日程等の事前告知を実施し、残りの九十五機関が事前告知を実施している状況にはございません。

◯おときた委員 ご答弁のように、開催告知がなければ都民は見に来ることができませんから、多くの附属機関で適切な対応ができていないということがわかります。そして、そもそも、今回このような報道が出るまで、担当する総務局もこの状況を俯瞰的に把握していなかったようですから、こちらも問題であると感じております。
 そんな中、舛添知事も、十一月初旬の記者会見において、この事態に対して改善を指示した旨を述べられておりましたが、これがどのように進行していくのかには不安が残ります。情報の受け手は一般の都民ですから、情報公開を担当する生活文化局情報公開課とも連携し、原則的には、全ての附属機関から情報を吸い上げて一元化し、都民に幅広く公開できる体制をとれることが望ましいと考えます。
 現状の改善に向けて、附属機関を総括する総務局として今後どのような対応を行っていくのか、展望をお聞かせください。

◯内藤次長 附属機関の情報公開に関しましては、附属機関等設置運営要綱及び取り扱い通知におきまして、ホームページの積極的な活用など適正な運営に努めているところでございます。
 各局は、個人のプライバシーや企業秘密といった保護すべき情報の有無など、各機関の審議内容を踏まえ、報道発表や公式ホームページなどを活用し、可能な限りの情報の公開を行っております。また、会議運営に混乱や支障が生じる場合や緊急に開催される会議などを除いて、事前告知の実施に努めております。
 元来、附属機関は、自由な意見の交換や意思決定の中立性が阻害されないよう、その審議の自主性が最大限尊重されるべきものでございます。そのため、情報の公開はおのおのの機関の判断のもとに行われるものでございますが、その運営実務は各所管局が実施しているため、今回改めて、各局に対し、要綱及び取り扱い通知の再徹底を周知したところでございます。
 引き続き、公開情報を都民にわかりやすく伝えることにつきましては、関係局と調整を図りながら適正な運用を推進してまいります。

◯おときた委員 丁寧なご答弁をいただきまして、自主性を尊重するという内容もございましたが、この前に行われた青少年・治安対策本部に対する私からの質疑の中で、附属機関を統括する部門の責任者が、条例上の条件では非公開にできないけれど、円滑な運営のために、見られることに差しさわりがあるから日程は告知しなかったと、そういったような内容を堂々と答弁してしまうのが各附属機関や統括部局の実態なんですね。簡単にいえば、悪いことをしている意識というのが全くないんです。
 こうした実態に対して、都民益の観点からも、条例上のルールからも、公開、告知はしなければならないんだと、総務局が強い指導力を発揮されることを望みます。
 また、そもそもの情報公開については、その専門性をうちに抱える生活文化局が担うべきであると考えます。これは総務局の質疑でいっても仕方のないことかもしれませんが、最後のご答弁にもあったとおり、そちらの方ともしっかりと調整を図りながら、どの部署が責任を持って情報公開を進めるのか、縦割り行政の弊害を乗り越えてしっかりと進めていただくように要望、意見を申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、東京都のウエブサイト運用についてお伺いいたします。
 障害者や高齢者など心身の機能に制約のある方でも、年齢的、身体的条件にかかわらず、ウエブで提供される情報が問題なく見られるように対応するウエブアクセシビリティーの重要性は日増しに高まっております。ところが、東京都各局のホームページは統一感がなく、専門知識を持って活動しているWebアクセシビリティ協会という組織に診断をいただいたところでも、多くのページでこの対応が不十分な状態であることが指摘されております。
 外向けのホームページ全体については生活文化局が主導となっているのは伺っているところですが、このウエブアクセシビリティーについては、東京都として取り組む部署はどこになるのでしょうか。また、これが総務局であるとすれば、その担当として、ウエブアクセシビリティーの重要性をどのように認識されているのかを伺います。

◯三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 ウエブアクセシビリティーに関する社会的な要請は高まっていると認識しております。
 そこで、東京都公式ホームページにおける統一感の欠如等の課題に対応するため、総務局では、ウエブアクセシビリティー対応を含めた技術的基準として、平成二十六年三月に東京都公式ホームページ作成に関する統一基準を定め、東京都各局のホームページの統一感の創出を推進しております。
 今後とも、ホームページデザインなどの一体感の醸成に努めるとともに、高齢者や障害者を含めた、誰もが必要な情報にアクセスできるウエブアクセシビリティーの対応の強化を図るなど、より機能的なホームページの構築を推進してまいります。

