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平成27年11月19日 総務委員会質問内容(1)

委員会, 議会活動,

◯おときた委員 私からも、簡潔に職員の給与に関する報告と勧告についてお伺いをいたします。
 今年度の報告と勧告でも、公民較差の解消のためとして、例月給、特別給ともに、二年連続となる引き上げが提示されました。
 一方で、十一月十六日に内閣府によって発表された七月から九月のGDP、国内総生産の速報値は、前の三カ月に比べ、年率換算で実質マイナス〇・八%と、二四半期連続のマイナス成長となっています。雇用者報酬の伸び率こそ、実質〇・八%、名目〇・九%の伸びとなっているものの、来年からの消費税増税などを控え、まだまだ予断の許さない状況です。
 また、東京都に目を向けてみれば、二〇二〇年東京五輪の開催に向けて大きな支出が見込まれる中、エンブレム問題をめぐる不手際などがあり、その都政運営には厳しい目が注がれています。
 こうした中で行われる職員給与の引き上げについては、慎重な対応を求める声も多く上げられています。
 そこでまず、職員と民間従業員の給与比較の方法と根拠について、この説明を改めて求めます。

◯津国任用公平部長 地方公共団体は、地方公務員法において、給与等の勤務条件について、社会一般の情勢に適応するよう適当な措置を講ずることが求められており、人事委員会は、そのために講ずべき措置について、議会及び知事に勧告を行うことができるとされております。
 この法の趣旨を踏まえ、都人事委員会は、毎年、国の人事院や他の地方公共団体の人事委員会と共同で民間事業所の給与水準等について調査を行い、その結果をもとに、公務と民間の役職段階や年齢などが相応する者同士の給与を比較して、必要な勧告を行っております。

◯おときた委員 民間事業所の給与水準等の調査を行い、役職等が相応する者同士の給与を比較ということですが、ここで気になるのが、民間従業員の給与の基準としている調査対象の事業規模です。他の委員の方々からも複数ご指摘があったように、都内に所在する調査対象産業の事業所のうち、企業規模五十人以上で、かつ事業所規模五十人以上という基準が示されているのですが、中小零細企業が九九%といわれる日本の企業社会において、これが果たして民間水準を的確にあらわしているのかどうかについては、非常に議論が多いところです。
 そこで、この調査対象、方法や対象規模は国が定める規定に準じているようですので、確認をいたします。
 こういった一連の調査並びに報告、勧告は、全国一律で横並びに行わなければいけないものなのでしょうか。例えば東京都が独自の基準で調査をして、国と異なる人事委員会勧告の結論を出すことは、理論的、法律論的には不可能なのでしょうか。その理由とともに、改めて見解をお聞かせください。

◯津国任用公平部長 地方公務員の給与につきましては、地方公務員法の定めにより、国や他の地方公共団体の職員並びに民間従業員の給与などを考慮して定めなければならないとされております。この趣旨を踏まえ、都人事委員会におきましては、人事院や他の人事委員会と共同して、同一の基準に基づく調査を実施しているところでございます。
 その結果等に基づき算定される公民較差につきましては、都と国や他団体では、給料表の構造や職員の在職状況等が異なることから、それぞれ異なる数値となっております。
 さらに、都におきましては、給与構造や給与制度の改革を図るため、給料表における昇給カーブのフラット化や級構成の簡素化のほか、特別給における勤勉手当の割合の拡大等による能力、業績の給与への反映など、都独自の問題意識に基づくさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。

◯おときた委員 調査結果の算定に対して独自の取り組みは行ってはいるものの、地方公務員法に基づき、全国一律の対応が必要と認識しているということがわかりました。
 それでは、この人事委員会勧告とは別に、東京都が独自の調査報告を行い、その上で全国一律の給与勧告とは異なる結論を出すことは、制度上あり得るのかどうかを伺います。

◯津国任用公平部長 人事委員会といたしましては、給与勧告制度の趣旨に鑑み、議会及び知事に対して勧告のとおり実施することを要請しておりますが、その取り扱いは、最終的には議会及び知事が判断するものでございます。

◯おときた委員 その取り扱いは、最終的には知事と議会の判断によるものということで、独自の調査を行い、また、異なる結論を出すことも不可能ではないと理解いたしました。
 全国的な例を見れば、独自の調査基準に基づいたというわけではないものの、名古屋市で人事委員会勧告とは異なる給与改定の結論を出した例があります。
 また昨年、私と同会派の上田都議が確認させていただいたように、東京都でもかつて、ベースアップの勧告を延伸した事例があったようです。
 国や他の地方公共団体も考慮というご答弁もありましたけれど、この地方分権の時代に全国一律の調査、報告が行われるというのは、今後は変化せざるを得ないのではないかと思いますし、地方公務員法もそれを否定するものではないようにも読み下せます。
 東京都は、首都として突出した存在感を持っているのはもちろんのこと、これからは我が国最速のスピードで少子高齢化が進み、また、二〇二〇年東京五輪以降の都市運営を迫られるなど、独自の課題が山積をしております。東京都には、そうした事象に鑑みて、職員給与を独自に精査する能力も既に十分に備わっているのではないでしょうか。
 ことしの二年連続引き上げという結論は、必ずしも今の東京都にとって適切なものではないのではないのかという意見を申し上げまして、私の質問を終わります。

◯加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

◯加藤委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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