◯おときた委員 総務局が統一基準を定めて推進していくと、そのようなご答弁がありました。
 それでは、具体的に、現状では不十分となっている各局のウエブアクセシビリティーについて、総務局としてはどのような対応を行ってきたのかをお聞かせください。

◯三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京都公式ホームページ作成に関する統一基準への準拠状況については、各局の状況を定期的に確認し、取り組みを支援しております。
 今年度も、十局においてリニューアルを実施するなど準拠への対応を着実に進めており、これにより、統一基準で示したウエブアクセシビリティーへの対応は、おおむね全庁で完了する見込みとなってございます。

◯おときた委員 今年度にリニューアルを実施して、年度末までには、おおむねその結果が出るようですから、まずはそちらを待ちたいと思います。
 しかしながら、各局がそれぞれ改善を担当しているとのことで、規格を作成して配布しているとはいえ、不安が残ります。実際に、ある程度のガイドラインがあっても、これまで、東京都各局のホームページの仕様はばらばらで、統一感を著しく欠いてまいりました。
 ウエブアクセシビリティーについては、このような事態に再びならないよう、どのような対応が考えられるのでしょうか。各局との連携、特にホームページ全体を統括する生活文化局との連携を中心に見解をお伺いいたします。

◯三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京都公式ホームページ作成に関する統一基準では、シンボルマークや問い合わせ先の配置場所の統一などを指針として定め、ホームページの統一感の醸成を図っております。また、ウエブアクセシビリティーに対応したホームページに簡易に移行できるツールを提供するなど、各局の取り組みを支援してきたところであります。
 あわせて、各局が委託により対応する場合は、委託仕様として本統一基準を添付することで実効性を確保しております。
 本統一基準については、総務局と関係局が共同で策定したところであり、今後も各局と連携し、適切にウエブアクセシビリティーを確保してまいります。

◯おときた委員 いろいろと試行錯誤しながらご対応していただいているのだなとは思います。
 ただ、気になるのは、やはり各局との連携のところで、私が都議会に来た直後から指摘させていただいているところなのですが、指導力を発揮する部門がどこになるのか、かなり曖昧ではっきりしないんですね。ホームページ全体については、さきの舛添知事のご答弁で生活文化局だということで決着を見たのですけれども、では、アクセシビリティーについては総務局だということになるのでは、また新たな縦割りの構造になってしまいます。
 ご答弁の中で、関係各局と共同で基準を策定したといっておりましたけれども、これは要は生活文化局のことだと思うのですが、そういった答弁すら、なかなかいただけない。こういったところに、総務局と生活文化局がどうもうまく連携ができていないんじゃないかということを非常に肌身に感じるところでもございます。アクセシビリティーとデザインというのは、切っても切り離せないものですから、このあたりの役割整理については、しっかりと関係二局で定めていただきまして、これまでの二の舞にならないよう対応されることを強く要望いたします。
 そして、年度末に一旦のリニューアルが行われても、こうした改善作業に終わりはありません。JIS規格も万能ではないことも指摘されていまして、不断の努力で改善を続けていく必要がございます。その際には、冒頭に出てきたWebアクセシビリティ協会など、民間の知恵などもかりながらブラッシュアップを行っていくことが望ましいと考えます。
 ウエブアクセシビリティー推進の中長期的な計画について展望をお聞かせください。

◯三木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 技術の進歩やウエブアクセシビリティー等に対する社会的な要請の高まりに対応するため、継続的な改善を続けていく必要があると認識しております。
 そこで、ホームページ作成統一基準講習会を定期的に開催するなど、各局における継続的な改善を支援しているところでございます。
 今後とも、国の手引の改正などの機会を捉え、適切に統一基準等の見直しを図るとともに、必要に応じて業務委託を活用するなど、専門的な知見を取り入れつつ、関係局と連携して不断の改善を推進してまいります。

◯おときた委員 必要に応じて業務委託などを活用すると、民間活用に向けて前向きなご答弁もいただけましたので、この分野については、ぜひ民間の専門的知見や機動力の助けをかりながら、東京都全体で統一感を持って推し進めていただきたいと思いますので、この点を要望し、次の質問に移りたいと思います。
 次に、総務局が策定しているIT人材育成プログラムについてお伺いいたします。
 情報化の流れはとどまることを知らず、ITの知識や運用はますます重要になってきています。
 東京都は、平成二十一年にIT人材育成プログラムを作成しておりますが、まずは、これはどのようなものなのか、概要をお伺いいたします。

◯中島情報通信企画部長 東京都IT人材育成実行プログラムは、IT人材の育成を推進していくための指針として、平成二十一年に定めたものでございます。
 この指針では、誰もがいつでもその職責、職層に応じてITを業務改善のツールとして利活用できるといった目指すべき人材像を掲げ、その実現に向けて、職員として身につけるべき情報リテラシー、職場マネジメント力、ITマネジメント力の向上を図ることとしており、これらをIT人材育成の基軸に据えております。
 また、具体的な取り組みとして、組織、部門が果たすべき役割分担や、情報システムの開発、運用、技術支援、そして情報セキュリティーなどの四つの分類に応じて職員が保有することが望ましいITスキルの目安を明示し、このITスキルの獲得に向けたOff-JT、OJT、自己啓発などの研修の実施を定めております。
 特にOff-JTにつきましては、対象となる職員のレベル、職場の状況に応じまして、研修受講後に職場において実際にITを的確に業務遂行に活用していけるよう、実践的な研修体系としているところでございます。

◯おときた委員 丁寧にご答弁をいただきました。こちらのプログラムなのですが、当時作成された資料を見ると、アンケートなどをとって、さまざまな数値目標、数値が示されております。こうした実態を調査しているのは大変すばらしいことなんですけど、せっかくですから、取得した数値に関しては、定量的に経年変化を追っていくことが非常に重要になります。
 また、こちらの計画の中には、三カ年後には全体的な見直しを行う、そういった文言もありまして、策定当初はPDCAを回していくことが想定されているようです。
 こうした中で、プログラムの開始から六年間がたち、どのような成果が出ているのでしょうか。また、実際に、三年後となる平成二十四年前後にはどのような見直しが行われていたのかを伺います。

◯中島情報通信企画部長 実行プログラムの全体的な見直しについてでございますが、実行プログラムは、ITに関する都職員の保有すべき資質や能力の育成についての指針を定めたものであり、IT人材はこれに基づいて継続的に育成していく必要があることから、実行プログラムそのものの変更は行っておりません。
 一方で、個々の研修内容は、都職員が獲得したITスキルレベルや技術動向などに応じて見直すべきものであることから、研修受講の前後に実施いたします理解度テスト、受講生アンケート、研修講師の講評、各局担当者の意見などから得られた内容を反映させ、内容の見直しを行っております。
 具体的には、講義と実際に機器を操作する実習とを並行して行うことにより、知識と技術の定着を目指す研修や、外部委託業者による高度専門的な技術や知識の付与を図る研修をふやすなど、日常業務の実践力強化を目的とした研修内容の充実を図りました。
 こうした取り組みを重ねることによりまして、与えられたIT基盤の適切な活用を行える情報リテラシーや、業務改善のためにITの活用を進める職場マネジメント力、そして、業務システムの適正化や業務委託の適正管理を行うためのITマネジメント力について、一定程度の向上が図られたものと考えております。

◯おときた委員 一定のスキル向上が見られたというのはすばらしいことだと思います。
 しかしながら、とられているアンケートや講評、意見などは、どれも個々に単発で集計されたもので、これでは経年変化や総合的な評価というのを把握することは難しいのではないかと感じます。IT人材は継続的に育成していく必要があるとのご答弁のとおり、だからこそ、同じ指標を用いて定点観測していくことが大切です。
 また、プログラムそのものの変更は行っていないとの点についても、スマホやタブレット端末の普及など、ITも六年間で飛躍的に変化し、求められる人材像もまた変わってきているのではないでしょうか。
 これまでのプログラムの効果を算定した上で、新たな目標や指標を定めることが必要であると考えますが、IT人材育成プログラムの課題と今後の展望についてお伺いいたします。

◯中島情報通信企画部長 実行プログラムで掲げております目指すべきIT人材像の実現やそのための能力の向上は、継続して取り組んでいくべきものであると考えております。
 一方、都では、平成二十七年三月に都庁組織・人事改革ポリシーを策定し、十月には東京都サイバーセキュリティポリシーの見直しを行っており、この六年間で人材育成を取り巻く状況にも変化が生じてきておりますことから、今後行ってまいりますIT人材育成実行プログラムの検証作業に当たりましては、こうした新たな指針との整合を図ることなどを念頭に置きつつ、内容の検討を進めてまいります。

◯おときた委員 現状の変化を受けとめていただいて検討を進めていくとの前向きなご答弁をいただきましたので、この点は高く評価するとともに、ぜひ早急に行ってほしいと思います。
 IT人材の育成については、民間でも伝統的な大企業などは特に苦戦しているところで、誰でもいつでもITが使えるというような発想から、専門分野や役割を切り分けて、ある程度割り切った業務遂行をする形式がとられることもあるようです。要は、何でもかんでも誰でもというのは難しいということなんですね。こうしたトレンドや事例なども研究しながら、三年、六年ではなく、非常に早いスピードで展開するITの変化についていけるようなプログラム改定が行われることを期待いたします。
 つけ加えまして、こちらの平成二十一年策定のプログラムについては、私が指摘をするまで、ホームページなど都民が閲覧できる場所に公開されておりませんでした。その後に調査を重ねていく中でも、残念ながら、このプログラム遂行に関して恒常的に注目している気配が余り感じられませんでした。プログラムを掲げて、それを取り下げていない以上は、指摘されてからやるというのではなくて、常に都民の目があるという緊張感を持ちながら、その遂行に邁進していただくことを期待、要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、防災関連について簡潔に伺います。
 先般、「東京防災」が発刊されたところですが、来年には障害者差別解消法などが施行されることもあり、障害者などの特別な支援を要する人への災害対策のニーズ、関心は日増しに高まっております。
 「東京防災」の策定に当たっても、表現についてのご議論があった様子ですが、まず、障害者への防災、発災時の対策を策定するに当たって、東京都の役割をお伺いいたします。

◯小林防災計画担当部長 東京都地域防災計画では、国の防災基本計画を踏まえまして、予防、応急、復旧の災害対策業務を網羅的に示しまして、行政機関等を中心にそれぞれの業務の役割を明確化してございます。
 障害者などの要配慮者に関する取り組みにつきましては、地域防災計画におきまして、避難行動要支援者の名簿作成や避難支援体制の整備などを区市町村の役割と位置づけてございます。
 都は、広域的な立場から、区市町村が進めます要配慮者対策の支援や、発災時の要配慮者に関する区市町村等との連絡調整等を担うこととしてございます。

◯おときた委員 一義的な対応は基礎自治体が行っているということがわかりました。
 とはいえ、多くの人々が広範囲に暮らす東京都において、どの地域でも過不足なく障害者などの要配慮者の方々への対応が行われるように、広域自治体たる東京都も努めなければなりません。
 そこで、基礎自治体の対策を策定する過程において、東京都はどのような支援を行っているのかを教えてください。

◯小林防災計画担当部長 東京都では、要配慮者対策に係ります指針の策定、避難支援プランの作成支援、避難生活等におけます要配慮者等のニーズに対応した対策を働きかけるなど、都の障害者施策等を所管いたします福祉保健局において、区市町村による要配慮者対策の強化に向けたさまざまな支援を行っているところでございます。

◯おときた委員 専門の知識を持つ福祉保健局が一義的な対応をするということです。
 しかし、ここで重要なのは包括的な連携になります。事前の対策においても、また発災時においても、縦割り行政の弊害で情報共有が不足していたり、実際に障害者などの要配慮者に対して十分な対応ができない事態が起きることは避けなければなりません。
 防災を統括する総務局として、要配慮者対策の支援を担う福祉保健局との役割分担、連携はどのようになっているのでしょうか、伺います。

◯小林防災計画担当部長 災害から都民の安全・安心を確保していくためには、庁内各局はもとより、関係機関等との適切な役割分担のもと、予防から応急、復旧まで、一体となって防災対策を推進していくことが重要でございます。
 こうした認識のもと、昨年末に東京の防災プランを策定いたしまして、障害者など要配慮者支援体制の整備を初め、各局が事前に取り組むべき具体的な取り組みを数値目標とともに示したところでございます。
 また、発災時には都災害対策本部を設置いたしまして、区市町村から、避難所におけます障害者などの要配慮者数等、その後の支援に資するための情報を把握するなど、全庁を挙げて応急対策を実施することとなります。
 今後とも、福祉保健局を初め各局、区市町村等、関係機関としっかり連携を図りながら、東京の防災力向上に向けた取り組みを進めてまいります。

◯おときた委員 ご答弁をいただきまして、しっかりと連携も考えられているのだなというふうに思います。
 阪神大震災や東日本大震災の例を見ても、障害者などの要配慮者への対応はまだまだ不十分であるという面が否めません。実際に障害者の方々などのお話を伺っていても、自治体ごとの対応の違いや、どこに聞いてもわからなくて、たらい回しにされたと、そういったことが一番不満として残っているということも仄聞しております。
 引き続き、区市町村の支援並びに横の連携をしっかりと行っていただくようお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 最後の項目です。ワークライフバランスの推進についてお伺いいたします。
 舛添都知事は、就任後、ワークライフバランスの促進を強く打ち出されました。就任直後の記者会見においては、日が暮れたら帰る、五時、六時になったら全員帰るなどとおっしゃっておりましたので、やはりワークライフバランスにおいては、勤務時間、時間の短縮という面に重きを置かれていたのだと思います。ワークライフバランスという定義も幅広いのですが、私は主にここでは時間に着目しております。
 そこで、知事就任から一年半がたち、これまでのワークライフバランス促進に対する取り組み状況と、残業時間の短縮など可視化された実績が出ているのかをお伺いいたします。

◯栗岡労務担当部長 都は本年三月、東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランを策定いたしまして、出産や育児、介護の時期にあっても、昇任を含めた職員のキャリア形成を後押しし、組織の生産性を向上させる取り組みを推進してございます。
 プランに基づき、育児中の職員を対象としたキャリア形成を促す講座を実施しましたほか、本年四月には、休業等の取得によらず仕事に専念することが可能となるよう、育児、介護を行う職員のための時差勤務を導入したところでございます。
 さらに、この七月、八月の二カ月間は、育児、介護など特別の事由を有しない一般の職員のワークライフバランス実現を目指して、新宿本庁舎に勤務する職員を対象に、育児、介護職員向けに設定した早朝の勤務時間帯を活用して朝型勤務を試行いたしました。
 こうした取り組みにより、定時退庁の促進やタイムマネジメントを意識した仕事の進め方を徹底し、超過勤務の縮減と生産性の向上など、働き方改革を促してきたところでございます。
 この結果、朝型勤務を試行実施した二カ月間の本庁職員一人当たりの総超過勤務時間数は対前年度比で〇・五%減となり、一定の成果を上げたものと認識してございます。

◯おときた委員 一定の、〇・五%と数字にすると微々たるものですが、しっかりと成果が出ているということで、そのご答弁の中に朝型勤務というものがございました。
 こちらの試行実施で、超過勤務の削減に一定の効果があったとのことですが、こちらの仕組みと今後どのような展開を図っていくのかを具体的に教えてください。

◯栗岡労務担当部長 朝型勤務は、現行の八時半、九時、九時半の始業時間に加え、育児、介護職員向けに設定しました始業時間のうち早朝勤務の時間帯、具体的には午前七時半、八時の始業時間を追加したものでございます。
 朝型勤務の実施期間中は、管理監督職が率先して制度を利用するとともに、職員のタイムマネジメントを徹底し、会議時間の集約を初め、コアタイムの運用を強化するなどして定時退庁を促進し、超過勤務の縮減を図りました。特に朝型勤務を積極的に活用するため、全庁で二十カ所程度設定したモデル職場におきましては、超過勤務時間数が約一割縮減されまして、より大きな成果を上げたものと考えてございます。
 この夏の試行結果を踏まえまして、平成二十八年度からは、早朝勤務の時間帯に加え、遅出勤務となる十時の開始も加えた六本の始業時間帯を設定しまして、本庁のみならず、事業所を含めた大半の職場に時差勤務を拡大する予定でございます。これにより、育児、介護など特別の事由を有しない職員も含め、広くワークライフバランスの実現に資するとともに、超過勤務の縮減と生産性の向上を段階的に実現してまいります。

◯おときた委員 国の方の政策でも、夕活というのがことし話題になりましたが、勤務シフトの弾力的な運用によって、超過勤務削減に一定の効果があったと。特にモデル勤務では一割ということで、これは非常に大きな成果だと思います。
 ですが、ここで大事なのは、職種や業務内容ごとの対応になります。朝型勤務の方式に全体としては一定の効果があったとしても、どうしてもその仕組みになじまない職種や、時差勤務を導入するだけでは効果が出なかった部門もあったことが推察されます。試行実施の結果、そうした分析を行っているのかが気になるところです。分析を行った上で朝型活動、時差勤務を東京都全体に展開するとすれば、これが必ずしも有効でない分野にはどのようにアプローチしていくのか、それを考える必要がございます。
 こうした観点からも、二カ月間の時差勤務の実験結果を踏まえて、東京都全体として超過勤務を減らし、ワークライフバランスを促進していくために、今後はどのように取り組みを進めていくのか、見解をお伺いいたします。

◯栗岡労務担当部長 都庁は、都民サービスに直結する窓口職場など、さまざまな態様の現場を抱えてございまして、業務形態によりワークライフバランス実現の手法は異なるものと考えてございます。
 例えば交代制勤務の職場におきましては、あらかじめ勤務割りを設定するため、休暇の計画的な取得を推進しやすい環境にございます。また、時期的に超過勤務が集中する職場におきましては、新たに導入する遅出出勤を活用しまして、一定のインターバルを持って元気回復を図ることなどが有効でございまして、各職場の勤務実態に合わせた手法を取り入れていきたいと考えてございます。
 今後は、職場に応じて、広く総労働時間も縮減していく観点に立って、時差勤務の拡大に限らず、休暇取得の促進などさまざまな手法を活用し、職員の意識改革と職場の生産性向上を推し進め、ワークライフバランスの実現に取り組んでまいります。

◯おときた委員 超過勤務の削減は、行政以上に民間でも非常に解決が難しい課題ですので、一筋縄ではいかないことも多いかと思います。時差勤務などの手法は決して万能なものではなく、むしろ職員の意識改革などを促す一つの手段ともみなすべきです。超過勤務の短縮には、何より管理職の理解や対応も問われてまいりますので、引き続きの努力が継続されることを期待いたします。
 最後に、時間という点からは離れまして、ワーク・ライフ・バランス推進プランを拝見いたしますと、充実した子育てに関する対応に比べて、介護に対する記載や施策が十分ではないように思えます。
 今後、介護を控える職員たちのワークライフバランスを支えるためにどのような対策を展開していくのかをお伺いいたします。

◯栗岡労務担当部長 育児とは異なりまして、介護は、年齢的に見て、職場の中核を担う管理監督職を中心に突然発生することが多く、介護の態様も一人一人異なりますことから、職場において気軽に話しにくく、極めて個別性が高いという特徴がございます。実際に介護を抱える職員が自治体のサービスを利用する場合も、居住する自治体により内容が異なっておりまして、都の休暇制度を初めとした勤務条件だけで全てを解決することが難しい性格を有してございます。
 このため、現在、介護の相談窓口の設置や職員の介護体験の共有を進めてございまして、まずは事前の備えが何より重要であると認識してございます。こうしたことから、管理監督職を対象として、具体的な介護の体験談や介護を抱える職員に対するマネジメントに関する講座を開催し、介護について職場で話しやすい雰囲気づくりや、必要な心理的準備などの意識啓発を進めているところでございます。
 今後も、いつ発生するかわからない介護に備えまして、職員が仕事と介護を両立させられるよう、職場の危機管理の視点に立った取り組みを継続してまいります。

◯おときた委員 育児とは異なるというご答弁もあったとおり、期間が比較的限定されていて、ある程度予測がつきやすい育児に比べて、介護は、いつ始まり、いつ終わるかわからないという点に困難さがございます。民間でも介護離職という問題が発生しておりますが、こうした問題に対しては、行政機関がまずモデルケースを示すことで、その解決策が普及していくことも考えられます。
 母親の介護が政治家の原点と、そのように語る舛添知事が率いる東京都にこそ、ぜひ模範となる取り組みを展開していただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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